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腰痛高校生が異世界を救う話  作者: 夢街 光
”腰痛高校生”
4/6

”腰痛高校生”〔Ⅳ〕

そんなこんなで食事を終えて、俺は自分の部屋に戻ってきていた。

 少しでも楽な体勢になろうと思い、色々な体勢を試してみるが、なかなか定まらない。

(腰が・・・痛い・・・。)

 夕飯の後にも痛み止めを飲んだものの効き目を実感するまでには時間がかかる。

 昼食後に飲んだ時には1時間くらい経ったころに楽になったと感じはじめた。

 早く薬が効いてくれるのを願って、楽な体勢探しを続ける。


――――――――――


 結局椅子に座っているのが一番楽だったため、座ってのんびりしていると、痛み止めが効いてきたのか、だんだん眠くなってきた。

ベッドで寝ようと思い、立ち上がろうとするが、立ち上がるのも一苦労だ。

いくら薬が効いてきたとは言っても、完全に痛みがなくなるわけではない。

何とかベッドに移動し、やっとの思いでベッドに座り込む。

これじゃあまるでお爺さんだ・・・と、ふいに思う。


 それからさらに時間が経ち、母さんが部屋に来た。

「お風呂、入れるけどどうする?」

正直もう動きたくないが、お風呂には入りたい。

「入りたい・・・けど・・・」

「そうねぇ。体を拭くだけにしておく?」

「そうする」

「じゃあ、タオルとか持ってくるから待っててね」

「うん」

そんなやり取りをして、母さんは部屋から出て行った。


 それからすぐ、母さんはお湯で濡らしたタオルを持って来てくれた。

「お待たせ」

そう言ってタオルを渡してくれる。

「ありがとう」

「いいのよ。せめて体を拭かないと、気持ち悪いでしょ」

「うん」

「じゃあ、私は出て行くから、拭き終わったら机にでも置いておいて」

「わかった」

母さんは出口へ向かって歩き出したが、ふいに止まって、

「拭いてあげようか」

と言い出したので、

「いや、大丈夫」

と即答する。

「そう?」

「うん」

「分かったわ。じゃあ、あとで取りに来るから」

と言って母さんは部屋から出て行った。


 これから毎日こんなことでは、母さんに迷惑がかかってしまう、と思うものの、他にどうしようもなく、申し訳ないという気持ちだけが増していく。

早く治さないとな、と、体を拭きながら思った。


 体を拭き終えて、ベッドに入り、早めに寝る。

もしかしたら、痛みであまり眠れないかもしれないと思っていたが、いつの間にか眠っていた。



 明け方、腰が痛くて目が覚めた。

やはり、起きてすぐ、ベッドで横になっているときが一番痛い。

時計を見ると、後一時間くらいで普段起きる時間だった。

もう一度寝るにしても中途半端な時間なので、起きて一階に行くことにした。

「う~・・・痛い・・・」

起き上がろうとするがと、痛みのあまり声が漏れる。

やっとの思いで何とか起き上がり、ゆっくり、ゆっくり、一階に降りていく。

「おはよ」

一階に行くと、母さんが起きていたので、挨拶をする。

「おはよう。早いわね。眠れなかった?」

「まあまあかな」

「そう・・・。腰の調子、どう?」

「痛い」

「そっか・・・まあ、そうよね・・・」

「うん」

「とりあえず、リビングに行きましょう」

「うん」

母さんが肩を貸してくれたので、歩きやすい。

何とか歩いていると、母さんが、

「椅子とソファ、どっちが楽?」

と聞いてきたので、椅子と答えた。

昨日気づいたことだが、ソファやベッドなど、座面が柔らかいものに座るより、椅子などの多少座面が硬いものに座ったほうが楽だ。

「じゃあ、椅子に行こうか」

「うん」


 何とか椅子にたどり着き、腰を下ろす。

「ごめん、朝ごはんまだできてないのよ・・・」

「良いよ。いつもは寝てる時間だし」

「お腹空いてる?」

「そんなに空いてない」

「じゃあ、いつもの時間くらいに作るわ」

「うん。あ、そういえば、父さんは?」

「お父さんなら、二十分くらい前に仕事に出かけたわよ」

「そっか」

「母さんは、いつも何時頃起きてるの?」

「そうねえ、お父さんにお弁当作るから、お父さんが起きる一時間くらい前に起きられるようにしてるけど、四時とか、あんまり早いときは無理ね。お父さんの仕事が朝早くないときは、司が起きる一時間くらい前に起きてるかしらね」

「そうなんだ」

なんとなく気になって軽い気持ちで聞いてみただけだったが、思ったより早く、大変そうで、自分が腰痛持ちになってしまったのが申し訳なく思えてきた。

お読みいただき、ありがとうございます!

いかがでしたか?

面白かった、これからどうなるんだろう、と思っていただけたら嬉しいです。

感想や評価など、受け付けています。


次回もお楽しみに!

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