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腰痛高校生が異世界を救う話  作者: 夢街 光
”腰痛高校生”
2/6

”腰痛高校生”〔Ⅱ〕

保健室を出ると、俺は母さんと一緒にゆっくりゆっくり廊下を歩き、下駄箱へ向かう。

歩きながら母さんに、家に帰って湿布を張って安静にするか、このまま病院へ行くか聞かれたので、病院に行くことにした。


――――――――――


何とか車に乗り込み、病院へ向かう。

移動中も振動で腰が痛む為、かなり苦痛だったが、仕方がない。


≪病院到着≫

クリニックではなく、家からそれなりに近いところにある、それなりに大きい病院に来た。

ここでも。痛む腰を曲げながらゆっくりと院内に入る。

母さんが受付を済ませ、俺は渡された問診票を書く。

問診票を書き終わると受付に提出する。


それから三十分程して診察室に呼ばれた。


「こんにちは・・・」

一応挨拶をしながら診察室に入ったが、医者には無視されてしまった。

(不愛想な先生だな)

「今日はどうされましたか?」

とても細い声で聞かれたので思わず、はい?と聞き返してしまった。

「今日は、どうしたんですか?」

今にも舌打ちをしそうなほど不機嫌な、大きな声で聞かれる。

「数日前から少しずつ腰が痛くなり始めて、今朝起きたら今まで以上に動くのもやっとなくらい痛くなってしまって・・・」

「はぁ。急に運動したりしたの?」

「してないです。」

「はぁ。じゃあ、とりあえずレントゲン撮るから、待合で待っててくださいね。」

「はい・・・」


診察室から出て、俺と母さんは医者の態度の悪さについて話した。

「あの先生、態度悪いわね」

「あぁ」


もはや悪口とも言っても過言ではないような内容になってきた頃、看護師さんが来て、レントゲンを撮る場所に案内してくれた。


俺はまたゆっくりと歩みを進める。

片手を腰に当て、もう片手を垂らしながらのっそり歩く姿は、ゾウのようだ。

なんとか“X線検査室”と書かれた部屋までたどり着き、受付を済ませて呼ばれるまで座って待つ。

病院の独特なにおいと雰囲気が小さい時からとても嫌いだった。

病院に入ると入り口で泣いてしまって困らされた、と何度も母さんに聞かされた。

今は嫌いと言うほどではないものの、苦手は苦手だ。


早く終わらせて帰りたいな、と思いながら待っていると、思っていたより早く呼んでもらえた。


放射線技師さんの指示の通りに体勢を変えながら撮影することになるわけだが、これがまたキツイ。

体勢を変えるときに腰をひねってしまい、「ゔ~」とみっともない声を出しながら何とか撮影を終えた。

撮影を終えると、診察室に戻るよう言われたので、検査室に来た時の様に、ゆっくり、のっそり戻る。


何とか待合室に着き、椅子に座る。

 イテテテテ・・・

もはや座るのも辛いが、仕方ないので呼ばれるまでおとなしく座って待つ。


結局それから一時間程してから診察室に呼ばれた。


「はい、お掛けください。」

「お願いします。」

「じゃあ、レントゲンの結果ね。これね、見てください。」

先生はそう言ってパソコンの画面を指す。

「特に異常はないね。」

「そうですか・・・。」

異常がなかったと安心する気持ちがある一方、それではこの腰痛は何なのかと不思議に思う気持ちがわいてくる。

それから少し画面を見続けていた先生はふいにこちらを向いて、

「ちょっと立って。」

と言ったので、いきなりなんだろう、と思いながらもその場に立ち上がる。

「じゃあ、前屈してみて」

「はい・・・こうですか?」

「うん」

言われた通り前屈するが、痛くてあまり曲がらない。

「それが限界?」

「はい・・・。」

「う~ん。身体が硬いね。」

(何なんだ?)

突然前屈するように言われた挙句、やったらやったで、身体が硬いと言われる始末。

もはや意味不明な状況だが、次の一言で理由が分かった。

「身体が硬いと腰痛の原因になるから、ストレッチをしてもらいます。」


なるほど。

腰痛の原因を探していたようだ。


先生はそう言うと、看護師さんに、腰痛体操の紙取って、と指示した。

看護師さんはすぐに、診察室の中にあるレターケースの中から、くだんの紙と思われる紙を取り出した。


「これを見て、風呂上りにでもやって。

それと、今日はコルセットを渡して、痛み止めを出すから。

しばらく安静にして様子を見てください。」

「はい。」

どうやら診察は終わったようだが、診察室から出てしまっていいのか、もしかしたらまだ何かあるのか、よくわからないので動けずに座ったまま待つ。


それから不思議な間があり、もういいですよ、と先生が言った。

その言葉を聞いて、俺と母さんは診察室を出る。


「ありがとうございました・・・。」

診察室から出るときに言ってみるものの、当然返事はない。


診察室から出ると、一緒に看護師さんも出てきて、

「コルセットをご用意するので、ここでお待ちください。」

と言われたので、分かりました、と返事をする。


それからすぐに、診察を受けた部屋の隣の部屋から看護師さんに呼ばれた。

「お待たせしました。では、こちらでコルセットのサイズを合わせるので、ここで立ってください。」

先生との対応の違いになぜか少し感動しながら、言われた通りに立つと、

「ちょっと失礼しますね。」

そう言って、俺の腰にいくつかのコルセットを巻いた。

「どれが一番楽でしたか?」

と聞かれた。

「三番目のやつですかね。」

「三番目ですね。」

正直、何番目がどうだなんて意識していなかったので、思い出しながら答えた。

それから看護師さんは、三番目のものと思われるコルセットを俺の腰に巻いて、

「どうですか?」

と聞いてきたので、いい感じです、と答える。

「わかりました。では、このコルセットをお渡ししますので、使用してくださいね。」

「はい。ありがとうございます。」

「それでは会計していただいて終了になりますので、こちらのファイルを受付にお出しください。」

「わかりました。」


「ありがとうございました。」

と部屋から出るときに言うと、お大事に、と看護師さんが返してくれた。

さすがに先生と違って対応が良いな、と思う。


それから言われた通り会計をして、処方箋を受け取り、病院を出る。


車に戻ると、母さんが、

「司も薬局に行く?

先に司だけ家で降ろして、私が取りに行こうか?」

と聞いてくれたので、先に家に帰る、と答えた。

「わかった。じゃあ、先に家に向かうね。」


ちなみに、家に帰るまでの道中、医者の態度の悪さについての話と、看護師さんの対応のすばらしさについての話で盛り上がった。



家に着くと、母さんが荷物を持ってくれて、家の中まで手を引いてくれた。

さすがにここまでしてもらうのは悪いな、という気持ちになりながらも、もう少しこの優しさに浸ることにした。

俺が椅子に座るのを見届けると、

「ゆっくりしててね。」

と言って、母さんは薬局へ向かった。

ご覧いただき、ありがとうございました。

いかがでしたか?


今回は、病院での出来事がメインです。

不愛想な先生(医師)居ますよね・・・。


まだまだ続きます。


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