⭕ 呪われた家 1
──*──*──*── 診察室
セロフィート
「 ははぁ……。
実家が “ 呪われている ” ですか? 」
患者
「 はい……そうなんです。
“ 呪われている ” と言うか──、“ 祟られている ” と言うか──。
私にはどっちなのか分からないんですが……。
両親が大金を叩いて有名な霊媒師や霊能力者,除霊師等に依頼をして、お祓いや祈祷なんかをしてもらっていたのですが、心霊現象が無くなる事はありませんでした。
一向に良くならないまま両親は他界してしまったんです。
でかすから、実家で心霊現象が起こる詳しい事情は一切分からない状態でして……。
このまま実家で暮らすのは精神的に辛く……今は安いアパートに一部屋を借りて住んでいます……。
何とかならないでしょうか? 」
セロフィート
「 先ずは此方で調べさせていただきましょう。
知り合いに弁護士が居ますので、手続きをしていただけますか 」
患者
「 えっ、弁護士さんに調べてもらえるんですか?! 」
セロフィート
「 これは診察の一貫です。
先ずは形而下的に土地や敷地内を調べて原因を探ります。
形而下的な原因が判明すれば、今後の対処もし易いです 」
患者
「 ………………あの……調査料金の方は…… 」
セロフィート
「 治療をする為に必要な処置です。
調査料金は頂きません。
診察代にも加えません。
安心してください 」
患者
「 えっ…… 」
セロフィート
「 ワタシが患者さんに願う事は──、処方箋の実践をしていただく事です 」
患者
「 処方箋の実践……ですか?? 」
セロフィート
「 本日の処方箋を出します。
弁護士と共に行動をして、土地と実家の歴史,御先祖様の事を調べ、知ってください。
弁護士も手伝いますので先祖代々の家系図も作ってみてください。
貴方に1ヵ月、実践していただきたい処方箋の内容です 」
患者
「 わ、分かりました……。
土地と実家の歴史,先祖と家系図……ですね 」
セロフィート
「 1ヵ月後に御会いしましょう。
経過報告を参考に診察させていただきます 」
患者
「 はい…… 」
患者はセロに頭を下げると「 有り難う御座いました… 」と言って診察室を出て行った。
マオ
「 セロ──、今回の処方箋の内容って、つい先日の患者と同じじゃん。
使い回してるのか? 」
セロフィート
「 弁護士と共に土地と実家の歴史,御先祖を調べる──です?
子孫が実家の歴史,御先祖の歴史を知らない事程悲しい事はないです。
自分の育った実家の歴史,先祖の歴史を知る事は跡を継ぐ子孫の役目であり責務です。
悪い事をさせる訳ではないですし、放っときましょう 」
マオ
「 放っとくのかよ。
何時もの放置か~~ 」
セロフィート
「 弁護士の名刺を受け付けで渡しますし、後の事は弁護士に任せましょう 」
マオ
「 〈 器人形 〉に丸投げするんだな。
1ヵ月後の予約してくれるかな? 」
セロフィート
「 さて、どうでしょうね。
予約するのは患者さん次第です 」
マオ
「 でもさ、多分また来るよな。
紅茶もプリンもおかわりしてくれたし! 」
セロフィート
「 気に入っていただけた様で何よりです。
美味しそうなカモが1匹、増えました♪ 」
マオ
「 せめて “ 可愛いカモ ” って言ってやれよ。
食べる訳じゃないんだからさ! 」
セロフィート
「 はいはい 」
マオ
「 それにしても──、有名な霊媒師,霊能力者,除霊師に大金を叩いて、お祓いや祈祷してもらったのに効果が無かった──ってのが気になるな。
普通は少なからずでも効果は出るんだろ? 」
セロフィート
「 依頼をした霊媒師,霊能力者,除霊師に霊観が無かっただけかも知れません。
仮に霊観が有ったとして正しく善い心掛けで行わなければ、効果も少ないです。
お祓いも祈祷も神佛へ真心を供えて目に見えないお力を貸していただく行為です。
効果が出ないならば、問題は人間側に有ります 」
マオ
「 欲深い下心全開の霊媒師,霊能力者,除霊師に、お祓いや祈祷をしても意味無いって事だな 」
セロフィート
「 商売として依頼を受けている時点で駄目です。
貴重な大金を底無し沼へ投げ捨てる行為に等しいでしょう。
罪深い人達に関わってしまったのは不運だと言えます 」
マオ
「 今回はどうするんだ? 」
セロフィート
「 怪異の仕業なら霄囹さんに祓わせます。
〈 テフ 〉へ変換しても構いませんけど、霄
マオ
「 シュンシュン、今は “ 怪異図鑑 ” なんてのを作るのにハマってるんだもんな。
【 恐怖!絶叫!戦慄の怪異屋敷 】なんて名前の怪異資料館を作って、中に “ お化け屋敷 ” も作ってさ、ウハウハ儲けてるもんな~~。
怪異資料館の館長になってから、事務所の運営は弓
セロフィート
「 ふふふ。
一世を風靡した “ 陰陽師アイドル ” が出来なくなりましたし、暇を持て余してるのでしょう 」
マオ
「 幾
セロフィート
「 何
マオ
「 楽しみなのはセロだけだろ~~。
それにしても、自分の先祖の歴史や本家の歴史を知らない子孫が多いんだな。
オレ、吃驚だよ 」
セロフィート
「 マオも自分の両親や本家の事を知らなかったでしょうに 」
マオ
「 それは──、マーフィ
セロフィート
「 そうですね。
マオの実
マオが首から掛けている指輪は、エルゼシア国王が前
ラオインダ
良
マオ
「 良
王族として生きるつもりは更
セロフィート
「 そうでしたね。
ワタシを選んでくれて有
マオ
「 へへへ(////)」
セロフィート
「 マオ、次の患者さんの予約時間です。
紅茶とスイーツの準備をしてください 」
マオ
「 任せろ!
キノコンに用意してもらって来
オレは診察室を出て、裏手にあるスイーツ店と繋がるドアを開けた。




