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⭕ 初めての患者 9-3


セロフィート

「 御待たせしました、まきさん。

  これよりまきさんの診察を始めるとましょう 」 


槇三愛夏

「 お願いします(////)」


セロフィート

「 診察が終わったら受け付けで診察カードを受け取ってください 」


槇三愛夏

「 分かりました 」


セロフィート

まきさんは、どのような事に悩んでいるのですか? 」


槇三愛夏

「 私には……幽霊を見るんです。

  子供の頃からハッキリとです。

  でも──、見えるだけで話しは出来ません!

  さわる事も出来ません。

  見えるだけじゃなくて、体調も悪くなるんです!

  頭痛持ちじゃ無いのに頭が痛くなったり、身体からだあちこちが痛くなったり──、急に吐き気がしたり……。

  たらくしてもらえるって聞いて…… 」


セロフィート

まきさんは勘違いをしてます 」


槇三愛夏

「 勘違い……ですか?

  どういう事ですか!? 」


セロフィート

「 心霊カウンセラー診療所は占いしょでもなければ、祈祷しょでもないです。

  カウンセリングを受ける前に先ず、病院へ行き、身体からだすみ(ずみ)まで検査をしてもらってください 」


槇三愛夏

「 えぇっ!?

  私──病人じゃないです!!

  ちゃんと診察してください!! 」


セロフィート

「 霊的存在が見えるのは、まきさん自身に原因が有ります 」


槇三愛夏

「 私に原因が??

  どういう事ですか!? 」


セロフィート

「 先ず、霊的存在は “ 見える ” ではなく、“ 見させられている ” という事を頭にれてください。

  子供の頃にまきさんが霊的存在を “ 見させられていた ” のは、御両親に原因がありました。

  まきさんの御両親に “ 教えたい事,伝えたい事,悟らせたい事 ” があったのでしょう。

  御両親自身に “ 知らせ ” を掛けるより、子供に “ 知らせ ” を掛ける方が、親は必死になります。

  霊的存在を現在も “ 見させられている ” という事は、御両親には “ なんのアクションも起こしてもらえなかった ” という所でしょうか 」


槇三愛夏

「 どうして……分かるんですか……。

  私は見える所為で両親からはけられていました……。

  両親が私の為にしてくれる事なんて…………虐待ぐらいです……。

  く物置に閉じ込められていました…… 」


セロフィート

「 子供が自立して独りちをすると、親の “ 知らせ ” は子供に掛からなくなるものです。

  ですが、まきさんは両親から離れ、自立し、独りちをしたにも関わらず、霊的存在を “ 見させられている ” 状態が続いていますね。

  見たくもない霊的存在を “ 見させられている ” 現象が続いている原因はまきさん本人に有ります 」


槇三愛夏

「 は?

  なんで私に原因が有るんですか?! 」


セロフィート

「 それはワタシにも分かりません。

  ワタシに分かる事は、霊的存在を “ 見させられている ” 現象を使い、まきさん自身に対して “ 教えたい事,伝えたい事,悟らせたい事 ” が有る──という事です。

  “ 見させられている ” という現象は結果です。

  結果には必ず原因が有ります。

  心霊カウンセラー診療所の役目は、患者さんの身の回りで起こる事物現象の原因を解明し、患者さんが改善,解決を出来るように処方箋をお渡しする事です。

  診療所は答えを出す場所ではなく、答えの出し方を教える場所です。

  答えを出すのは、処方箋を実践する患者さん自身です。

  処方箋の実践をするしないも患者さん次第です。

  此方こちらからは強制しません。

  “ くなりたい ” と願う患者さん自身が努力をする事が1番重要で大事です 」


槇三愛夏

「 ………………患者自身が努力しないとくならない……。

  に弁護士を紹介するように、効果の有るおはらいとか祈祷をしてくれる人を紹介してください!! 」


セロフィート

「 おはらいや祈祷をされるのは患者さんの自由です。

  ですが一時的な気休めでしかない事,最善の解決策ではない事は知っていてください。

  原因を解明してませんし、改善,解決させる為の行動をなにもしないのですから、根本的な解決にはなりません。

  根っ子から抜かなければ、たけのこえますし、放置していれば竹に育ちます。

  おはらい,祈祷,除霊…などは根っ子を残して身だけ取る行為です。

  大事なのは、事物現象を使い、なにを “ 教えておられるのか ” と考え、“ 原因を解明 ” する事です。

  原因を解明する事が出来たら、処方箋を元にして改善,解決をする為に処方箋の実践をする事です。

  実践した事が御意趣のマトれていれば、まきさんに対する用事は無くなります。

  まきさんを悩ませている現象も起きなくなります 」


槇三愛夏

「 じゃあ──、私に合った処方箋をください!! 」


セロフィート

まきさんの処方箋は此方こちらです 」


 セロは〈 (原質)(みなもと) 〉で構成した処方箋をまきさんの前に出して見せる。

 なにが書かれているんだろうな?


槇三愛夏

「 ──えっ…………これが私の処方箋……なんで……こんな…………こんなの無理よ…… 」


セロフィート

まきさん、どんな親でも親なのです。

  子供の頃に両親から受けた仕打ちを許す事が出来なくても構いません。

  それでも、親孝行はしてください。

  両親がるからまきさんは存在し、生きているのです。

  産みの恩,育ての恩,かされた恩を忘れてはいけません。

  動物ですら恩を感じ、忘れないのです。

  恩を忘れた人間はちくしょうにもおとるのです。

  先ずは、子供であるまきさんから御両親に歩み寄ってください。

  和解の方法は、これから一緒に考えていきましょう 」


槇三愛夏

「 ふ……ふっ……ふざけないでよっ!!

  なんで私から彼奴アイツに歩み寄らないとのよ!!

  彼奴アイツの方から私に謝罪するのが先でしょ!!

  彼奴アイツは、親失格な事を子供の私にしてたのよ!!

  私に土下座して謝らない限り、私は彼奴アイツと和解する気は無いわ!! 」


セロフィート

まきさん、どのようつらい事情があっても、人生の先輩であり、御両親に対して “ 彼奴アイツ ” 呼ばわりしてはいけません。

  まきさんに掛かる “ 知らせ ” が増えます。

  少し角度を変えて考えてみましょうか 」


槇三愛夏

なにを言われても私から和解なんてしませんから!! 」


セロフィート

「 現在の母親は無責任な人が多いですね。

  子供を産んでも “ 育てられない ” と言い訳をして、産まれたての赤子をトイレに流したり──、ゴミ箱に捨てたり──、土の中へ生き埋めにしたり──、赤ちゃんポストの中へ捨ててにんへ丸投げしたり──、ひとに付かない場所へ置き去りにしたり──、虐待を繰り返して死なせたり──、死体を遺棄しても罪悪感もいだかずに平然と日常生活を送り、子供の存在を忘れては生活する──。

  そんな無責任で未熟な母親達が社会問題となっています。

  母親の身勝手きわまりない事情により、小さなとうといのちが毎日、かで、心無い母親の手で奪われ、失われています 」


槇三愛夏

「 それがなんなのよ!

  そんな最低なクズ女の子供に産まれるほど、前世で悪い事でもしてたんじゃないのぉ! 」


セロフィート

「 そのとおりです。

  子供もに育てられないような女性のお腹に宿やどらされた意味が、子供にもあります。

  無慈悲にいのちを奪われる子供は可哀想ではありますが、前世で犯したあくぎょうの結果が出ているだけです。

  まきさんも同じです。

  まきさんだけではなく、生きている人達も同じです。

  虐待はされても殺される事はなかった。

  世の中には虐待を受けて亡くなる子供が多い中で、まきさんは御両親から殺される事はなく、現在を生きれています。

  に恩を感じてください。

  むずかしい事ですから、なんねんなんじゅうねんと時間は掛かるかも知れません。

  それでも、両親から受けた産みの恩,育ての恩,かされた恩を忘れないでください。

  恩を感じ、受けた恩にむくいていける大人に成長してください。

  御結婚をされて家族を持ちたい気持ちが有るなら尚更です。

  将来、産まれる子供を、今のまきさんと同じく御両親から受けた恩を感じない、恩にむくいない親不孝な子供に育ててはいけません。

  独身である今の内に、親孝行な娘に変わる努力をしていきましょう 」


槇三愛夏

「 ………………なにが産みの恩よ!

  此方こっちは “ 産んでくれ ” って頼んでないわよ!!

  勝手に作って勝手に産んだのは親の方でしょ!

  産んだ以上は産んだ責任と義務があるじゃない!

  責任と義務を果たすのは当然の事でしょ!!

  育ての恩?

  なん感じないとの!!

  産んだ以上は育てるのが当たり前でしょ!

  育てるのがいやなら初めから産まなければいじゃないの!!

  産まないで中絶でもしてろせばかったのよ!!

  ねぇ、そうでしょ?!

  かされた恩??

  子供をかすのは産んだ親の責任と義務でしょ!

  果たすのは当然じゃないの。

  子供が親に恩を感じないといけない理由なんてにも無いわ!!

  私は彼奴アイツに恩なんか微塵だって感じないわよ!!

  私から歩み寄るなんてしないし、和解なんてしない!!

  私はね、彼奴アイツと会いたくないのよ!

  顔も見たくないし、声も聞きたくないのよ!

  さっさと地獄に落ちて未来永劫、苦しんでほしいのよ!!

  葬式があっても私は絶対に帰らないし、絶対に出ないわ!!

  カウンセリングで侮辱されたのは初めてだわ!!

  こんな所、2度とません!! 」


 まきさんは顔を赤らめて怒ったまま診察室を出て行った。

 ドアがバタンッと強いおとを立ててまった。


 えらい癇癪だったな。

 まきさん、処方箋をグシャグシャにして帰っちゃったよ。

 ………………セロやオレには分からない、複雑な家庭環境で育ったんだろうな……。

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