⭕ 初めての患者 9-2
セロフィート
「 御兄さんの奥さん,子供さん達と和合しましょう 」
名倉谷
「 和合……ですか?? 」
セロフィート
「 はい。
名倉谷さんが処方箋の実践を続けてくれている成果で、御兄さんと和解する事が出来て、関係も良好の様ですし。
槇三さんと御結婚を考えておられるのでしょう?
光君を引き取りたいと考えているなら、御兄さんだけでなく、奥さんとも良好な関係を築く必要が有ります。
お腹を痛めて光君を産んだお母さんですし 」
名倉谷
「 …………それはそうですけど…… 」
セロフィート
「 光君を引き取り、“ 養子として育てる ” という事は、“ 子供から産みの母親を引き離す ” という事です。
どの様な事情が有ろうと、母親は必ず自分を正当化し、養子縁組を拒むでしょう。
母親という存在は勝手で、自分から子供を捨てる事はしても、実子を取り上げられる事を良しとはせず、断固拒否しようと動きます。
名倉谷さんは敵とみなされる事になります。
決して円満な解決は望めませんし、求めてはいけません。
どんな結果を伴うにしても、御兄さんの奥さんとは和合を出来る様に努める事が重要です 」
名倉谷
「 は、はぁ…… 」
セロフィート
「 御兄さんは奥さんや次男さんとは違い、光君の事を心配してくれている様ですし、御兄さんに協力を仰ぎながら、奥さんと和合をしつつ、2人の息子さん達と光君の間を取り持って行きましょう 」
名倉谷
「 子供達の間を取り持つ……ですか?
そんな必要があるんですか? 」
セロフィート
「 名倉谷さん、御先祖様が1番悲しむのは一族の不仲,家族の不仲,夫婦の不仲,兄姉弟妹の不仲です。
和気藹々として仲違いをしない家族関係を御先祖様は望まれていますし、喜ばれます。
御先祖様を悲しましまっては、本家も分家も栄えはしません。
それに養子縁組は最終手段です。
じっくりと腰を据えて、慎重に動かなければいけません。
素人に出来る事には限界が有ります。
プロの弁護士に依頼しましょう。
ワタシが知り合いの弁護士に名倉谷さんに協力してくれる様に依頼をします。
養子縁組の件は一先ず専門の弁護士に任せて、名倉谷さんは御兄さんと一緒に奥さんと和合をする事に心を向けてください 」
名倉谷
「 そんな……其処迄してもらえるんですか?
養子縁組の件を弁護士に任せる事が出来るなんて……。
有り難う御座いますっ!! 」
セロフィート
「 名倉谷さんの話を聞く限りでは、長男さんも光君に対して悪い印象は持っていない様ですし、先ずは御兄さんに協力を仰ぎ、長男さんと接触して光君との間を取り持てる様に行動して行くとしましょうか 」
名倉谷
「 …………そうですね。
次男より長男の方が先に光と打ち解け易いかも知れません。
光は本当に明るくなって、嘘みたいに変わりました。
長男も光と会ったら驚くと思います!
帰ったらキノコンに相談しながら兄と連絡を取ってみますよ! 」
セロフィート
「 是非そうしてください。
では名倉谷さんの診察は以上にしましょう 」
名倉谷
「 はい!
兄嫁と和合が出来る様に兄を巻き込んで、やってみます! 」
セロフィート
「 では1ヵ月後に経過を教えてください 」
名倉谷
「 分かりました。
次は愛夏の診察ですね。
俺、支払いが終わったら裏手にあるスイーツ店でスイーツを見てます 」
名倉谷さんはセロに向かって頭を下げると診察室を出て行った。
御宝殿に参っていたら、“ 霊的存在が薄れて見える様になった ” ってのは凄いよな。
流石はセロが使う古代魔法の効果だ。
次は彼女さんのカウンセリングか……。
ちゃんとまともなカウンセリングをするかな~~。
不安しかないんだけどぉ~~。




