B07:巨大ゴーレム
ダンジョンをブランチマイニングなう。
大部屋から罠をブロック化して回収した俺たちは、魔法金属のゴーレムを発見した。
頑丈で、力が強く、体が大きい。強敵だが、倒せばその死体は純度100%の魔法金属。ミスリルかオリハルコンか何か分からないが、挑戦してみる価値はある。
「動きはそんなに速くないはずだ」
体が大きい。しかも鉱物でできているとあっては、比重も大きい。つまり、大きく素早く動くのはバランスを崩しやすい。耐えて踏ん張るためにパワーが必要で、さもなければスピードを落とすしかない。
ルナの攻撃なら当たるだろうし、ラッキーヒット以外では反撃される心配もない。
「はい。ですが、硬いと思います。
お借りしている槍では、傷もつかないかと」
ルナに持たせている槍は、ミミックなのか宝箱なのか見分けるために持ってきた物だ。攻撃に使うというより、つついて反応を見るためのもの。さほど頑丈でもない安物である。ルナに突撃してもらっても、槍が砕け散って終わりだろう。
「だろうな。
収納してもらってる宝箱に、何かないか?」
宝箱もろとも収納してもらっているので、中身を確認していない。どうせ売り払うからと思っていたのだが、こうなっては期待せざるを得ない。
「そうですね……少し不安ですが、これならあるいは」
そう言って取り出したのは、馬上で使うような槍だった。傘を閉じたような形をしている物で、スピアではなくランスと呼ばれる槍だ。
元々は馬の突進力に頼って使うように設計されているが、飛行速度が物凄いルナなら、スピアよりランスのほうが合っているだろう。
「よし、試してみよう。
槍は壊れてもいいから、思い切りやってくれ」
「かしこまりました」
ルナがランスを持って腰だめに構える。
白い翼が大きく開いて、次の瞬間、ルナの姿が消えていた。
空気の振動を肌で感じる。
同時に、金属同士がぶつかる高い音がした。
「Gu……?」
ゴーレムが少しだけ揺れて、何か当たったか? とでも言うように肩を見る。
「マジか……」
ゴーレムは無傷だった。
ルナが「これならあるいは」と言うから、少しは傷がつくと思っていた。なんなら、大きくえぐれるまであると期待していた。
恐るべき防御力だ。
「申し訳ありません。槍は壊れてしまいました」
戻ってきたルナの手には、食べかけの串焼肉みたいにボロボロになったランスがあった。
容赦なく砕けたランスを見れば、本気でやったのが分かる。
「見事に壊れたな。ルナの実力がどれだけ凄いか、よく分かる」
曲がったとか凹んだとかではなく、砕けた。使い方が悪くて、という可能性は排除される。ルナが強すぎて槍が耐えられなかったという事だ。
「あれはアダマンタイトのゴーレムでした。
今の一撃が通用しないとなると、申し訳ありませんが、私には打つ手がありません。
迂回しますか?」
近くで見たから分かったのだろう。
しかし、アダマンタイトゴーレムか。またとびきり頑丈なやつだな。
「いや、まだ試してない方法がある」
「Guruuu!」
ゴーレムがこっちに向かって走り出した。
「見つかったか」
即座にダンジョンブロックを出して、ゴーレムを封じ込める。
ゴーレムが壁に閉じ込められて、めちゃくちゃに叩いている音が聞こえてきた。
しかしダンジョンブロックは破壊不能。ひびも入らない。
「捕獲成功。あとは倒すだけだ」
ゴーレムの足元にある床、そのダンジョンブロックを、爆発の罠でできた爆発ブロックに交換する。
ドン!
たちまち爆発音が聞こえた。
ダンジョンブロックは、ビクともしていない。だが、ゴーレムもまだ生きているようで、壁を叩いている。
「ダメか」
「人間の足を吹き飛ばす程度の威力ですからね。
アダマンタイトゴーレムには通用しないでしょう」
「まあ、そりゃそうだ。しかし、大爆発ブロックならどうかな?」
罠にも通常版とレア版がある。爆発の罠のレアなやつは、大爆発の罠といって、爆発の威力と範囲がアップしている。
「一応、耳をふさいでおいた方がいいかな?」
俺が耳をふさぐと、ルナもあわてて真似をした。
「ブロック交換」
ズドーン!
大爆発が起きた。
地面が揺れる。
ダンジョンブロックで封じ込めていて、なおこの影響力。
「……やったか?」
「いえ、まだ収納できません。ゴーレムは生きています」
「1発でダメなら、何度でも」
交換、交換、交換!
大爆発ブロックを連発する。
ズドドドド!
連続する爆発音で何も聞こえなくなる。
しばらくすると、ルナが俺をつついた。
「どうした?」
爆発を止めて尋ねると、
「収納できました。ゴーレムは死んでいます」
ルナのスキル【収納】は、生きている魔物や動物を収納できない。収納できたという事は、死んでいる。
「よし。やったな。これでルナの新しい槍を作れるぞ」
「いえいえ、それよりもソリッド様の防具を作りましょう」
「ああ、それもあるな。
たっぷりあるんだから、両方作れるだろう。
だが、一応ブロックを作っておこう。出してくれ」
「はい」
ルナにアダマンタイトゴーレムの死体を出してもらい、俺はそれをブロック化した。
1立方メートルには多すぎて、余った。
「これでアダマンタイトを出し放題だ」
俺自身がアダマンタイトの無限鉱脈になってしまった。
もう、アダマンタイトを売るだけで一生お金には困らないだろうな。
「ですが、アダマンタイトブロックを他人に見せるのは避けるべきです」
「わかってるよ。どこの誰に狙われるか分からないからな」
アダマンタイトゴーレムなんて、そう簡単に倒せるものじゃない。だからアダマンタイトは高いのだ。それを、安全にいくらでも出せるなんて知られたら、全世界を敵に回すだろう。
「将来的には、加工できる職人を仲間にできるといいが。
まあ、それまではアダマンタイトゴーレムを倒して、そのまま売るなり使うなりするのがいいだろう」
俺は楽に倒せるわけだからな。
うはははは!
人生イージーモードになってきた!
「持ち帰るにはルナのスキルが必要だ。頼りにしてるよ」
「お任せ下さい。
いつか私もアダマンタイトゴーレムを倒せるようになってみせます。ソリッド様の隣に立つ者として」
ふんす! とルナは鼻息を荒くする。
アダマンタイトの槍を作れば、すぐ実現しそうだ。しかし難易度の問題ではない。俺と並んで歩くために、というのが大事だ。こういうのこそ、仲間って感じじゃないか。ルナの気持ちがとても嬉しい。




