表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/30

B27:足して2で割った感じのやつ

「……なんだと?」


 マグマブロックを再び空気ブロックに交換してみると、マグマにのまれたはずのアンデッドはすべて無傷だった。


「……いや。すべてって事もないか」


 ちらりと要塞の外を見る。

 地上世界へ向かう門――だった物に入っていく通常色のアンデッドたちは、その向こう側でマグマに飲まれて灰になっていた。

 代理実行で周辺一帯をブロック化した時、門もブロック化されて俺の支配下になっていたのだ。だから転移先を地上世界からこの地下世界のマグマの中に変更してやった。

 地下世界のマグマも、地上世界のマグマと成分は同じ。ブロック化したときにその事は分かった。

 ならば、この結果の違いは、色が逆のアンデッドたちの特性だと見ていいだろう。


「……なら、逆に水を浴びせるとどうなるんだ?」


 色々逆になってるから、火に弱い特性も逆になってるんじゃないのか?

 水ブロックを空気ブロックと交換だ。


「……おお。効いてる、効いてる」


 通常のアンデッドに火を浴びせたときのように、体が小さな破裂を繰り返してだんだん動きが悪くなり、次第に炭化して動かなくなっていく。


「さて、じゃあ要塞の主とご対面といきますか」


 要塞、つまり人工物があるということは、それを作った人物がいる。

 そして要塞からあふれるアンデッド。

 要塞の主が要塞にいるかどうかはともかく、今回の迷惑なアンデッド大発生に首謀者がいることは確実だ。ここに要塞がなければ、自然発生という線もあったかもしれないが……いや、門という人工物が出てきた時点でそんな線はないか。あの門が「そういう魔物」とかなら別だが、普通にブロック化できたし。





「お邪魔しまーす」


 要塞に入ってみると、大きめの部屋にそれっぽい奴がいた。

 床には大きな魔法陣があり、ゴーストとスケルトンを足して2で割ったような姿の――つまりスケルトンがボロ布をまとったような恰好をした奴が、魔法陣の向こうでせっせと魔力を注ぎ込んでいた。魔法陣からはアンデッドがうじゃうじゃ湧いている。


「お前か。我がアンデッドを破壊している者は」


「その通り。生きている者への怨嗟であふれているのがアンデッドだ。そんなの繰り出して『敵意はありません』とか言われても信用できない。

 けど、もし本当に敵意なくアンデッドを繰り出していたなら、すまんかった。敵意がないなら敵意がないなりの使者を立ててほしいものだが、アンデッドしか用意できなかったというのなら、話も聞かずに討伐して回ったこちらにも非がある。

 で、実際のところ、大量のアンデッドを送り込んできた目的は?」


「敵意……ふっ。ああ、敵意などないとも。

 お前はゴミを捨てるのに『敵意』を向けるのか?」


「なるほど。

 つまり、征服とか制圧とかではなく、単なる駆除だと」


「その通りだ。ゴミにしては知恵が回――」


 オッケー。聞く価値なしだ。


「なら、まあ、こちらにとっても同じことだ。

 じゃ、始めるか。駆除を」


 とりあえず水ブロックで塗りつぶしてみる。

 しかしダメージが入ったのか分からないほど一瞬で水が消えた。蒸気爆発などは起きなかったので、蒸発させたのではなく消滅させたようだ。直接くらうとヤバイ種類のやつだ。頭をやられたら世界樹の雫でも治らない。白隼部族でもない俺は、そのまま死んじゃうからな。

 というわけで、転移トラップを設置して要塞の外へ転移。ここからは遠隔攻撃で対処する。ダンジョン管理機能の侵入者探知を使ってボロ布スケルトンの位置を把握し、しつこく水ブロックで塗りつぶしまくる。手数で押して相手の行動を封じる狙いだ。


「うん?」


 ボロ布スケルトンの反応がいきなり消えた。


「いくらやっても無駄だ」


 いきなり目の前にボロ布スケルトンが現れた。

 自力で転移できるのか。それとも俺には見えないほどの高速移動か? いや、高速移動ならそのまま攻撃されていただろうし、俺が転移する前に反撃されていたはずだ。

 とにかく水ブロックを出そうとした矢先、ボロ布スケルトンが全身から炎を噴き出した。それも黒と紫に見える炎だった。赤とオレンジに見える普通の火とは違うらしい。

 そのまま水ブロックで塗りつぶしてみたが、水が黒い炎に触れるとたちまち消えてしまった。


「水を燃やしているのか……?」


 蒸発させるのではなく、燃やして灰にしている。水をだ。

 どういう原理か分からないが、とにかくそういう炎であるらしい。


「くらえ!」


 ボロ布スケルトンが黒い炎を大きくする。そのまま俺を塗りつぶすように攻撃してくるつもりらしい。

 馬鹿め。1立方メートルを超えたぞ。


「面白いな。その炎もらった」


 スキル【ブロック】を発動し、ボロ布スケルトンがまとう黒い炎をブロック化する。

 そして黒い炎ブロックで塗りつぶしてみた。


「むうっ……!?」


 ボロ布スケルトンが声を漏らす。

 そういえば声帯がないくせに、どうやって声を出しているのだろうか? などと思っている間に、黒い炎同士がお互いを燃やして消滅した。

 なるほど、そういう反応になるのか。だが水ブロックよりは有効らしい。


「代理実行、常時繰り返し、敵、塗りつぶし、黒い炎ブロック、相対座標0,0,0~0,0,0、破壊、実行」


 これでボロ布スケルトンが常に黒い炎ブロックに塗りつぶされる。

 しかも、敵を指定して代理実行を使ったので、アンデッドを召喚しようが、どこかへ転移しようが、絶対に防げないし、逃げられない。


「うおおおお……! おのれ……! 世界の中心を手に入れる計画が……!」


 ボロ布スケルトンが灰になって崩れていった。

 いや、この黒い炎ブロック強すぎん? 怖いわ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ