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B21:ダンジョン

 国家が俺たちの存在を「国」より上と認めてから数か月。

 各地にダンジョンを設置して、転移の罠でつないだ結果、俺のダンジョンは世界一のダンジョンに成長した。ちなみに「世界一」の基準は、来場者数だ。ダンジョンポイントの数値といってもいい。年間でも月間でも日間でも、俺のダンジョンが世界一だ。

 これを面白く思わないのが、ほかのダンジョンだった。

 全てのダンジョンには、ダンジョンの管理者――ダンジョンマスターがいたのだ。

 彼らは怒った。自分たちもポイントを集めるべく苦心しているのに、他のダンジョンから資源を奪って成長する俺を、けしからん奴だ、簒奪者だ、盗賊だ、略奪者だ、と批判する。

 まあ、よそのダンジョンがせっせとダンジョンポイントを稼いで生み出したスポナーや罠や宝箱を奪ってブロック化して量産するのだから、資源を「奪う者」というのは言い逃れできない事実だ。

 ここに、ダンジョン連合による宣戦布告がおこなわれた。


「我らダンジョン連合は、『転移のダンジョン』とその管理者ソリッドを認めぬ! 決戦だ!」


 この発表は、俺だけでなく、世界各国の人々が見ていた。なんせ空にスクリーンが投影されての宣戦布告だ。家の中に引きこもっていたような人でもなければ、全員がそれを見ていた。

 ダンジョン同士の戦いは、どうやっておこなわれるのか?

 それは、転移の罠で相手のダンジョンに接続して、戦力――つまり魔物を送り込み、ダンジョンコアを手に入れると勝利だ。


「魔物を戦力――兵士として使うのか。

 まあ、スポナーをブロック化している俺には、無限の兵士がいるようなものだが」


 念のため、ダンジョンから「通路」を消して、「部屋」同士の移動は「転移の罠」のみに限定することにした。こうすれば、転移の罠による移動先は指定でき、永遠に次のフロアへ進めなくする事も可能になる。無敵の防御だ。

 しかし、ここで予想外の事態が起きた。


「我らはソリッド猊下のために挙兵する! 転移の物流網を守れ!」


 物流網を潰されてはたまらないと、各国が支援を表明。

 各国の冒険者や兵士が俺のダンジョンに常駐して、「ダンジョン対人間」という最大の戦いが始まる。


「武器なら任せろ! 最高の物を作ってやる!」


 ドワーフたちが大量の武具を要求されて奮起し、人々はこぞって物流網を守るために参戦。

 結果、戦闘は「人間」側が数の暴力で勝つことになった。


「くっ! まさか、こんな事になるとは……!」


 窮地に立たされたダンジョン連合は、巨大ダンジョンの深層にしか出ない魔物を投入してきた。

 今度は人間たちがピンチになるが、そこで天使部隊が参戦。何度でも復活する白隼部族の戦士たちが、その突撃力と不死身にものを言わせて、強力な魔物を撃退した。

 俺も、新しく作ったマグマブロックで参戦した。撃退されて逃げ出そうとした魔物を、マグマに飛び込ませてやった。ダンジョンコアで同じことをやろうとすると、部屋全体の床がマグマに変わってしまい、味方を巻き込む。その心配がないのは、1メートル単位で操れる俺だけの利点だ。

 もはやダンジョン側に打つ手はなくなった。

 こうして、ダンジョン対人間の戦いに決着がつく。


「コアを掌握した。このダンジョンも俺の支配下だ」


「くっ……! 仕方あるまい……! もはやこれまで……!」


 最後のダンジョンも屈服し、俺の支配下に入る。

 敗北したダンジョンは、すべて俺の支配下に入り、それぞれ異なる特色と産物をもつように再調整した。それぞれのダンジョンには、俺のダンジョンを経由することで簡単にアクセスできるようになる。

 俺のダンジョンは現金収入特化型で、もとより万人受けするものだったが、他のダンジョンに転移できるようになったことで、ターミナルとしての機能を持つようになり、来場者が急増した。

 また、俺のダンジョンを経由すれば、すべてのダンジョンに行き来できるとあって、俺のダンジョンを中心に他のダンジョンにも活気が出て来た。

 こうして、すべてのダンジョンが来場者を増やし、従来よりもポイントを稼げるようになると、誰も文句を言えなくなる。論より証拠だ。結果を出す奴には、誰も文句を言えない。

 無関係、中立を保っていたダンジョンも、俺を利用したほうがいいと判断して次々と俺の傘下に入ることを表明し始めた。

 こうして俺は、超国家的な存在だけでなく、超ダンジョン的な存在――魔王を超える魔王とでもいうべき存在になってしまった。

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