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B19:国家

あっさりダイジェスト風味でお届けします。

 ダンジョンの運営は順調だ。

 それに伴って、近くの町が発展している。

 それは、国家に目を付けられるほどだった。


「国がこの街を……というか、ダンジョンを管理しようとしているらしい」


 ある日、鍛冶師から聞いた話。

 国家の動きは、王宮から領主へ、領主から出入りの鍛冶師に伝わり、そして鍛冶師と関係の深い俺にも伝わる。


「管理、か……」


 ダンジョンから得られる貴金属や魔法金属の量が、国の経済に影響するほどになってしまったのだろう。

 流通量を抑制しなければ、貴金属や魔法金属の希少価値を糧にしている商人や加工職人たちが困ることになる。国内でその希少性を保つために輸出に力を入れれば、他国の食い物にされてしまう。まさに「過ぎたるは及ばざるがごとし」という事だ。

 ぶっちゃけダンジョンポイントをためても欲しい物はないし、国がダンジョンを管理するといってもダンジョンの運営に口を出せるわけではないので……どうでもいい、というのが素直な感想だ。

 ただ、超国家的な存在を目指す俺が、こんなところで国の管理下に置かれるというのは、気にくわない。


「……であれば、他の国や教会と関係を持つのがよろしいでしょうな」


 長老に相談すると、そういう答えが返ってきた。


「他国や教会と、か……しかし、関係を持つといっても、どうしたものか……」


「ダンジョンには、転移の罠がありましょう? その転移先を1つに固定して、長距離を瞬時に移動できる交通網、あるいは物流網となさいませ。

 利益に敏感な商人たちは、何としてもこれを利用するでしょう。国がいくら禁じても無駄なこと。経済こそは国を越えて世界を牛耳る『怪物』でございます」


 長老の助言に従って、各地にダンジョンを作り、相互に転移できるように転移の罠を設置した。

 各国に設置したダンジョン――飛び地を、転移の罠でつなぐ。

 罠の転移先を絞っておけば、確実に特定の転移先――すなわち、両国間へ転移できる。これで物流網を改変できるとともに、それをいつでも断絶できる。


「国王陛下よりの勅命である。

 領地内のダンジョンは王国の直轄とする。以後、入場には税を課すこととする」


 王宮からの使者が来て、領主に一方的な命令を通達した。

 領主は王宮に仕える貴族だ。王からの命令であれば、逆らう事はできない。

 だが、ダンジョンは別である。ダンジョンは魔物なのだから。


 当ダンジョンは、王宮からの干渉を拒否する。

 ダンジョンは魔の領域であり、人の領域ではない。

 よって、王国には制裁を加える。


 看板を出して、転移の魔法を撤去――物流網を断絶した。

 移動に時間がかかる王宮の使者は、ここまでの行動に数ヶ月を要しており、ダンジョンを使った物流網は、より機敏な商人たちの手ですでに形成されていた。

 それが断絶されると、国は世界から切り離されたようになってしまう。

 ほんの数か月前までは、それが当たり前だった。だが今は、他国とリアルタイムにつながっているのが当たり前になってしまっている。その経路が断絶される――その意味は、物流とか経済とか、そんな民間レベルの事だけにとどまらない。政治的にも国際社会に取り残されてしまう事を意味する。


「なんたる事だ……!」


 領主も国王も泡を食ったが、今さら遅い。

 ダンジョンは王国の「国民」ではないのだ。行政サービスやその他の庇護を受けない代わりに、国の思惑に従う理由もない。

 他国にもこの状況は知らされ、各国の王たちはダンジョンに不干渉を決め込んだ。

 見事な反面教師になった王国は、国際社会に復帰するため、ダンジョンに――俺に頭を下げることになった。


「管理しようなどと考えるのはやめるから、転移の復活を……ッ!」


 しばらく無視してやったら、だんだん偉い人が出てきてダンジョンで土下座するようになり、しまいには王様が出てきて土下座を始めた。

 しかし、実際に国際的な存在になってみると、たかが1つの国に過ぎない相手にそこまで大きな意味などないと気づいてしまった。むしろ、ここで甘い顔を見せては後のためにならない。許すメリットより、許すデメリットのほうが大きい。許さないメリットが、許さないデメリットより大きい。どう考えてもそういう結論になってしまうので、物流網の寸断は継続。

 最後には、王族が責任を問われてクーデターを起こされる事態となったが、俺には知った事じゃない。中央政府に特に顔見知りの相手もいないわけだし。

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