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B14:職人街

 職人街にやってきた。

 前に話をしておいたドワーフの鍛冶師に、マーゴ・ロックをあずける。


「ああ、その話だが、あんたに会ってもらいたい人がいるんだ」


 と鍛冶師に連れられて、別の工房へ。

 少し大きめの工房で、休憩室へ通された。

 そして、ひときわヒゲの立派なドワーフがやってきた。年齢もかなり上のようだ。まさに熟練工といった雰囲気である。


「ここの工房主のムラメサ・ロック・ミスリルだ。

 あんたがソリッドか?」


 名前から察するに、ミスリルの採掘をしていた部族の出身らしい。もっとも、この周辺にミスリル鉱山なんかないはずだから、今は単に「出身がそこ」というだけの意味か。あるいはドワーフだけが知っている秘密の鉱脈とかがあるのかもしれないが。


「そうだ」


「アダマンタイトやドラゴンの素材、まだあるかい?」


「ああ……」


 なんとなく分かった。

 素材を渡した鍛冶師が、自分だけで使うには手に余るものだと考えたのだろう。それで、まとめ役とか相談役とかそんな感じの事をやっているこのムラメサに相談したという事か。

 つまり、マーゴを預ける先は、ムラメサになりそうだ。


「職人街の全員にいきわたるように、もっと欲しいという事か?」


「そうだ。代金は払う。譲ってくれないか?

 この職人街の連中を底上げするチャンスなんだ。アダマンタイトやドラゴンの素材を加工できる職人だって、今は10人もいない。このままじゃ技術が継承できずに途絶えてしまう。そこに、あんただ。まさに救いの神。こんな事、ワシが生きている間には二度とないだろうからな」


「分かった。どこで引き渡せばいいか教えてくれ。

 だが、代金はいらない。その代わり、このマーゴ・ロックだけじゃなく、もっと多くのドワーフの奴隷を連れてくる。鍛えてもらいたい。最終的には、全部で100人ぐらいになる予定だ」


「100人……そんなにか。

 ドワーフを鍛冶仕事に戻してくれるのは願ってもない事だが、さすがに100人も寝泊まりする場所はないぞ」


「なければ作ればいい。そっちで無理なら俺が作るが?」


 ブロック並べて結合していけば完成だ。簡単である。

 一方で、鍛冶師が大工の真似をするのも不可能ではないはずだ。建物といったら木造や石造りが代表的だが、金属で柱や梁や筋交いを作っても、建物はできるはず。要塞みたいに頑丈にしなくていいから、材料をできるだけ薄く細くして節約すれば、全体の重量も減ってむしろ崩壊するリスクは下がるだろう。もっとも、壁まで金属の板で作ると熱効率が悪くなりそうだが。

 夏は日光に熱せられてサウナのようになり、冬は寒気に冷やされて氷の中のようになる……住むにはちょっと地獄である。さすがに壁は木材を使った方がいいだろう。あるいは表面を植物で覆ってグリーンカーテンみたいにしたり、防風林みたいに庭木で囲んで日陰を作ったりすれば、マシになるはずだ。


「無理なんて言ってねぇよ。確かに、なければ作れが俺たちの信条だ。

 だが、作るにゃ材料が必要だ」


「アダマンタイトやドラゴンの素材を買おうとしたんだから、資金はあるんだろ?」


 鍛冶師はあまり儲からない仕事だから、どうやって金を集めたのかは分からないが、だいぶ無理したのは分かる。前回はタダでやると言ったから、今回も安く買えるのではないかという打算があるかもしれないが。


「それはもちろんだが、まあ、最後まで聞け。

 100人分の宿舎を作って、100人のドワーフを受け入れ、鍛冶師として鍛える。ここまでは、できる。

 だが、その後だ。

 鍛えたドワーフ100人を、あんた、どうするつもりだ? どこに住まわせて、どこで働かせるつもりだ?

 引き取るつもりなら、住居も工房も必要になるだろう。引き払った後の宿舎をどうするかって問題もある。まあ、こっちは解体して終わりならそれでもいいんだがな」


「そっちで無理なら俺が作ると言っただろ? 俺だって100人分の宿舎を作るぐらいは、わけもない事だ。

 工房も同じく……まあ、それぞれの使い勝手に合わせて後から変更していく形になるが」


 ブロックをつなげて作るから、けっこう大胆な改造もできる。

 このあたりは、普通に建築するより強いところだ。


「もちろん育成後には引き取るつもりだ。

 職人街の皆さんを人材育成所として使い倒すことになるから、練習用の素材ぐらいはこっちで用意するつもりだが、あんまり何もかも俺が用意してしまっては、せっかくの100人がこの街の経済に貢献できない事になる。日用品とか食料とかは、金だけ渡して各自に任せるほうがいいかと思うが。

 引き払ったあとの宿舎は、そちらで好きなようにしてくれればいい。建てるのもそっちなんだから、俺が口を出すことじゃないだろう」


「分かった。そっちが問題ないなら、あとは任せろ。

 練習用の素材をくれるというなら、ありがたく貰う。おまけに日用品や食料の費用まで持ってくれるなら、こっちの負担はそれほど大きくならないだろう。

 奴隷は贅沢に練習できて、俺たちの負担も少なく、あんたは育った人材を得られると……三方良しのウィン・ウィンだな」


「それじゃあ、素材を引き渡そう。

 アダマンタイトとドラゴンの素材だ。盗まれても大変だが、どっちも元が巨体だから量が多いぞ。

 練習用の素材は、明日以降のほうがいいか?

 どこで保管するつもりだ?」


「そうだな。練習用の素材は明日以降にしてもらおう。

 それじゃあ、案内しよう」


 そのあと素材を引き渡して、マーゴ・ロックの生活費をあずけた。

 それから、練習用の素材として鉄を集めるために、ダンジョンへ向かった。ダンジョンコアブロックを接続してみたが、自分のじゃないダンジョンの管理はできず、最下層まで制覇してコアにアクセスすることになった。アイアンゴーレムをスポーンさせて、倒して鉄をゲット。アダマンタイトゴーレムに比べれば簡単だ。

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