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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

3年後、タイムカプセル

作者: あ。


「もう少ししたら25だもんな」と柄にもなくしんみりとしたことを言った人がいた。

まだ、3年は優にあるのに。自分で言っといてなぜかその3年、という言葉がやけに気になった。

彼が25になるとき私は23になる。その時私は何をしているのだろうか、とそんなことをふと思った。でも、何もわからなかった。わからないどころか23になった自分の姿すら想像できなかった。代わりに出てきたのは、突拍子もない発言だった。

「3年後の自分に宛てた手紙書いてタイムカプセルやってください。そんで3年後に何書いたか教えてくださいね」と私は言った。

「その時になったら俺もお前も絶対忘れてるだろ、そもそも自分でやるから意味があるんじゃねぇの?」と。そりゃそうだ、私が逆の立場でもきっと同じことを言っただろう。だけど、卒業した後でも有効な何かつながりのようなものが欲しかった。3年といわす、5年後も10年後もつながっていられるような何か。実際に会うのはたぶん無理だってそんなことくらいわかってる。だって彼女でもないし、友達というのとも少し違うから。うまく表現できない関係性。強いて言うなら飼い主とペット、みたいなそんな関係なのかもしれない。会えないとわかっていてもそれでも今みたいにたまにどうってことのないとりとめのない話でLINEして懐かしさに浸れたらそれだけできっと十分。


そうして1番来てほしくなかった彼の卒業の時がやってきた。みんなで書く寄せ書きのメッセージには色々なことを書いた。休みの日にみんなで集まってふざけてたこと、行き先決めでルーレットを回したけど結局どこも行かずに終わったこと、負担金額のおかしい割り勘で焼き肉を食べたこと、全部が楽しくて幸せな思い出。何の約束もしなかったけどいつかまたきっとどこかで会える、不思議とそんな予感がした。


ぽちはずっとぽちでいますという言葉を彼はどう受け取ったのだろうか。


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