はじめてのVRMMO
「なんか予想以上に家まで時間がかかったな……」
まあ、あの後途中まで委員長と一緒に帰ってきたのはそれはそれで楽しかったし、よしとしよう。それよりもあの豪運悪魔に見つかるとめんどくさいから早く部屋に行かねば。逃げるように部屋に滑り込んだ俺は念願のVRギアを手にし笑みを浮かべる。
「ついに来たなこの時が!」
小さいヘッドホンのような形のギアをこめかみに挟み込んだ俺は、はやる気持ちを抑えダイブするためにベットに横になった。
「さて、行ってみますか! ダイブ!!」
少々恥ずかしいが、音声認識のためのワードをいうと俺の意識は落ちていった。
「おぉ? なんか周り中スクリーンだらけ?」
なんかそこら中にスクリーンが浮かんでるけど設定画面かな? なんかすげーバーチャルな感じだ!(語彙力)。んでどうすんのこれ?
「お待ちしておりました。ユーザー登録名仙道諒太ですね?ファルトナファンタジーへようこそ。チュートリアルまでの間ですがご案内させていただきます。」
「おぉう!!」
いきなりの女性の声に変な声出ちまった。そういやVRMMOって最初大体こんな感じってみんな言ってたな。
「はい! よろしくおねがいします!」
なんか大人の女性っぽい感じで変に緊張すんな。いやただの案内音声ってのはわかってるけど。わかってるけど!
「最初にこの世界で旅するためのネーム、容姿を決定してください。容姿は今のご自身の姿をそのまま使用することも可能です。」
容姿か。キャラメイクし始めるとものすごいこっちゃってあほみたいに時間食うんだよなぁ。早く遊びたいし目と髪の色変えるだけでいいや。ネームはいつもゲームで使ってるやつでいいな。
「ネームは千両、容姿は今の姿に髪を白く目を赤く。」
……何か厨二心をくすぐる感じになったが良しとしよう。
「では次に職業を決めてください。この職業はいつでも変更することができます。」
出たな職業。発売してそこそここのゲームは経ってるからある程度の情報は出てる。下調べはちゃんとしたからここは悩まなくて済むな。
「冒険者でよろしく!」
俺は自分が最初に試したいと思っている事に最適であろう職業を選ぶ。いやまあ思い通りにいかなくても転職はすぐできるしそんなロスにはならんだろ。
「では職業冒険者でチュートリアルを開始します。気分が悪くなる可能性があるのでフォルトナの世界に降り立つまでの間目をお閉じ下さい。」
俺はワクワクしながら目を閉じた。