家が俺を呼んでいる
他作品の息抜きに書いていこうと思います。
「よっしゃぁ!夏休み突入!!とっとと家に帰るぞ!!」
1学期最後の帰りのホームルームが終わると同時に俺、仙道諒太は席を立ち帰ろうとする。
「おーおー慌ただしいねぇ。そんなにあのゲーム楽しみなん?」
友人の加々美壮太が話しかけてくる。あのゲームとは少し前に発売され、大ヒットとなっているVRMMOのフォルトナファンタジーというゲームの事である。
「集中してやるために夏休みまで待ったからな!初めてのVRMMOだからワクワクだ!」
ゲームは色々昔からやってきたけど機器が高価なこともあって今まで手を出せなかったんだよな。
「一学期バイトに励んだ甲斐があったってもんだぜ!妹は懸賞で当てやがったけど。」
二つ下の妹の優奈がこれでもかというドヤ顔でゲーム機を見せてきた事を思い出し、そのうち寝てるときに顔に落書きでもしてやろうと心に誓う俺である。
「相変わらず豪運だな優奈ちゃん。」
「あいつは悪魔に愛されている。」
二人で話していると
「ちょっといいかな?湊君に頼みたいことがあるんだけど。」
クラスの委員長である立花冬子が話しかけてきた。ちなみにこの少女黒髪ストレートのメガネ美少女という完璧な委員長である。そして胸が大きい。大事な事なので二回言う、胸がとても大きい。
「どうした委員長?委員長のような美少女の頼みなら何でも聞くぞ?」
こんな美少女と同じクラスなんだ。俺も妹程ではないが豪運かもしれん。
「ありがとう、でも委員長はやめて欲しいな?」
なぜだろう、こんなにすごく委員長らしい委員長なのに彼女はあまりそうよばれたくないらしい。
「それでお願いなんだけど、このプリント職員室にもっていくの手伝ってくれないかな?」
「あばよ冬子ちゃん!俺はこの夏休み君に会えないのだけが心残りだ!アディオス!!」
彼女が言い終わるのと同時に俺は脱兎のように教室の出口に向かうが、
「待ちなさい。」
クラスメイトの姫川ありさに出口をふさがれてしまう。ちなみにこの少女も委員長に負けず劣らず整った顔なのだが小さい。背もある一部分も。ツインテールも相まってほんとに高校生なのかと疑うほどだ。
「あれぇ?どこから入ってきたんでちゅかぁ?お兄さん今から帰るからそこを……がはぁ!」
腰をかがめ、思いっきりウザイ顔を作りながら煽っている途中で顔を叩かれる。グーで。
「お前!せめてビンタとかにしとけよ!!」
俺は抗議の声を上げるが
「うっさい馬鹿。とっとと冬子の言うこと聞いて職員室行きなさいよ馬鹿。この馬鹿。」
「馬鹿が多い!委員長を助けたい気持ちはあるがなぜ俺なんだ!」
「あんた日直でしょう。」
「……」
俺は俺たちを見てあたふたしている委員長に
「謹んで行かせていただきます。」
そう告げるのだった。