3-9 追加の薬作成(いそいでつくろう)
『アルバス~・お土産のお肉なのなの~~~~』
『おお、肉だな。うん…相変わらず旨いな』
『美味しいのね~~~』
二人は先ほどギルドから戻る際に購入した焼肉を美味しそうに食べているところだ。
(ラティはアルバスの気を吸っているが、その仕草は食べている様子そのもの…)
『あのね~・今日もね~・ラヤーナね~・モテモテだったのね~』
『今日も?いつもモテモテなのか?…というか、モテモテとは何だ?』
『モテモテはね~・異性にいっぱい好かれるってことなの~』
『あぁ…人の…番を探す営みのことか…』
『モテモテなの~・オータムナスのお祭りがあるんだけどね~・ラヤーナとまわりたい人いっぱいいるのね~』
『そんなにたくさんいるとあしらうのが大変だろう?』
『それはね~・ユリアがレスリーと一緒に撃退しているのね~』
『あぁ、あの時助けた子供たちか』
ラヤーナは二人が話している様子を微笑ましく見ていたが、今晩ここに来た目的は薬を追加で作成するためだと思いだし、調剤の準備を急いですることにした。
「二人とも、薬を急いで作り始めるわ。材料は調剤室にまだあるからしばらくお手伝いは無いと思うの。でもそうね…半ルラルくらいしたら、追加の薬草や果実を取ってきてくれるかしら?今晩中にすべて追加で3000ずつくらい用意したいの。日付が変わる前には秘森に行きたいわ。」
『わかった。適当な頃に果実と薬草をお前のいるところに持っていく。』
『ラティね・アルバスのお手伝いね!・ちょうどいい実を探すのね~』
「二人とも、お願いね。」
アルバスがラヤーナと守りの絆を結んでから、アルバスの魔力も、使える魔法種も増えた。必要な材料を刈り取ったり運んだりすることもできるようになったため、大量に薬を作る際はいつも材料調達を二人に頼んでいる。
ラヤーナが調剤室に入り、作業を始めると、ラティはアルバスと庭に出て、薬草や果実を取る作業を始めた。
『それでね~・今はね~・4人の人がラヤーナのこと好きなのね~』
『それは番うという意味でか?』
『多分そうなのね~・みんなラヤーナを妻にしたいって思ってるのね~』
『…そうなのか…それは気の毒に…』
『ラヤーナね~・全然その気がないもんね~』
『ないな。』
『薬作るのでいっぱいね~』
『それもあるが、ラヤーナには番への反応はまだないな。それに薬は作るだけではなく、新しいものを生み出そうとしているだろう?』
『あ~・あの凄い薬のことね~』
『そうだ。欠損部を修復する薬の強化したものだ。この間からいろいろと作っているだろう?まだできないと言っていたが、もう少しでできるだろう。』
『もう少し?アルバスにはわかるの~?』
『ラヤーナの薬製のスキルが上がりそうだ。その他の薬に関するスキルももうすぐ上がる。そうするとおそらく思うような薬が作れるようになるだろう。』
『え~凄いのね~・絆があると・守護対象のこといろいろわかるの凄いのね~』
『まぁな…』
『ね~・アルバスの魔力も上がってるのね~・それも絆のせいなの~?』
『そうだな。ラヤーナを守るために必要な力だ。守護対象が力をつければ、守護する我の力も上がる。』
『すごいのね~・アルバスかっこいいのね~~~』
『ま、まあな…』
『あ~アルバス・照れてるのなの~~~・ムフフフ~~』
『…//…』
ラティはアルバスの背中辺りで、この実がいい、あちらの薬草がいい、とアルバスに伝えながら、背中の毛の中に入り込んだり、ぶら下がったりしていて遊んでもいる。
『さぁ、そろそろ薬草と果実を持っていくぞ。』
『はいなの~』
薬草と果実を持っていくと、ラヤーナが大量の薬を種類別に魔法袋に入れているところだ。ギルドに転送するときは、転送ボックス(転移魔法でボックスを転移させる)を使うことにしているが、それはこの家のシールドのすぐ外にある小屋から転移させる必要がある。今は時間もないため、ギルドに追加納品する分も、別の魔法袋に入れて明日の夕方、店舗に一緒に持っていくことにした。そこからギルドに納品する予定だ。
「二人とも、ちょうどよかったわ。できた薬を今、袋に入れているところよ。これが終わったら追加の薬の残りを作るわ。材料はそこにおいてくれる?」
『ここね~・ここにおくのね~』
「そうそう、ありがとう。それからマーゴとマースカ、チェルルとモモルも必要なの。今採ってきてもらった量だと…マーゴとモモルが少し足りないわ。実をもう少し持ってきてほしいの。」
『あぁ、わかった。他には?』
「他は…そうね…ギーの葉はこれで足りそうよ。オバーコとパーセがもう少し欲しいわ。」
『あ~・ジージャもいるのね~・ジージャロップ追加でお願いって言ってたのね~~~~』
「あーーーー、そうだったわ…忘れていたわ…ジージャとビーロップもお願いね。いつもの…そうね…いつもの3倍持ってきてほしいわ。多分、ビーロップは今家にある分がちょうどそのくらい作れる量だと思うの。明日町に行ったらビーロップは追加で買っておきましょう。」
『わかったなのね~・ラティ覚えておくのね~~~・ラヤーナ時々忘れるの~~~』
「そうなのよね…記憶力も16歳の時のようにすっかり戻っていると思うんだけど、時々80代の時だった感覚が出ちゃうのよね…」
『…それは…年齢ではなく、もともとうっかりしているところがあるからではないのか?』
『あ~~~・アルバスだめなのね~~~・それを言ったらだめね~』
『どうしてだ?本当のことだろう?』
『本当のことでも口に出さない方がいいことがあるって・フランカがレスリーやユリアに言ってるの聞いたのね~・大人はそういうものなんだって言ってたのね~~~~』
『ほぉ、そういうものなのか…』
「…あなたたち…それは私がうっかりしている…って言いたいということなのね…」
『まぁ、気にするな。我がついている。うっかり鬼獣にやられることもないし、森でうっかり道に迷うこともない。』
『アルバス~~~頼りになるのね~~~!』
『まぁ、まかせておけ!』
「……ふぅー…もういいわ。あなたたちの言いたいことはわかりました。うっかりは気を付けるようにします。とにかく今晩は薬を作ってしまわないといけないわ。」
『すぐに果実を取ってこよう。我に任せておけば大丈夫だ。』
『ラティもいるのね~・任せてなのね~~~』
「はい、はい。お願いしますね。」
ラティとアルバスは果実を摘みに庭に向かった。ラヤーナ自身はそれほどとは思っていなかったが、二人が言うほど自分はそんなにうっかりなのか…アルバスにも言われ、もう少し普段から気を付けようと気を引き締めた。
実はラヤーナはかなりうっかりさんです。害のない笑い話になる範囲ですが、いろいろとやらかしています。