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れっつ世界を救おう  作者: Luna
第2章 れっつオープン薬屋さん
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2-42 ラヤーナ 店を手に入れる


ギルド長っていったい何者なんだろう…ラティは味方って言っていたから大丈夫なのはわかるけれど…おいおいわかるって言っていたからそのうちわかるんだろうけれど…不思議な人だ。


ラヤーナはレスリーと、食材も含め屋台で夕食になりそうなものを大量に買い込んだ。食べてみたかったものを中心に、デザートやお菓子まで買ってみた。


「たくさん買ったね!」


「だって、食べてみたかったんだもの。」


「ユリアにもお土産買ったし、お父さんにもお母さんにも買ったし、みんな喜んでくれるといいな!」


「そうね。」


ラヤーナとレスリーが家に戻るとすでに父親のヘリットが帰宅していたようで、母のフランカ、ユリアと共に二人の帰りを待っていたようだった。


「お帰りなさい。ラヤーナさんも、また戻ってきていただいてありがとうございます。」


「いえいえ、こちらこそ。これ、たくさん買ってきたんです。食べてみたかったものもあるので、皆さんでいただきませんか?」


「すみません。こんなにたくさん…」


「あ!ユリアの好きなやつだ~~~~。いっぱいある~~~~~!!!」


「あ、これ、食材です。美味しそうだから買ってきちゃいました。良かったら使ってください。」


「…すみません…何から何まで…」


「いえいえ。こちらこそ、これからいろいろお願いすることになるので…」


「ラヤーナさん、魔法書も道具も、好きなだけ持っていってください。店舗としてもラヤーナさんへお貸しするのは問題ないと主人も言っています。寧ろ別邸の店の部分は差し上げないといけないくらいなんですが…手続きが…」


「いえいえ、お店は管理も含めてちょっと私では難しいので、それも含めていろいろお願いがあるんです。そちらは後でゆっくりご相談させてください。今はいろいろ買ってきたので先に食べませんか?正直お腹が空いていて…」


「あら、ごめんなさい。そうね。せっかくラヤーナさんが用意してくださったんですもの。子供たちもとても喜んでいます。ここしばらくは食事も質素なものだったので…ラヤーナさん、本当にありがとうございます。」


みんなで食卓を囲み、屋台で買ってきたいろいろな料理を食べた。

レスリーのお勧めの物やユリアの好物は、とても美味しかった。ラヤーナが匂いに惹かれて買ってきたものは、ラヤーナの口には微妙に会わなかったため、ヘリットやフランカには大笑いされてしまったが、ヘリットの好物だったらしく、それは無事にヘリットのお腹に収められた。

デザートもいろいろ購入して、特にレスリーとユリアに説明を受けながらみんなで美味しくいただいた。お菓子も買ってきたので、子どもたちは半分明日用に取っておく、と言って自分たちでしまっていた。絵本やおもちゃなども買ってきたため、そのうち子ども二人はお菓子を持って、部屋の隅で仲良く遊び始めた。食事も終わって一息ついたところで、相談の続きをすることにした。


「それで…魔法書の件なんですが、やはり買取させていただきたいと思います。」


「…しかし…」


「その代わり…と言っては失礼かもしれませんが、別邸にある魔道具をそのまま全部譲っていただけませんか?昼間にフランカさんから処分したいが費用も掛かるということを伺って、処分するのであれば譲っていただけないかと思いました。」


「それは、逆にそうしていただけるとうちは助かります。でもラヤーナさんの負担でしょう。」


「いえ、面白そうな道具がたくさんあるんです。今は使えないかもしれませんが、そのうち使ってみたくなりそうなものもありますし、私も今は薬を作るほうに時間を取られてしまって、ゆっくり見たくても見れないんです。ですから、処分をされるのなら譲っていただけると嬉しいです。」


「それではお礼の代わりにもなりませんが、それでよろしければあの部屋の道具は全部持っていってください。」


「ありがとうございます。それから魔法書ですが、こちらはやはり購入させてください。町の魔法書店では購入すらできないので、私としては手元にある、ということですごく安心します。こちらに関しては代金を受け取っていただきたいんです。」


「いや…でもそれは…」


「他にもお願いしたいことがあるので、こちらに関しては絶対に受け取ってください。お願いします。」


ヘリットは最後まで代金を受け取ることを渋っていたが、家族のことを考え最後は受け取った。ずっと体調を崩し、日々の食糧を買うことさえ厳しかった。体が全快したとはいえ、薬を買うお金もまだないし、食料もラヤーナが昼も夜もたくさん買ってきてくれたおかげで数日は何とかなりそうだが、給金が出るまでにはまだ数週間はある。子供たちにご飯を食べさせてやりたい。今日も屋台でラヤーナが買ってきたものを本当においしそうにほおばっていた。菓子はずっと買ってやれていなかった。


ラヤーナに渡された70万エルクという大金を持ち、ヘリットもフランカも涙ぐんでいた。子供たちは菓子とおもちゃでこちらのことは気づいていない。ラヤーナはこの家の救世主だ。本当に感謝してもしきれない…


「ラヤーナさん、ありがとうございます。本当に…本当に…ありがとうございます。」


「いえいえ、これは代金です。私としては普通に普通の値段でお支払いしているだけです。本当はもっとお支払いしようかとも思ったんですが…やっぱり相場でお支払いするのが筋なのかなって思ったんです。」


ラヤーナは本の代金をもっと上乗せすることで、援助をしようかとも思ったのだが、それは彼らのプライドの問題もあると思った。ローラ様が言っていたように、オオカミ獣人は思いやりがあり正義感が強い。融通が利かないと言っていたから、筋を通した方がよいと思ったのだ。

無事お金を受け取ってもらい、ラヤーナもホッとしたところだ。


「それで、お店についてなんですが…その別邸を貸していただきたいと思うんです。お店としてお借りする使用料を毎月お支払いします。そこを薬屋さんとして使用させていただきたいんです。」


「それはもちろん構いません。ラヤーナさんにはお世話になってばかりですから。使用料も特には…」


「いえ、お家賃はきちんと払わせてください。ギルドにも店舗貸しとして、登録したり手続きをしたりしていただかなくてはならないと思いますし、税金も払わなくてはならないので、お店としてお借りして、賃料を払わせていただきたいんです。私はこちらに住むことは薬を作るためには無理なので、税金の手続きも家主として払っていただけるととても助かります。そしてもう一つお願いなんですが、レスリーにお店番を手伝ってもらいたいと思っています。」


「レスリーに、ですか?」


「はい。まだ一人では無理だと思いますので、お母様のフランカさんにもお手伝いしていただけると助かります。私は薬を作らなくてはならないので、町には2週間に一度程度しか来れません。お店はしばらくの間、週に3回程度、一日2~3ルラル開く予定です。」


「そのくらいでしたら私もお手伝いできます。」


「はい。そうしていただけると助かります。フランカさんにもレスリーにもお給金を出しますので、お願いします。」


「お給金は…」


「これはお礼のお願いではなく、お仕事のお願いです。レスリーがいろいろと覚えれば、フランカさんにもまた別にお願いすることも出てきますし、ユリアもお店で一緒にお手伝いしてもらってもかまいません。その時はユリアにもお手当を出しますね。」


「ラヤーナさん、レスリーはまだしもユリアにまでは…」


「ヘリットさん、もちろんユリアにはお小遣いのような少額です。でも仕事をそばで見ながら自分も何かお手伝いできると思えばユリアも楽しいと思うんです。実際、私がレスリーとユリアを助けた時、ユリアは自分も何かしたいから、と言っていました。ここの店なら家からすぐ近いですし、ユリアも一人でいるより、お店に一緒にいる方がよいと思います。ユリアは可愛いので、看板娘になるかもしれませんね。」


「ラヤーナさん。何から何まで…」


「本当に…甘えてもいいんでしょうか?…主人が怪我をして、私も仕事を何か、と思っていましたが…やっぱりレスリーや特にユリアはまだ小さいですし、離れるのは心配で…」


「お店番をしていただけると私が助かるんです。薬を欲しいという人たちは大勢いますが、私は毎日町で薬を売ることはできません。ギルドへの納品もあるので、町の人たちへの薬は店舗でお店を担当してくれる人が必要なんです。」


「ラヤーナさん、わかりました。私でよければぜひお手伝いさせてください。レスリーもユリアも一緒にそばにいたまま仕事ができる、ということなんて普通はありません。」


「よかった。ぜひお願いします。」


「ラヤーナさん、本当にありがとう。」


「それで、お店なんですが、1か月後くらいを目安に始めようかと考えています。先ほどギルドへ行って、許可…というか、支援もしてもらえることになっています。お店予定の別邸の魔道具は私の方で明日片づけます。あ、もし別邸の方にあるもので、こちらで必要なものがあれば言ってください。それは片付けずに残しておきます。」


「いえ、別邸にあるものは、あの部屋以外の物でも特に必要なものはありません。こちらの家にも使っていない部屋がありますし、必要だと思ったものは以前にもうこちらに運んであります。」


「そうですか。私は明後日の夕方、森の家に戻ることにしているので、明日一日と明後日のお昼過ぎまで片付けに別邸に伺わせていただきますが、それでもよいですか?」


「はい。もちろんです。あちらの別邸はすべて自由に使ってください。ラヤーナさんは宿を使われているようですけれど、普通に部屋もありますから、整えれば寝室も居間もあります。」


「そうですか。そのうちそうさせていただけると助かります。明後日片付けた後ですが…次回はやっぱり2週間後くらいになると思います。その時に、必要なものを町で揃えて準備をしますので、その時もお手伝いをお願いできますか?」


「はい。もちろんお手伝いします。」


「ありがとうございます。では今日はあの魔法書をいただいて、他のものは明日と明後日に片付けに来ます。これからお世話になります。よろしくお願いします。」


「こちらこそ、ラヤーナさん、いろいろとありがとう。」


「ありがとうございます、ラヤーナさん。」


明日からお店の準備のための片づけが始まる。

ラヤーナはヘリットとフランカから大変感謝をされ、子どもたちにまた明日来ると告げて宿屋へ戻った。


「ねぇ、ラティ。この魔法書…今使えるのかしら…」


『魔法書ね~・うーん…・ここで使わない方がいいと思うのね~』


「ラティもやっぱりそう思う?私も何となくここで使わない方がいい気がして…」


『たぶんなのなのけど・魔力いっぱい使うと思うのね~・森の家に戻ってからがいいと思うのね~』


「うん、そうよね。まずは魔法書を手に入れることができたし、これは…そうね…精霊の森の中での方がいいと思うわ。」


『それがいいのなの!』


「明日と明後日は片付けね、大変になるけれど…」


『魔法の袋・別に作るといいのね・お店のおうちの道具・全部入れておくのね』


「…それはいいわね。…明日、ヘリットさんの家へ行く前に、カバンやさんによって大きめの袋をいくつか買っていきましょう。行く途中で空間魔法を使って、たくさん物が入るようにしておけばいいわね。」


『そうなのね~・いっぱい・するする~って入っていくのね~』



翌日、ラヤーナとラティは、少し大きめのカバンを数点購入し、そこに空間魔法をかけてからレスリーの家へ向かった。もちろん、この日もいろいろな食べ物を購入して向かう。


昼食はラヤーナ達が持ってきたものを使って、フランカが用意してくれたため、そのまま夕方までひたすら片付けをした。片付けと言っても、ラティに道具を見せ、わかるものは簡単に説明してもらいながら、すぐ使える物、今後使えそうなもの、面白そうなもの、よくわからないもの、ガラクタの可能性が高いもの(おそらく今後解体して、何か別のことに使えないか考えるつもりのもの)、に分け、それぞれ別の袋にどんどん入れていく。悩むものもとりあえずはどこかの袋にいれ、部屋の中のものをどんどん片付けていく。この日一日であらかた道具は袋に詰めたものの、まだ少し残っているため、翌日作業をすることにした。このくらいであれば明日の半日で道具の片づけは終わるだろう。


翌日も作業し、ようやく道具を片付けた。母親のフランカは部屋がすっきりしていたことに驚いていたようだが、また2週間後にお邪魔することを告げ、ラヤーナとラティは大量の魔道具類と欲しかった魔法書を持って、再度マーケットに戻り、アルバスへのお土産や、自分たちが購入したかったもの、その他食べ物や小物などを購入し、森へ戻っていった。



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