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れっつ世界を救おう  作者: Luna
第2章 れっつオープン薬屋さん
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2ー40 ラヤーナ 魔法書を手に入れる


ラヤーナはラティとそっと部屋に入ってみた。

ガラクタが大量にあるように見えるが、よく見ると興味深いものがいろいろと置いてある。


『これ・これ面白いのなの~~』


「え、それは何?」


『これね~鏡ね~・思うもの・映るのね~』


「思うもの…?」


『そうなの~・魔力届く範囲だから精霊の森は無理なのね~』


「ラティは何を思っているのかしら?」


ラヤーナは鏡をのぞき込んだ。


「あら…お肉…」


『そなの~・アルバスのお土産なの~~~』


「ラティはアルバス大好きよね。」


『アルバスのモフモフ・気持ちいいのね~』


「ウフフ、そうよね」


ラティとラヤーナは部屋に乱雑に置かれている魔道具をいろいろと見てまわった。

レスリーの母が「がらくた」と言っていただけあって、確かにもう使えない魔道具が多かったが、魔力を込めれば使えるようになりそうなものや、今はもう作られていないものもあり、見ていて面白い。そのうち、森の家にあったらいいと思うものや、道具として使いたいものが出てくるかもしれないが、今のところすぐに必要になる、というものは思いつかない。そもそも見てもわからない道具の方が圧倒的に多い。将来的に欲しいものがあるかしれないけれど、全部下さいというわけにはいかないだろうし…、とりあえず今は一つか二つもらっていく方が、レスリーの両親も気持ちが楽になるだろうと思い、先ほどの鏡も含めて道具として面白そうなものをいくつか見繕っていた。


『ラヤーナ!!!見て、見てなの~~~』


「あら、どうしたの、ラティ?」


『ラティ・見つけちゃったの~~~!』


「見つけちゃったって?」


『魔法書なの~~~・いっぱいあるの~~~~・すごいのなののの~~~~~!!!』


「え…!」


ラヤーナはラティが見つけたと言った魔法書のところに急いでいく。


「すごいわ!!!ラティ、魔法書がたくさんある。この中にレベルの6やそれ以上の本があれば魔法書店に行かずに済むわね。何があるか見てみましょう。」


本棚のようなところに大小さまざまな本が並んでおり、その中に魔法書も置いてあった。

埃をかぶっていて、本当にしばらくの間放置されていることが分かる。

ラヤーナが手に取ると、魔力が残っていることを感じる。

この間、魔法書店で見せてもらったものよりも、残っている魔力は少ないと感じる。ただ、何となくではあるが、レベルを上げるには問題がない魔法書だと感じた。おそらく、この魔法書は魔力の残りが少なかったため、買取の対象にもならなかったものだろう。


魔法書が何冊もあるようで、あるだけ取り出してみることにしたが、その数に驚いた。

風火土水4種はレベル6、7、8の魔法書がある。

空間と時空と治癒の魔法書もレベル6,7,8と揃っている。

これでラヤーナのレベル上げに必要な魔法書はすべて揃う。

ここまでで21冊だ。

その他に、ラヤーナの読めない魔法書がある。魔法書だということはわかるし、魔力も感じるので、まだ使えるものだということはわかった。だが、何と書いているのか読めない。こちらの文字はもう全部読めるようになったから、その文字で書かれているわけではないのかもしれない。先の7種の魔法書は全て表紙を読むことができた。本の中身についてはレベルが7以上は開いても何も書いていないが、6のもののいくつかは書いているものが読める。おそらく、レベルを上げることができる状態になっているものは読めるのだろう。


「これ…何の魔法書かしら…」


『ラヤーナ・読めないの?』


「ラティは読めるの?」


『ラティも読めないの~』


「そう…何の魔法書かしら…」


『それね~・ラヤーナに魔法が出てきたら読めるの~』


「魔法が出てきたら…あ!もしかしたら私には使えない魔法だから?」


『使えないか今はわからないの~・使えるようになると見えるようになるのね~』


「…魔法が発顕すれば、この本は読めるようになるって言うことね…何の魔法かしら…」


『ラティもわからないのね~・その魔法・使える人ならわかるのね~』


「…まぁ、そうよね…」


『どんな魔法か・楽しみね~~~~』


…そう、いったいどんな魔法だろう…とりあえず読めないけれども、魔法書だとわかるものは取りだしてみた。読めない魔法書は全部で39冊あった。…ということはラヤーナが知らない魔法が他に何種類もあるということなのだろうか…

全部使えるようになるとは思えないが、このうちのどれかが突然使えるようになれば、レベルを上げる時に必要な魔法書を準備しておくことができる…。


ひとまず全部で60冊の本を譲ってもらうように、レスリーの両親に相談することにした。

ラヤーナが本に触れて感じたことは、ラヤーナの時間魔法は現在4だが、5にレベルが上がると、おそらくこの魔法書にも時遅進魔法が掛けられる気がする、ということだ。


これだけの量の魔法書を手に入れられることになるとは…

縁は不思議なものだ…


ラヤーナとラティは、レスリーの母がいる母屋に向かった。本を譲り受ける相談をするためだ。どれも自由に持っていっていいとは言われたが、魔法書に関してはたとえそうであっても、それなりにお礼をしたい。それに…可能であれば、今は使えないかもしれないが、魔道具を処分せずに少しずつ譲ってもらえないかもお願いしたい。


「あら、ラヤーナさん、良いものは見つかりました?」


「はい。とても良いものを見つけました。それでご相談しようと思って。」


「相談?あの部屋にあるものは自由に持っていっていいのよ?」


「そう伺っていたんですが、私の欲しかったものがありました。そのための予算も用意していたので、買い取らせていただけたらと思いました。あ、お礼としていただくものも別に見繕わせていただきました。」


「あら、でも…遠慮なく持っていっていいのに…」


「一応ご確認していただけますか?」


「えぇ…でも自由に持っていっていいのよ?」


レスリーの母親はラヤーナと別邸の部屋向かった。


「この魔法書をいただけますか?」


「あぁ、これね。もちろん構わないわ。冊数はかなりあるのにどれもあまり魔力が残っていないでしょ。だから買取もできないって言われてしまったのよ…。ラヤーナさんは…魔力は…」


「…これ、私のカードです…」


「そうよね…」


「使えるようにならないかもしれないですけれど、魔法書を持っておきたいなと思って…」


「あぁ、そういう人もいるらしいわよね。この本、魔力があまり残っていないから、魔法書として手元に置けるのもそれほど長くは無いと思うけれど…」


「それでもいいのでお譲りいただけますか?」


「えぇ、もちろんよ。自由に持っていってね。」


「いえ、こちらは買取をさせてください。以前魔法書店に行ったら、1冊1万エルク以上しましたし、私のこのカードでは販売はできないと言われてしまったんです。でもやっぱり魔法書は欲しいので、ここにある60冊を70万エルクでお譲りいただけませんか?」


「70万エルクって…、え!何を言っているの、ラヤーナさん。さっきも言ったでしょ、この本は魔力がそれほど残っていないから買取もしてもらえないようなものなの。その本にそんな価値は無いわ。それにこれはお礼ですもの、お金はいただけないわ。」


「それなんですけれど…薬のお礼は、別にこの部屋にある魔道具をいただきたいなと思って…。」


「魔道具を?これ、がらくたよ?」


「いえ、結構面白いものが多くて…。昔の道具等もありますし、…薬を作るのに、使える物もあるかもしれません。ですから、ここの魔道具が欲しいんです。今日は薬代の代わりとしてこの2つの魔道具をいただければ…」


「待って、待ってラヤーナさん。それではお礼にならないわ。主人に相談をさせて。もともといらないものをラヤーナさんに少しでも持っていってもらえればと思っていたの。本当はこの別邸も道具を早く処分してきれいにできたら、他に使えるかもしれないと思っていたくらいで…」


「…え…道具を処分するんですか?」


「えぇ…だってこの部屋がこのままだと、家を貸し出すにしても使えないし…」


「家を…貸し出すんですか?」


「えぇ。こっちの別邸…家は通りに面しているでしょう。もともとは主人の祖父が何かお店をやっていたらしいの。だからきれいにすればお店として貸し出せるんじゃないかと主人と話しているのよ。そうすればうちも助かるし…」


「…お店…ですか…」


「ラヤーナさん…」


「それ…私がお借りしてもいいですか?」


「え…」


「以前から、薬屋さんを開きたいと思っていたんです。皆さんに使った薬です。今はギルドの区画ショップで2週間に1度販売していますが、いずれお店をと思っていました。ギルドの方とも少し相談しようと思うんですが、もし貸し出すことを考えているのなら、考えていただけませんか?」


「あの…ラヤーナさん…いろいろと…あの…主人がいる時に相談させてもらえないかしら?もしよければ今晩主人が戻ってきたらもう一度相談させてほしいの。私だけではもう判断ができないわ。」


「分かりました。もちろんです。私もずっとお店をどうしようか考えていたんです。」


「そう、そうなのね…。お貸しすることがお礼になるのなら、私は全然かまわないんだけど…」


「わたし、ちょっとギルドに行って、少し相談をしてきます。また夕方こちらに伺ってもよいですか?あ、お食事の後くらいの方がいいでしょうか?」


「あ、ええ…あぁ、それなら一緒に夕食を食べましょう。ラヤーナさんが持ってきてくださった食材があるし…」


「それなら、夕食は私が町で買って持ってきます。一人では食べられないものが多くて…皆さんが一緒なら、いろいろなものを試せるので私も楽しみです。」


「え…でも夕食は…」


「先ほど持ってきた食材は後で皆さんで使ってください。私、ずっと森にいたので、屋台の食べ物もまだ全然試せていないんです。レスリーをお借りします。彼に一緒におすすめの屋台を紹介してもらいます。」


「ラヤーナさん…」


「また後でお伺いしますね。」


「………ありがとう………」


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