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れっつ世界を救おう  作者: Luna
第2章 れっつオープン薬屋さん
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2-29 ラヤーナ 町での様子を報告する


「ラヤーナ、ラティ、町ではお疲れさまでしたね。」


「お疲れさま、ラヤーナ。ラティもね。町はどうだった?」


『町ね~・ぶわーーーーーって・怖かったの~~~』


「ぶわ?怖かった?何かあったの?」


「何かというわけでもないんだけれど…騎士団長がね…」


ラヤーナは町の様子や、初心者講習で学んだことなど、現在の森の外の様子をレーリナとローラ様に伝えた。森の中からは町の様子を見ることはできないが、神殿に行くと町の様子を多少見ることができるらしい。“エル”の力があれば、完全に把握できるらしいのだが、それはまだないため、今わかる範囲で、ということのようだ。神殿で使える力は限られているらしく、取り戻せる力はできるだけ取り戻そうとしているらしい。神殿には今代の女神しか入れないため、女神として選ばれているローラと、代行をつかさどっているレーリナは神殿に入ることができ、二人で何とかこの世界を支えているようだ。

いずれ“エル”の力を取り戻し、この世界に完全な平和をもたらさないといけない。レーリナもローラ様も、そしてラヤーナも精霊たちと協力をして、できることを進めているところだ。


今日は町の様子の報告だけではなく、薬の販売について二人に相談したいと思っていた。

精霊の森の家は十分安定してきて、神水は木々の精霊や動物の精霊たちそれぞれが撒いてくれるようになったため、森神人の石の効果がなくなる前に新しい石を設置すれば、ラヤーナがここに常駐しなくても大丈夫になっている。レーリナもローラ様もこの家をとても気に入っているため、二人がこの家を使ってくれており、朝神殿に行っても夕方前には必ずこの家に戻ってくるため、完全に留守になることはない。ラヤーナとしては、町に薬を販売することも考えて、外森の家で薬をできるだけ作っていきたい。そうすると、こちらよりも外森の家にいることが多くなりそうだ。そのことについても相談したい。

そして、薬の販売についても、ギルドを通してもらうこと、騎士団については要望があれば無理の無い範囲で薬を売ることも伝えた。販売額やギルドに受け取ってもらう報酬などについてはすべてラヤーナに任せる、ということだった。そもそも精霊たちにお金は必要ない。素材の買取りでラヤーナの所持金はすごいことになっているため、外森での生活や、薬を作るための道具を購入する資金も十分にある。町から精霊の森に戻ってくるときに、可愛い小物や、キラキラしたものを買って帰ると、精霊たちがそれで楽しそうに遊ぶ。彼らは森の外のものを食べることはできないが、キラキラ光るものが好きなようなので、彼らが楽しめそうなものをお土産として買ってくる。精霊たちに使うお金はその程度で本当にわずかな額だ。

騎士団には新しい薬ができた時には実験体になってもらうことも話した。


『だんちょー・ぶわぁ~なの…』


「…ラティはよほど怖いと感じたのですね…」


「はい。悪意がある、ということではないんですが、威圧感がすごくて…」


「まぁ、亜人の上位種はそうよね…光紋があったんでしょ?」


「えぇ、そうなのよ。獣人の…あれはオオカミだったのかしら?」


「オオカミの獣人ですか…彼らは思いやりがあり正義感が強いのですが…少し思い込みが激しく、融通が利かないところもあって…そういうところは昔と変わっていないようですね…」


「…団長はまさしくそのような感じでした…」


『ギルド長ね~・助けてくれたのね~』


「ギルド長がですか?」


「はい。リエスの町のギルド長は、以前騎士団におられて、冒険者もされていたとおっしゃっていました。お名前は…ちょっとわからないです。『ギルド長』と皆さんに呼ばれていて、私もそうお呼びしていました。」


「リエスの町のギルド長はしっかりと事物を見れる方ね。」


「はい。薬の販売に関しても、私の進めやすいようにしていただけました。無理せず薬を作り、町や国、世界の皆さんに使っていただけるように販売していきますが、それをギルドが支えてくれるそうなので、私としては心強いです。」


「そうですか。少し安心しました。森の外で薬を広めることに関しては、私もレーリナも手伝うことができずにごめんなさい。」


「ラヤーナにばっかり、お願いが多くて…私もローラ様も、森から出られなくて…」


「今は森から出てはだめでしょ?」


「ラヤーナ…」


「私も少しずつ分かってきたの。そして感じ取れるようになってきたの。ローラ様の“エル”の力を奪った誰かにまだ気づかれるわけにはいかないわ。」


「…ラヤーナにも…感じ取れるのですね…」


「はい。まだまだうっすらと、何となくなのですが…ローラ様を通して…と言った方がいいかもしれません。本当にうっすらとなのですが、何かがこちらを探している…という感覚です。そして、この森の中が今は一番安全で、その何かが森に干渉することはできない、ということもわかります。私は森神人ですが、その何かは私のことをはっきりとは知らない…私を飛ばしてしまったその時のことしか知らない…そうですよね?だから動くのは私でなければだめだと思います。今はこの王国全体にも薄く守りがあって、ローラ様たちを隠すほどの力は無くても、私のことを隠す力はあると思います。」


「ラヤーナ…そういうことも感じ取れるようになってきたなんて…力がついてきたのね…ローラ様にとってはすごく心強いわよ!」


「ウフフ。町で受けた講習で王国のことや森のことも勉強したのよ。そこでの知識がこのうっすらとあった不思議な感覚が何かを理解するヒントになったの。まだこの世界を守るために、二人が私に話すことができないこともあると思うけれど、私は私のできることをもっと探して、必ずローラ様が力を取り戻せるように、尽力するわ。」


「ラヤーナ…ありがとう…今代の森神人は素晴らしい人ですね…」


「ローラ様、ローラ様が選んだんですよ?」


「ローラ様が私を森神人に?」


「えぇ、そうなのよ。あなたなら…女神としての私を支えてくれる、そう思ったの。こんなことになってしまうとは…あなたを大変なことに巻き込んでしまうとは思っていなかったけれど…でも、本当にあなたでよかった…」


『ラティも~・ラヤーナがいいのね~』


「ありがとう、ラティ。」


「薬の販売についてはラヤーナに任せます。外森とのつながりも強くなっていますよ。ラヤーナはそちらを拠点にして薬を世界に販売してください。」


「はい。どうもここで薬を作ると、効能が高すぎて、今販売するには薬を奪い合うことになるなどいろいろと危険ではないかと思います。外森の家で作っても効果が高くなってしまいます。そこで材料は森の普通の材料を使って、外森の調剤室で作っていこうと思います。」


「それがいいわね!町にも近いし。」


「えぇ、それにね、時間魔法も使えるようになったから、完全な時止めの魔法ではないけれど、かなり時間経過を遅くできるようになったの。昨日は森で集めた素材を、魔法をかけた箱に入れてきたの。」


「やったわね。これでいろいろ薬もつくれるんじゃない?」


「そうなの、いろいろ試してみるつもりよ。」


「そのうちラヤーナには他の魔法やスキルも出てきそうですね。」


「もう空間魔法も時間魔法も使えますよ?まだ発顕はしていませんが治癒魔法も使えるようになるみたいだし…。それに今使える魔法のレベルも上げたいので、今はとりあえず一杯一杯です。」


「ウフフ。そうね。今はそれでいいのよ、ラヤーナ。」


「今は…ですか?」


「えぇ。今は、よ。」


「…今でも十分なんですけれど…」


「ラヤーナに必要な力がちゃんと出てくるわ。今は難しいことを考えず、薬のことを進めていただけると嬉しいわ。」


「分かりました。」


これからの薬販売、そのうち町に薬屋を開くこと、外森と秘森の生活、精霊たちのことなど、この日話し合っておく必要のあることは何とか話すことができた。まだまだ制約があり、伝えたくても伝えられない、ということもあるようだが、今はこれで進めていく。

みんなが安心して暮らせるように、まずはもっと薬を作ってみる。明日から早速試してみよう。


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