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れっつ世界を救おう  作者: Luna
第2章 れっつオープン薬屋さん
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2-27 ラヤーナ 外森で果実を手に入れる

『アルバスぅ~~~・ただいまなの~~~』


「お迎えありがとう、アルバス。これ、お土産よ。」


『おおお!これが焼肉というものか…ウム…なかなか旨いな…』


「気に入ってもらえてよかったわ。」


ギルドで申し込んだ最後の初心者講習を午前中に終わらせ、その後はできる限り買い物をして森に戻ってきた。もちろんアルバスご所望の焼肉も忘れずに購入した。


『アルバス~・ラティ疲れたの~~~・大変だったの~・団長怖かったの~~~~~~』


『団長…なんだそれは…』


『ぶわって・威圧感いっぱいだったの~~~~』


「まぁ、確かにそうだったわね…にらまれた時はさすがに私も怖かったわ…」


『睨まれる?何かあったのか?ラヤーナ、怪我などは大丈夫なのか?』


「そういうのは大丈夫だったわ。…今回はいろいろあったのよ…さすがに疲れたわ。今日はこのまま外森の家で一晩泊って、明日秘森に行くわ。ローラ様やレーリナに相談したいこともあるから…」


『そうか、まぁゆっくり休むんだな。』


「薬も作りたいし、いろいろやってみたいこともあるから…明日は秘森に行くけど、その後しばらくはこっちにいる予定よ。今日は早めに寝て明日いろいろアルバスに相談したいんだけど、いいかしら?」


『あぁ。我はかまわん。秘森に行くのは明日遅くでいいのか?』


「えぇ、買ってきたものとかいろいろあるから、明日の夕方空間魔法で一度秘森に戻るわ。その翌々日くらいにはこっちに戻ってくるつもりだからその時にまた迎えに来てもらえるかしら。町でベッド用のカバーと上掛け、枕もマットも買ってきたから、今日は新しい寝具でゆっくり寝るつもりよ。」


1週間連続の講習と、ギルドとの交渉、薬の実践販売、騎士団長との交渉など、この1週間は恐ろしく忙しかった。さすがにくたくただ。特に精神的疲労感がすごい。ラヤーナは自室のベットに潜り込むと疲れてすぐに眠りについた。今日はラティもそのままラヤーナの枕元で一緒に寝ている。ラティが掛けている小さなブランケットも町で購入した。(小さな子供が使うお人形用の寝具らしい)ラティ本人はこのブランケットが非常に気に入って、ラヤーナが自室に新しい寝具を置いて休めるように準備していた時、すでにブランケットを自分で持って、部屋にある机の上でブランケットにくるまって寝そべっていた。そしてラヤーナがベッドで寝ようとしたらすでに枕もとでブランケットと眠っていたというわけだ。


アルバスは二人が眠ったのを見届けた後、自分も家の寝床でゆっくりと休んだ。

不思議なことだが、ラヤーナがこの家にいると嬉しいという感情が湧く。ホッとして、安心する。

今日はとにかく自分の守護者は疲れきっているようだ。ゆっくりと休ませよう。

明日、町での様子を聞いてみることにする。きっとあの精霊がたくさん話をしてくれるだろう。

今晩は気持ちよく眠れそうだ。アルバスはフッと一人微笑むと、そのまま自分も眠りについた。



翌朝ラティの元気良い声で目が覚めた。


『おはよーなの~~~~~・朝なの~~~~~・やっぱり森なの~~~~~!』


「おはようラティ。本当に森に戻ると安心するわ。町はいろいろとにぎやかで面白いけれど、疲れてしまうもの。」


『アルバス~・おはようなの~・モフモフなのね~~~』


ラティはアルバスの背中の毛皮にもぐったり、ぶら下がったりして遊んでいる。


『…朝からにぎやかだな…』


「ウフフ、ラティは嬉しいのよ。アルバスにも会いたかったようよ。夜中に、モフモフ~って寝言を言っていたもの。」


『モフモフ~・アルバスのモフモフ~~~~』


『…そ、そうか…』


アルバスは照れたのか、明後日の方に顔を背ける。


「さあ、今朝は久しぶりに森の果実が食べたいわ。町で同じものを食べても少し違うもの。町の食事も美味しいけれど、私はやっぱり森の恵みをたくさん受けているこちらの食べ物のほうが好きだわ。」


ラヤーナは森の果実をいくつかと薬草を何枚か採り、キッチンに戻ってラーゴ入りの薬水を作る。ラヤーナ自身はラーゴの実を食べ、ラティには薬水を、アルバスはその2つに加え薬草をそのまま渡す。朝から森の恵みを体に取り込み元気が出てくる。


「今日はまず町で買ってきたものを片付けましょう。調剤用の器具もかなり揃えたの。町で売る薬は基本的にはこっちの家で作ろうと思うのよ。秘森の小屋で作ると効能が高くなるのよね…それはそれでこれから必要になるけれど…まずは緩やかな効果の薬を大量に作りたいの。」


『そうか…そういえば、外森でも秘森入り口近くに生えていた薬草は、このシールドの外でも少し生えていたぞ。秘森入り口の方はだいぶ増えていたな。』


「そう!こっちで作る町に卸す用の薬はできれば普通の薬草で作りたいの。ラーゴの実も町で買ってくるか、外森の特別な力が働いていないものを使ってみたいの。薬を作るには必ず神水が必要になるから…、要は、神水以外は普通の材料を使って効能がどれくらい低くなるか試してみたいのよね。」


『フーム…ラーゴの実か…ここにあるものは秘森のなかほどではないだろうが特別な力が働いているようだな。』


「えぇ、秘森の材料より効能はだいぶ落ちていたけれど、それでもそれなりの効能があるわ。それにおそらくなんだけど…ここでの材料はこれからどんどん効能が上がってくると思うの。」


『そうだろうな…』


『そうね~』


「アルバスにもラティにもわかるの?」


『わかるのね~・ここね~・森神人の力と神水の力・いっぱい吸収してるのね~』


『あぁ、秘森の力が戻っていることで、この森全体にも活力がある。特にこの場所は秘森と弱いがつながりがあるのだろう。そのつながりが、ラヤーナがここに住まい、神水をここで作るようになってからより強くなっている。我は秘森には入れないが、ここは我が森神人を守るためにある場所でもある。ここの力が強くなり、秘森とのつながりが強くなったとしても、我がはじかれることはない。しかし力が強くなっているのであれば、当然薬草や果実などの効能も高くなるだろう。』


「…そうなのよね…効果の緩やかなものを作るには、ここの材料でもちょっと難しくなっていくのよ。材料を町で買ってきてもよいのだけれど、面倒だし…」


『薬草と果実が欲しいのか?』


「えぇ、この家周りのシールドの中以外の物がいいの…」


『そうだな…それであれば、あそこがいいか…』


「アルバス、どこにあるかわかる?」


『あぁ、少し離れているが、その方がよいだろう。近いとシールド内の力が影響して普通よりも効果の高いものになるだろうからな。』


「そういうのが欲しかったのよ!アルバスお願い、そこに連れて行って。果実が欲しいの。」


『わかった。連れて行こう。』


ラヤーナとラティはアルバスに案内され、歩いて1ルラルほどのところにある果実を見つけた。

この場所には、様々な果実の木があり、実もしっかりとなっている。


「こんなところがあったのね!外森はかなり歩いて回ったけれど、全然気づかなかったわ。」


『まだ実がなっていない時期に来たのだろう。』


『ラーゴあるの~・マーカスも・バーナもある~~~~・あっちのチェルル~~』


『時期によって実のなる木が変わる。こういう場所はいくつかあるからな。必要に応じて連れて来よう。』


「すごく助かるわ!アルバス、ありがとう。」


アルバスはラヤーナに抱き着かれ、嬉しそうだ。ラヤーナはアルバスのモフモフの毛も一緒に楽しんでいる。ラティも『モフモフ~~~』と言いながらアルバスの背中に潜り込んでいる。


『…薬草も欲しいのだろう…行くぞ…』


照れを隠すように、アルバスは薬草のある場所を案内するためにゆっくりと歩き始めた。


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