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れっつ世界を救おう  作者: Luna
第2章 れっつオープン薬屋さん
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2-24 ラヤーナ 実演販売を体験する 2


薬の方は協力者の人たちがみんな驚き、そしてその効果に大いに満足していたようだ。通常使われている聖水の薬より効果が高く、それよりも3割ほど安いということもあって、持ってきた薬は秘森、外森で作ったものあわせて、今のところ半分ほど売れた。

実演の協力者はほとんどが塗り薬に興味があったらしく、試してみたあと購入した人が半分ほど居り、残りは今回は購入しないが次回はお願いしたい、という人たちばかりだった。お茶はあまり興味が無いらしく、塗り薬を試した後、仕事に戻る人たちが多かったが、協力者の何人かは薬茶にも関心があるらしく、試しに飲んでもらうことにした。その他に、見学をしていた女性たちはお茶に興味があるようで、協力者も含めそこにいた女性たちにも少しずつ飲んでもらうことにした。


「あら…このお茶…甘い香りがするわ…ラーゴかしら?」


「はい。これはラーゴとギーの薬茶です。他にもマーゴ入りの物、マースカ入りの物があります。ギーの葉だけのお茶もあります。どれも貧血やお腹の調子が悪いときに飲むとよいですよ。」


「そうなのね…お茶が温かいから、だけじゃなく、なんだか体がポカポカするのよね…」


「それもお茶の効果です。お茶の場合は、傷が目に見えてすぐ直る、というような、見て確認することができないので実感が湧きづらいですが、身体を中から元気にするものです。効果も比較的すぐに出るものもあれば、食事中や休憩時に毎日少しずつ飲むことで、体の状態が改善していくものもあります。」


「これもいい香りね~。これはオーラン?」


「はい、そうです。果実が入っているものは、先ほどお伝えしたほかに、果実それぞれで少しずつ別の効果もあります。」


「あら、どんな効果なのかしら?」


「ラーゴとオーランの果実入りの物は、どちらも安眠効果があります。寝る前にお茶として飲むと、夜ぐっすり眠ることができます。しっかりとした睡眠は体の疲れを取ってくれるので、翌朝すっきりと起きられますよ。」


「あら、そうなのね。」


「マーゴの果実入りは美肌とお通じをよくする効果があります。」


「美肌?!」


「はい。即効性がどこまであるかはわかりませんが、しばらく飲んでいただくと、お通じが良くなって、お肌も元気になると思います。」


「そうなのね…時々、ちょっと便秘気味になるのよね…」


「それも肌荒れの原因の1つなので、そこはしっかりケアをされるといいですよ。このお茶はお腹が痛くなる、というような副作用はありませんので、緩やかに効くと思います。」


「あら、それはいいわね。」


「それから、マースカの果実入りの物は記憶力向上の効果があります。頭が疲れているときに飲むとすっきりしますよ。お仕事…文官などのような、体力よりも頭を使うことが多いお仕事の方にはお勧めです。」


「……果実によって効果が違うのね。…お茶は…あら、塗り薬ほど高くはないのね。」


「はい。こちらはできるだけ継続的に飲んでいただきたいので、皆さんが気軽に購入していただけるようにしたいと思っています。今回はこの筒入りですが、次回また販売するときは、中身のみの販売や、いろいろな果実入りの物を数回ずつ、ご家庭で試していただけるようなものも準備してくるつもりです。」


「そう、それは楽しみね。」


「わたしは、この美肌の物が欲しいわ。」


「マーゴとギーの薬茶ですね。」


「私もそれがいいわ。」


女性に圧倒的に人気だったものが、このマーゴのお茶だ。『美肌』というところがツボだったらしい。『安眠』の効果がある、ラーゴ入り、オーラン入りのお茶も人気だ。ギーだけのお茶は、一番値段が安かったことと、さっぱりとした味がよかったのか、男性からも購入希望があった。


実演販売を始めておよそ2ルラルほどでイベントのような騒ぎはひと段落した。今の時間は3ラルだ。この区画ショップは何時に閉店にしてもよいことになっているため、あと1ルラルほどしたら、店を閉めようと思っている。ラティもこの騒ぎに疲れたのか上衣のポケットの中でうつらうつらしている。


そういえば先ほどまで実演販売を見ていたメリルは仕事に戻ったのだろうか?値段設定のこともぎりぎりに変更して、メリルにはいろいろと助けてもらった。そういえばあの威圧感を放っていた騎士団の団長はもう帰ったのだろうか。とりあえず、自分のペースで薬を作って販売させてくれるとよいのだけれど…国に助けてもらえることはありがたいが、囲い込まれることは避けたい。


そんなことを考えていると、上から声をかけられた。


「俺にはその記憶力のものをくれ。」


声をかけてきたのは騎士団長だ。


「マースカ入りの薬茶ですね。」


「そうだ。知り合いの文官に飲ませてやろうと思ってな。」


「そうですか。きっとお疲れでしょうから、できれば毎日、食事中でも休憩中でもよいので、飲んでいただけるといいですよ。」


「…あぁ…それで…お前は今日何時まで店を開けておくつもりだ?」


「薬に興味を持っていただいた方たちは先ほどで大体おかえりになられたと思いますので、少しずつ片付けをしながらあと1ルラルほどしたら閉めようと思います。」


「そうか…」


「あの…何かありましたか?…その…販売した時に私に不手際があった等が…」


「いや、それは無い。…店を閉めたらギルドの窓口に来てくれ。メリルとギルド長もいる。話をする必要がありそうだ。」


「…え…それは…」


「心配するな。メリルから聞いている。」


「…そうですか…」


「では1ルラル後にな…」


「…はい。わかりました…」


騎士団長は薬茶を一つ持って、ショップから離れていく。

これは…今後のことの相談だろう…

いずれ国との相談はしなければならなくなると思っていたが、販売初日にとは考えていなかった。


『今日はとっても忙しいのね…』


ラティもポケットの中に入りっぱなしだ。


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