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れっつ世界を救おう  作者: Luna
第1章 ヴェルネールの森を再生しよう
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5 ラヤーナ 道具を手に入れる (2日目)


ラヤーナはひとまず精霊の本を閉じ、道具がある、と書いてあった泉に向かうことにした。

今朝は木々に水を撒くために、百回以上往復したのではないかと思う。距離は大したことはないが、あのヤシの実もどきの入れ物では効率が悪すぎる。道具があるのなら是非見てみたい。


「道具って、何があるのかしらねぇ。ひとまずバケツようなものがあると助かるのだけれど…」


泉の近くまで来ると、バケツや何枚もの袋のようなもの、またその他にも道具のようなものがいくつかあるのがわかる。近くによって手に取ってみる。


「これは…木の…バケツ?…ヤシの実もどきの入れ物よりはずっと良いわね。それから…これは鎌かしら?刃はさびているけれど、草を刈る程度なら使えそうね。それからこれは袋?麻袋に似ているわね。これはナイフよね。磨くことができれば、リンゴ…ラーゴだったわね、それを切ったり剥いたりできるわね。昨日はそのままかじったから、それでもいいけれど、むいてもたべたいわよね。」


ラヤーナが話すと、木々がさわさわと揺れ動く。


『・・・な・い・ふ・・み・が・く・・・い・つ・か・・げ・ん・き・・な・れ・ば・・・』


「いつか?…うーん…まだ今は無理みたいだけど、いずれできるのかしら?」


『・・・も・り・・・げ・ん・き・・な・れ・ば・・・せ・い・れ・い・・ち・か・ら・・・』


「そう…それなら、早く元気になってもらえるように、私は頑張らないとね。」


『・・・ら・や・な・・・し・ん・す・い・・も・・と・・・ほ・か・・き・も・・・』


「もっと神水ね。そうよね、まだまだ木はたくさんあるものね。森のすべての木を一度に全部は無理だけれど、今いるこの周りだけでもお水をまきましょう。」


ラヤーナは少しでも多く周れるところを増やしながら、バケツから手酌で水を撒いていく。少しずつ、ほんの少しずつであるが、森が、少なくともラヤーナがかかわった周辺の木々が元気になっていくと感じる。


ラヤーナは水を撒きながら、それぞれの木を観察していく。ラーゴの木とオーランの木は最初に降り立った範囲以外では、歩いて見てまわったところまでにさらに何本か見つけることができた。実が5,6個生っていた木は最初に実をもらったあの木だけで、他のラーゴとオーランの木は、実が2つ3つ生っているものもあるが、実がついていないものの方が圧倒的に多い。そういう木は水を多く欲しがるようだ。その他に精霊の本に載っていたバーナとマーゴ、グーフルの方は、最初に見かけたもの以外にも何本か見つかったが実は1つも付いていなかった。初めてこの世界に降り立った場所で見つけたバーナとマーゴ、グーフルの木には、バーナの木に実を2~3本、マーゴ、グーフルの木には実は1つ生っているだけで、そもそも実をつけている木が3~4本程度しかない。それ以外にもいろいろな木があった。背の高い木もあればそれほど高くないものもある。それに以前の世界、日本で生きていた時に、似たようなものを見たことがある。まだ実は付けていないが、木の様子から実をつければおそらくその実も食用になるだろう。図鑑には載っていなかったから、まだ収穫できないのかもしれない。

まだまだ分からないことが多すぎる。しかし不思議と不安や焦りはない。この森はまだ元気がないのかもしれないが、ラヤーナが無理をせず、自然に過ごせるところだと感じる。ここの空気や雰囲気はとても落ち着く。それに寂しくもない。木々が返事をしてくれるからかもしれないが、いつもみんなが周りにいる気がする。みんな…みんなって誰なのだろう…でも自分にとって悪しきものではないということは何となくわかる。だからそれで良いのだ。


水を撒き、木の幹にそっと手を添え、話しかける。


「水は?足りてる?」


葉がゆらゆらと揺れる。この木はまだ声として伝えることはできないようだ。でも 『だいじょうぶ、ありがとう』 そう伝えているのだということが何となくわかった。


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