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れっつ世界を救おう  作者: Luna
第2章 れっつオープン薬屋さん
56/146

2-19 ラヤーナ 薬販売の相談をする

メリルとの相談前に少し時間があったため、ラヤーナはラティとギルドショップを訪れていた。


『今日もいっぱいあるのね~』


「この間とは違うものも置いてあるわ…。あとで区画ショップの方も見てみたいし…」


ラヤーナはラティと相談しながら外森の家の道具を購入していく。

この間購入した魔法帳には今回町の滞在中に購入しておきたいもののメモを取ってある。


「これと…これと…あぁ、これも必要ね…」


『いっぱいあるのね~・いっぱい買うのね~』


「…カバンも3つくらいほしいわ…(秘森の家用と、外森の家用、それに持ち歩き用ね)」


声に出せないことは心の中で、ラティへの返事は独り言のようにしてつぶやき、必要なものを買っていく。今日もアルバスが大量に鬼獣を狩ったため、資金は潤沢にある。


ギルドショップで常設販売している品物は後で購入することにして、とりあえず必要なものを購入すると、今度は区画ショップに向かった。今日はギーの日でマーケットなどのお店はやっていない。このギルドの中にあるお店だけは休日はないそうだ。職員は交代で勤務しているため、休みはちゃんとあるらしい。区画ショップを覗いていると、小さな刃物を扱う店があった。


「あら…手に馴染みやすいナイフだわ…」


「そうでしょう?これは使いやすいですよ。」


「お店での販売ではないんですね?」


「うちは別の国で商売をしているんですよ。店舗はそっちにありますよ。他の国でもうちの品物を知ってもらおうと思ってね。」


「そうなんですね。これ…とても手に馴染みやすいわ。」


「そういう風に作っているんですよ。うちの店の技術ですよ。自分が住んでいる町は、力が弱い住人が多いところでね。そういう人たちでも扱いやすいものを多く取り扱っているんですよ。この国の人たちは比較的力が強い方みたいだから、道具は割としっかりしているものが多いようですけどね。」


「えぇ、そうですね。しっかりしていて頑丈です。でも、ちょっと重たくて…」


「そう、そういう人たち向けの道具なんですよ。その分、耐久性は少し落ちますから、用途によって使い分けるといいですよ。耐性が必要なら、この国で作っているしっかりしたものを使うほうがいいし、細かい作業なんかをするときはうちの道具のように、軽くて扱いやすいものがいいと思いますよ。」


「そうですね。…えぇ、これと…これ…少し使い方を教えていただけますか?」


「もちろんですよ。」


ラヤーナが目をとめたのは、調剤用になりそうな小さな道具だ。細かい作業をするのなら、軽くて小さな道具が良いと以前から思っていた。ナイフも今はとりあえずしっかりとしたものを使っているが、細かく刻んだり、薄く木の皮をはいで使ったりという場合、これくらい小さくて軽いナイフの方が扱いやすい。

いくつか手に取って、使いやすさを確かめた後、匙やナイフ、小さなふるい、すり鉢のようなものまであったので、大きさも大小それぞれ用意してもらい、6セットずつ購入した。


『ラヤーナ・いっぱい買えたのね~・お薬楽しみね~』


区画ショップも一通り見て終わり、ちょうどメリルとの相談時間になったので、受付に向かった。


「ラヤーナさん、ちょうどよかったわ。私も今、手が空いたところなの。これからさっそく相談しましょう。」


メリルに連れられ、前回も利用した奥の区画で話をすることにした。



「ラヤーナさん、お待たせしました。今日は薬をお持ちになっています?」


「はい。こちらです。それから、薬茶も持ってきました。」


「薬茶…ですか?」


「はい。効能は血行促進があります。下痢や貧血、肩こり、腰痛などに効きます。」


「腰痛や肩こり、いいですね!」


「今日持ってきた薬なんですが、何種類かあるように見えます。でも、基本的には同じものなんですけど…効果の高さが少しずつ違うと思います。どれくらい違うのかまでははっきりとはわからないので、できれば鑑定をしていただけると私も助かります。」


「そうですか。わかりました。」


「塗り薬はできるだけ安価にと思っています。1つ1つ、容器に既に入れてあります。1つ1キュプですが、少量で効果があると思うので、町の人たちに気軽に使っていただければと思っています。」


「ではまず、鑑定をしましょうか。」


「はい、よろしくお願いします。」


ラヤーナはメリルと一緒に鑑定装置のある所に連れていかれた。前回は品物が1つだったため、メリルにお願いしたが、今回はいくつかあるため、一緒についてくるように言われた。


まず前回と同じものを鑑定したが、こちらの結果は前回と変わらず同じだった。


鑑定結果【塗り薬】(前回と同じもの)

効能:軽い裂傷、擦り傷、火傷等

効果度:軽度傷への即効性

効果数値:7/10

副作用:なし

使用法:患部への直接塗布

適正価格:1キュプ 100エルク~10000


次に材料は秘森の物で作成は外森の家の場合だ。

鑑定結果【塗り薬】

効能:軽い裂傷、擦り傷、火傷等

効果度:軽度傷への即効性

効果数値:6/10

副作用:なし

使用法:患部への直接塗布

適正価格:1キュプ 100エルク~9000


そして3つ目は試作品として、外森の家の畑の材料を使ったものだ


鑑定結果【塗り薬】

効能:軽い裂傷、擦り傷、火傷等

効果度:軽度傷への早い回復

効果数値:4/10

副作用:なし

使用法:患部への直接塗布

適正価格:1キュプ 100エルク~7000


お茶についても鑑定した。今後のこともあり、ラヤーナは自分の魔法帳にメモする際、鑑定結果を一覧にしてみた。それが以下の様な結果だ。 


       秘森で作成  外森で作成(秘森の材料)   外森の材料で作成

鑑定結果           ギーの薬茶  

効能       下痢,貧血,造血下痢,貧血,造血下痢,貧血,造血

効果度     即時回復    素早い回復        継続使用

効果数値     5/10       4/10          2/10

副作用               なし

使用法              温かいお茶として飲用

適正価格     50~1000     50~800        40~600


       秘森で作成    外森で作成(秘森の材料)   外森の材料で作成

鑑定結果             ラーゴとギーの薬茶

効能               下痢,貧血,造血,安眠

効果度     即時効果       素早い効果       緩やかな効果

効果数値     7/10        6/10           3/10

副作用                なし

使用法              温かいお茶として飲用

適正価格     80~1000       70~800        50~600


         秘森で作成    外森で作成(秘森の材料)   

鑑定結果       オーランとギーの薬茶

効能           下痢,貧血,造血,安眠

効果度        即時効果    素早い効果

効果数値       7/10       6/10

副作用             なし

使用法          温かいお茶として飲用

適正価格       80~1000     70~800


         秘森で作成    外森で作成(秘森の材料)

鑑定結果        マーゴとギーの薬茶

効能            下痢,貧血,造血,美肌,便秘改善

効果度 即時効果 素早い効果

効果数値 7/10 6/10

副作用 なし

使用法 温かいお茶として飲用

適正価格 100~1000 90~800


秘森で作成 外森で作成(秘森の材料)

鑑定結果 マースカとギーの薬茶

効能 下痢,貧血,造血,美肌,記憶力向上

効果度 即時効果 素早い効果

効果数値 7/10 6/10

副作用 なし

使用法 温かいお茶として飲用

適正価格 140~2000 130~1800


「あら~。すごいわね!美肌っ!!!美肌よ!!!」


「…こんな効能があるんですね…」


「それよりも効果数値よ。効果数値が付くものは少ないの。つくだけでもすごいのよ。しかも一番効果が少なくても2/10がついているわ。3/10以上の物は良いものなのよ。前回の塗り薬は7/10の数値でとても驚いたけれど、あなたの薬茶もすごいわね…本当にどうやって作っているの?」


「…すみません…それは…特殊製法のため秘密なので…」


「まぁそうよね…それでどうするつもり?」


「そうですね。この塗り薬と薬茶ですけれど、効果数値が違うのは、少しずつ製法を変えてみているからです。あまり高い数値だと逆にどうかとも思っていて、効果数値が低いものを普段から気軽に使っていただけるほうがいいかと思っています。容器は森で自作をしています。塗り薬は、効果数値が4/10の物は120エルク、20エルクは容器代のためその値段にしました。6/10効果の物は170エルク、7/10のものは200エルクでどうでしょうか?すべて120エルクにしてもよいのですが、これからのことを考えると同じ値段は逆に困ることなりそうなので…」


「そうね。その値段は…安すぎるくらいだけれど…値段は販売主がつけることになっているから…」


「効果は落ちますが、もう少し安価なものもこれから試しに作ってみるつもりです。その時は効能や効果数値にもよると思いますが、容器込みで100エルク以下にできればと思っています。」


「ラヤーナさん、美肌効果のあるお茶はどうするつもりなの?」


「同じようにできるだけ安価で販売しようと思うんですが…鑑定をしていただいたものは、あの入れ物の量でその値段ですよね…。あの筒1つでおそらくなんですが、10回分程度だと思います。あの筒のまま購入されたい方用と、3回分程度の小分けにして販売する方法を考えてみます。」


「入れ物は別売りにして、薬茶だけ量り売りにすることも可能よね?」


「はい。それも考えてみるつもりです。それから薬というほどの物ではないんですが、普段のちょっとした切り傷に塗って、気軽に使っていただける種類の物や、女性の手荒れ予防に普段から塗るクリームのようなものも作りたいと思っています。」


「普段から?気軽に?それはとても楽しみだわ。それは美容薬よね…。そちらは少したかいものになるのかしら?」


「いえ、それも、出来上がった時に鑑定を受けて、できる限り安価で提供したいですし、ぜひ皆さんに使っていただきたいんです。ただお願いとして、私が森で作っていて、他に作れる人がまだいません。作れる個数に限界があります。例えば、効果を理解して、転売のようなことをして大きな利ざやを出そうとするような商人の方にはお売りしたくありません。個人で使う町の皆さんや国の皆さん、お医者様やそのような施設で使っていただきたいと思うので、直接販売のみで、転売等は禁止にしていただきたいのです。そのようなことをお願いできるでしょうか?」


「えぇ、もちろんできます。公共性の高いものはギルドの方で特別認可品として購入者を追跡できるようになっています。個人で買っていく場合追跡はしません。品物にもよりますがまとまった個数以上を購入しようとする場合は、購入者の審査があります。」


「そうですか…いずれ小さな店舗をこの町に出して、継続的にお薬を供給できたらと思っています。それまでは少しずつ作っているものを、鑑定していただきながら、ギルドの区画ショップを利用させていただきたいです。」


「そう、それがいいわね。そのほうが、こちらでも薬の転売等を防げるわ。今回はどうするの?明日から初心者講習だけれど…」


「初心者講習が午前中だけの日が3日あるので、その日の中で区画ショップが空いている日に半日売ってみたいと思います。」


「それであれば…講習が午前中で終わる日のうち、区画ショップの空いている日を確認してみるわね。」


メリルが空いている日を確認して戻ってきた。


「3日のうちの2日は空いているわ。どちらの日がいいかしら、あるいは両方でもいいけれど…」


「私自身も買い物をしたいので、1日でお願いします。それで、売り方のご相談なんですけど…」


「あぁ、そうよね!私はね、実演をしたらよいと思っていたのよ。」


「実演…」


「騎士団の下級兵士や冒険者で軽い傷がある人達に協力してもらって薬を塗ってもらうのよ。実際に効果を感じてもらえば、購入したい人は絶対いるはずよ。おそらくだけど、実演したらすぐに売り切れるわ。だから購入は一人1つに今回は限定しましょう。それから…そうね、先ほどの区画ショップ利用日だけれど、協力者が集まりやすい日にしたらよいと思うのよ。そこも今確認をしてくるわ。ちょっと待っていてね。」


メリルがまた席を外し、協力者の確認をしに行った。


『どうやって確認しているのかな~』


「そうねぇ…何か…兵士の人たちや冒険者の人たちへ連絡手段でもあるのかしら?」


『ラヤーナ・いっぱいお薬作らないといけないなのね・大変なのね~』


「大変だけれど…この国の人たちが元気になるように、薬を普及させないとね。果実が混ざっているとお茶の効果が高くなるみたいだから、少しそちらを多く作ったほうがいいかしら?」


『ラーゴの薬水・美味しいのね~・ラティもね・協力するのね~』


「よろしくね。」


ラティと薬の種類を今後どうするのか話しているとメリルが戻ってくる気配がした。

ラティとの話をやめて待っていると、メリルが嬉しそうに話し始めた。


「ラヤーナさん、決まりよ、マーゴの日に実演販売をしましょう。その日は区画ショップにも空きがあるから、そこを利用できるわよ。」


「はい。その日でよろしくお願いします。薬もお茶も、今回持ってきた分しかありませんが、それで売ってみたいと思います。」


「わかったわ。区画ショップの予約を入れておくわね。」


「はい。よろしくお願いします。」


「あとは、マーゴの日の午前中の講習が終わって昼食の後…1ラルに区画ショップに商品をもって来てください。」


「はい、わかりました。それではよろしくお願いします。」




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