2-13 ラヤーナ 外森に家を作る 1
魔法帳を購入したラヤーナはラティと森の入り口まで戻ってきた。
他にも魔法小物を見ていこうと思っていたが、何となく疲れてしまい、これからもたくさん見る機会はあるだろうということで、次週までの準備も考え早めに戻ることにしたのだ。
森の入り口の少し入ったところではアルバスがラヤーナ達を待っていた。
『町ではいろいろと情報を仕入れたようだな。』
「えぇ…いろいろと…さすがに初めてでちょっと疲れたわ。」
『でもね~・いっぱい・いっぱい・いろいろあったのね~・ラヤーナ・魔法帳買ったのね~・それに、アルバスが採ったお肉・いっぱい売れたのね~』
『肉…あぁ、鬼獣か、町では食料になっているんだろう』
「えぇ。貴重なお肉よ。アルバスのおかげでたくさん買い物ができたもの。本当にありがとう。」
『あの程度ならいつでも狩れる。必要なら用意するぞ。』
「素材も必要になると思うの。まだどのくらい必要かもわからないけれど、鬼獣を倒すのは私だけでは大変だから、アルバスが一緒だととても心強いの。よろしくお願いします。」
『あぁ。まかせておけ。』
『それでね~・らやーなとね・こっち側の森にね・おうちを作るのね~』
『家か?』
「そうなの。これから町にも頻繁にいくようになるし、アルバスとも一緒に過ごせる場所が欲しいと思ってね。そのうちこの外森にも薬草が生える範囲が広がるだろうし、森が荒れないように、外森も私が過ごせる場所があったほうがいいと思うの」
『そうだな…我は秘森には入れないからな…』
『薬草育てるの~・アルバスもいっぱい薬草食べるの~』
『うむ…まぁ、あれは旨いからな…鬼獣の肉などよりもよっぽどいい…薬草があるなら毎日でも鬼獣を狩ってやるぞ…』
「そんなに薬草が気に入ってもらえたの?よかったわ。こっちに薬草畑を作る予定なの。アルバス用の薬草もたくさん作るわね。」
『そうか。それは良い。』
『アルバス・うれしそうね~・薬草おいしいね~・ラティもね・ラヤーナの薬水好きなの~』
『薬水?それはなんだ?』
『ラヤーナの作る美味しいお薬のお水~』
『旨いのか!』
『うまいのなの~』
『うむむ…うまいのか…』
「アルバス、外森に家を作ったらアルバスの薬水も用意するわよ。」
『そうか!我もそこに住むぞ。守護対象のそばにいるほうが守りやすいからな。』
『薬草も薬水も・たくさんもらえるのね~・アルバス嬉しいのね~』
『う、まぁ…それもある…』
「そうね…早めに外森に家を作りましょう。基本は私の土魔法を使って作るわ。」
『家か…それならばいい場所がある…』
「いい場所?」
『あぁ。薬草を育てるのだろう?それなら少し広い場所がいいだろうし、町に出やすいところがいいだろう。だがあまりにも町から見えるところでは不安もあるし、我もできればあまり人に見られたくない。』
「そんな場所があるの?」
『あぁ。こっちだ。』
ラヤーナとラティはアルバスについて森の中を歩いて行った。
町に出やすい、畑も作れる、でも町の人たちからは気づかれにくい…そんな場所が?
「あった…」
『気持ちいいのね~・ここ・特別な場所ね~』
『まぁそうだろうな。』
『ここ~・アルバスの匂いがするのね~』
「ここは…もしかしたらあなたの」
『まぁ、そうだな。』
「ここはあなたの大事な住処ではないの?」
『そうだが、これからはお前が家を建て、そこに薬草の畑を作るのだろう。お前は我の守護対象だ。お前がいる家、そこが我の住処だろ。』
「そうだけれど…いいの?ここはとても素敵な場所よ。だってすごく気持ちがいいもの。外森だけれど、ここは特別な場所だわ。あなたがずっとこの外森を守ってきてくれたのでしょ?」
『森を守るのはおまえの役目でもあるのだろう?それであれば同じだ。我は確かにこの外森を守ってきたが、本来の役目はお前を守護することだ。森神人はこの森だけではなく世界の森を守る。我はお前を守り、薬草を楽しめる。守護対象のそばにいれば守りやすくなる。』
『ラヤーナ・アルバスのいう通りなの~・アルバスはラヤーナと一緒にいたいの・ラティもなの・アルバスは精霊の森の中には入れないの・だからこっち側でラヤーナのおうち必要なの・そこにアルバスがいるの大事なの・絶対大事なの・だからここがいいの・アルバスの言う通りなの~』
『そうだ。森の中では我がお前と共にいることが大事なのだ。』
「分かったわ。アルバス、ラティ、ありがとう。ここに家を作りましょう。みんなが楽しめるような素敵な家にしましょうね。」