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れっつ世界を救おう  作者: Luna
第2章 れっつオープン薬屋さん
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2-12 ラヤーナ 魔法帳を手に入れる

『ラヤーナ・いろいろたくさんあるの~・ラティ知らないの・たくさんあるなの~』


魔法を使った小道具が置いてある店がある通りは魔道具通りという名前がついているらしく、いくつも並んでおり、それぞれの店で少しずつ置いてあるものが異なるようだった。ラヤーナ達はそのうちの1つの店に入り、ラティは店に並べられている様々な小道具を見て楽しんでいる。ラヤーナは早速魔法帳を見つけ、手に取ってどのような物か見ているところだ。


今ラヤーナが手に取っている魔法帳は手のひらいっぱいくらいのサイズ、日本のB6サイズに近い大きさだ。ノートを開くとその倍の大きさ、B5の大きさになる。

ノートのようにぺらぺらとめくって使うことは普通のノートと変わらないのだが、そこに魔法でいろいろなものを写し取ることができる、というのが変わっているし、ページが増えても重くなったり、厚くなったりしない、というところも魔法道具ならではのものとなっている。

写し方は魔法を使うのだが、魔力をノートに流し込むだけで使えるので、どの種類の魔法が使えるかということは関係なく使えるようになっていて、この世界の住人は誰でも使えるということだ。

何となく、コピペ(copy & paste)に似ているなーと思いながらラヤーナは魔法帳を見ていた。


ここに来るまでの道順や、ビーロップの値段など、メモを取っておきたいことはたくさんある。

消したり書き込んだりすることは持ち主のみが自由にできるため、1つ1つの魔法帳は所有者を魔法で登録する必要があり、登録者以外は扱えないようになっている。複数の登録者で使いたい場合はその人数分の名前を登録する必要があり、登録を一人だけしておいて、後程登録者を追加したい場合は、その登録者が自由に登録者を増やすことができる。また登録者が他の人たちに見せたくない場合もページ設定で見えないようにすることも可能らしい。(秘密の日記を作れると店員が言っていた)特定のページのみの閲覧をできるようにする設定方法もあるらしく、魔法帳にはチュートリアルのページがかならず冒頭についているようだ。

魔法帳にメモを取る場合、言葉をつづることも可能だが、見た絵を写し取ることもできる。イメージをはっきりと持つことができれば、自分で絵を描くこともできるため、様々な設計士-服飾や道具、建物等-は大型の魔法帳を使ってそこにデザイン画を書き留めているそうだ。


「うーん、どれにしようかしら…」


『ラティね~・これいいとおもうのね~・ラヤーナにはこれね~』


ラティが勧めた魔法帳は淡く柔らかい緑色の表紙だ。ラティに言われてその魔法帳を見ていると、突然ふわんふわんとゆっくりと瞬くように魔法帳が光りはじめた。


「…これ…光ってる?」


「あぁ、魔法帳が光って見えるんですか?それはあなたと相性が良い魔法帳ということですよ。」


店員がラヤーナの独り言を聞き取って、声をかけてきた。


「光って見えると相性が良いんですか?」


「えぇ。魔法帳は魔法をかけて作りますが、一つ一つが少しずつ異なっているため、その魔法と相性の良い人には本がほんのりと光っているように見えます。どちらの魔法帳が光ってみえましたか?」


「この、緑色の魔法帳です。」


「おお、これですか。」


「はい。」


「この魔法帳はなかなかの気難しやで、相性の良い人がこれまで現れなかったんです。しかも、他の方が手に取ろうとすると、嫌がるように台に張り付き、手に取れなくなってしまっていたんです。お嬢さんが来るのを待っていたのかもしれませんね。」


「そうなんですか?」


「えぇ。魔法帳というものはそういうものなんですよ。魔法帳は本来相性関係なく使えますが、魔法帳そのものが強い意志を持っている場合も稀にあります。単純に、デザインや色の好みで購入されていく方も多いのですが、相性が良い魔法帳を使うと、普通の魔法帳には無い、隠れた性能が出てくることがあります。それは魔法帳固有のもので、私たち製造者にもはっきりとはわかりません。あくまでも相性の良さの中から、特別な性能が出てくる、というものです。」


「特別な性能ですか…どんなものなんでしょうね…」


「そうですね…相性にもよりますが、一番の奇跡と呼ばれているものとしては有名なもので未来の出来事が突然現れるというものでしょうかね…」


「え!未来の出来事ですか?」


「はい。この特別な性能は大変珍しく、今までで一例しか報告がありません。もともと特別な性能を発揮できる魔法帳の数が大変貴重で少ないのです。その他の物としては絵などを写すときに、色まで鮮明に写せる、ですとか使う魔力が少ない、というものがあります。」


「そうなんですか。」


「どうぞ、この魔法帳を手に取ってみてください。」


店員に勧められ、ラヤーナは緑の魔法帳を手に取った。台から離れないということもなく、すんなりとラヤーナの手のひらに収まる。表紙は柔らかく、手に馴染んでくる。魔法帳はまだ相変わらず淡く光っているが、気にせずに開いてみることにした。


『待っていたのよ。私を買ってね♡』


開いたページにまず書かれていたことがこれだ。しかも日本語で書かれている…


「……………………」


「おや、何か書かれていますか?」


「…ここに文字が書いてあるのですが…」


「あぁ、そうですか。あいにく私には見えません。」


「え、見えないんですか?読めないんではなくて?」


「えぇ。そこに何か文字や絵などがあるようには見えません。何も書かれていない、まっさらなページですよ。」


「………」


「なにかあるんですね。」


「…はい…『私を買って』…とあります」


「そうですか。相性の良い魔法帳が見つかってよかったですね。」


「………そうですね…この魔法帳をお願いします。」


「お買い上げありがとうございます。魔法帳はすべて大きさで値段が統一されております。こちらの大きさですと、4500エルクになります。登録をされていきますね?」


「はい。登録の仕方が分からないので、はじめはお願いします。」


「はい、それではこちらのカウンターにいらしてください。」


ラヤーナは店員に連れられ、別のカウンターに行き、そこで登録をしてもらった。

登録には特殊な台の上に魔法帳を載せ、その上に登録者の手を載せ、登録魔法をかけて魔法帳に使用者の認識登録をする。通常5~10ミルほど登録に時間がかかるらしいのだが、本がラヤーナを選んでいたためなのか、1ミルもしないうちに登録が終わった。


「こんなに早い登録手続きは初めてですよ。素晴らしくよい相性ですね。」


「…私も…いろいろとびっくりです…」


「魔法帳も含め、魔法道具には不思議なことも多いですからね。」


「そのようですね。」



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