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れっつ世界を救おう  作者: Luna
第2章 れっつオープン薬屋さん
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2-10 ラヤーナ 初めて宿屋で食事をする

『ラヤーナ~・ご飯なの~・ラヤーナ食べるとラティも食べれるの~』


「町の食べ物はいろいろあってラティも楽しみよね。」


『そうなの~・早く行こうなの~~~~~!』


ラヤーナとラティは食堂に行き、空いている席に座った。ちょうど6ラルを過ぎた頃で、宿泊客に食事が運ばれている。ラヤーナの前にも大きなお盆に、野菜やお肉の様な物が載っている大きめのプレートと、小さめのパンが2つ、スープ、小皿に乗っている半分に切ってあるラーゴの実が置いてある。ラティがラーゴの実にかじりついている。町での食べ物は食べれないのではなかったのか?パンとスープは、おかわり自由となっているそうだ。


『このラーゴの実もいけるの~~~~!』


こちらに注意を向けている人たちがいなかったことから、ラヤーナは小さな声でラティに話しかけた。


「ラティは森の外の食べ物は食べれないんじゃなかったの?」


『ラーゴの実以外は食べれないの~・ラティはラーゴの精霊だから・ラーゴの実だけはどこのものも食べれるの~・でも精霊の森の実のほうがずっと力がでるの~』


なるほど…。ラーゴの精霊だからなのね。


『ラヤーナ他のものも食べるの!・ラティはラヤーナの気から食事わかるの!・食べてみてなの~~~~』


どうやらラティは町の食べ物に興味があるようだ。そういえば、先ほど町の屋台で焼肉を一口食べてみた時も、ラヤーナの周りを飛んで精霊気を吸い込みながら美味しいと言っていた気がする。自分は森神人だが、半分精霊の様な物らしいので精霊気ということなのだとラティが言っている。

肉は屋台で食べたものとは味も食感も違った。味は調味料の違いがあるのかもしれないが、肉そのものも違うと感じた。何の肉だろう…これは…ホーンビットかそれともゴルブリか…それともアルバスが倒したグリズルーかもしれないし…もっと違う鬼獣の肉かもしれない。あとで何の肉か聞いてみよう。

野菜も、見たことがないものもあって、育てられそうなものなら苗や種から育ててみたいと思った。もしこの町で売っているのなら、精霊の森にはない一般の植物が載っている植物図鑑なども購入したいと思っていた。


『ん~~~~・美味しいのね~~~・このお肉の黒いペタペタ美味しいのね~』


「あぁ、それはお肉のソースね。えぇ、このソースはおいしいわね。何が入っているのかしら…」


ラヤーナが味を確かめるようにしながら食事をとっていると、配膳をひと段落終えた宿屋の女性が声をかけてきた。


「おや、そのソースが気に入ったのかい?」


「はい。とても美味しいです。どうやって作っているのかと思って…」


「そんな珍しいものを入れているわけではないよ。まぁ、配合はうちの料理番の秘伝らしいね。」


「どんな材料なんですか?」


「普通の家でも使っているものだよ。今日はゴルブリの肉だからその肉汁とウィーの粉、ブーテュー、普通はそこに果実のシロップだけど、うちはビーロップを入れているよ、あとはぺパパとソルル、それに香草だね。香草の種類と量も秘伝らしいよ。」


「…ブーテューは…あの…ミルルからつくるものですか?」


「おや、知らないのかい?」


「はい。その…森から今日初めて町に来たので…来週からギルドで初心者講習を受けることになっています。」


「あぁ、最近多くなっている鬼獣にやられて育ったのが辺鄙なところっていう?」


「…似たようなもの…だと思います。」


「そうかい。それは災難だったね。まぁ、あんたはこうして大人になれたんだからよかったよ。ブーテューはミルルができる工場で作られているから、欲しいなら町で買っていけるよ。」


「そうですか。ビーロップって言うのは…」


「あぁ、それもね、工場で作られるものさ。この町ではベルタんとこで買えるよ。」


「ベルタさん…ですか?」


「あぁ。クマの獣人で、温厚ないい人だよ。ここから歩いて半ルラルくらいだよ。ブーテューもベルタの店と同じ通りにあるオーセンの店で買えるよ。」


「常設マーケットでは売っていないんですか?マーケットにはいろいろな食材がありましたが、他にもあるんですね。」


「店の裏に工場があるからね。屋台があるマーケットでは裏に工場は立てられないだろ。マーケットで手に入る食材は、採取されたものがほとんどだよ。工場で作られた食材が欲しいなら、ベルタやオーセンの店がある通りを見るといいよ。宿屋の入り口には簡単なマップがあるからそれで見ればいいさ。魔法帳を持っていればそこにマップを写せばいいよ。」


「魔法帳ですか?」


「あぁ。そういう道具も持ってないんだね。まぁ、田舎じゃ扱っていないだろうね。それはベルタの店の一つ向こうの通りに、道具屋の店と工場があるから、そこも見てみるとあんたの興味ありそうなものはわんさと置いてあるよ。」


「ありがとうございます。明日帰る前に行ってみます。」


ラヤーナにはまだまだ知らないことがたくさんあるようだ。ラティも『まほーちょー知らないの~』と言っている。女神が眠っている間に新しい道具もいろいろと開発されたのだろう。それに先ほどの食事の材料で使われたビーロップだが、何となくではあるが、はちみつの様な物ではないかと思った。ジージャ(生姜)は森で採れるので、はちみつジンジャーが作れるかもしれない。そういえば、ジージャはこの町で売っているのだろうか?材料は精霊の森の薬草でも、できれば町でも売っているものと同じ種類のものがあると、町の人たちに安く販売できるのではないだろうか。


明日は森に帰る前に、工場の通りと野菜や香草を見るためももう一度マーケットにも行ってみようと思った。


※ミルル:ミルク 、ブーテュー:バター



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