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れっつ世界を救おう  作者: Luna
第2章 れっつオープン薬屋さん
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2-7 ラヤーナ 薬の鑑定を見て驚く

ラヤーナは薬をどうやって売ったらよいか、その方法を探しにギルドに来たのだが、販売コーナーを利用して、まずは様子を見ることが良いだろうと考えた。どうやらギルドカフェの販売コーナーはそれぞれの時期の品物であったり、別の町や国からの品物が売られていたりと、物産展のような役割もしているようだ。その他に、ラヤーナのようにお店を出す前の、町の人たちへの宣伝販売や、購買の様子を確認してから店を構える等、様々な目的で利用されているようだ。

先ほどもこの場所に通される前にちらりと見えた販売コーナーでいろいろと売られていた。ギルド職員の女性の話では、今日も8区画で物品販売されていて、いつも8割程度区画は利用されており、お祭りの時期は早くにいっぱいになってしまうそうだ。最もお祭りでは、露店も許可されるため、現状では販売側も購入側も特に問題は無いということだった。

また初心者講習は次週から始まり1つの講座はおおよそ丸一日かかるものと半日程度のものがあるようだ。5つの講習を申し込んだラヤーナは、5日間連続で受講することになるため、その間、町の宿屋に泊まることにした。一度森に戻って準備をした後、講習が始まる前日には町に来る予定だ。


この世界の簡単な常識についても、先ほどの女性から簡単に説明を受けた。


まず時間の呼び方については、ルラルが単位らしい。1ルラル、2ルラルで、およそ1時間、2時間ということだ。町の中心部にある広場には大きな日時計があり、王国内では同じ時間を示すように設置されている。この日時計の目盛りは12に分かれており、一日は24ルラル、時間の感覚は地球と同じようだ。この点については非常にありがたいと思った。時間の呼び方は、1時を1ラル、2時を2ラルと呼び、それぞれの家や店舗、宿屋などにはラル板と呼ばれるものがあって、この日時計の時間が魔法で表示されるようになっているらしい。一般の家では1つらしいが店舗などでは複数このラル板を設置しているところもある。ラル板はアナログ時計に似ているものだ。

ルラルのさらに細かい単位は、1ミルでこれは分、こちらはおよそ2分で、1ルラルは30ミルとなっている。


曜日の概念は森で生活していたころはあまり考えていなかったが、町ではやはり曜日というものがあるらしい。ラーゴの日、オーランの日、バーナの日、マーゴの日、グーフルの日、ギーの日となっていて、1週間は6日、5週間で1か月ということのようだ。

果実の日は仕事の日で、ギーの日は仕事をしない日となっている。ギーの日はギルドと宿屋と飲食店以外は、営業はしないらしい。今日はラーゴの日で、またラーゴの日が1週間の最初に来ている、ということで、ラティが喜んでいる。


『今日はラーゴの日なの~・最初なの~・ラーゴの日・始まりなの~・ラティの日なの~』

『町にもラーゴの木あるの~・精霊はいないけど・ラーゴの実もあるの~』


ラヤーナはまだ見ていないが、ラティはラーゴの木の精霊ということもあって、この町にラーゴの木があるのが分かるようだ。普通のラーゴの木らしい。精霊の森のラーゴの実のような不思議な力はないが、普通の果物として町では食べられているようだ。


宿屋の宿泊については、食事付きのところと食事なしのところがあるようだ。ラヤーナはまだ町のことを知らないため、食事付きのところを紹介してもらうことにした。今晩一泊し、次週1週間滞在するための宿泊先になる宿屋だ。女性一人(ラティは見えないため)ということで、少し高めだが、安全なところということで1件の宿屋を紹介された。一泊2食付きで、800エルクらしい。この町の一般的な宿では400~600エルクが相場の様だ。高級宿屋になると2000エルク以上からだそうだ。今晩と来週1週間の宿泊をギルドを通してお願いをした。あとで町の様子や宿屋などを見に行くつもりだ。

この世界の物価などは後で町のお店などを見て考えてみようと思うが、宿屋の値段から1/5から1/10程度ではないかと考えた。初心者講習で商売のイロハも申し込んだので、そこでもう少し状況が分かるのではないかと思う。


「細かいことは来週の初心者講習で学んでください。」


「はい。ありがとうございます。宿屋もご紹介していただいて、助かります。」


「いいのよ。これも私たちの仕事だもの。若い人には国を支えるために頑張ってもらわないとね!」


「…はい。頑張ります…。」


「ちょっと鑑定結果を見てくるからここで待っていてくださいね。」


若い…一応16歳になっているのだから、若いということでいいはずだ。そういえば自分が83歳だという感覚はもうない。日本で生きていた時の知識はしっかりと残っている。薬をこれから作っていくのにその知識が間違いなく役に立つだろう。昔…自分が日本でまだ16歳だったころは…そうだ…夫に出会ったのもその頃だったはずだ…自分をとても大切にしてくれた…素敵な人だった…。

フッと自分が16歳のころの感覚に戻っていることが分かった。

そう、16歳のころの医師になる夢を持ち始めたあの頃の、夢と希望を抱いて、気力も体力も充実していたあの頃だ。今の自分はまさしくあの頃の状態で、これからこの世界にできることをしたいという希望とやる気に満ちている。自分の中に活力と元気が出てくる。


『ラヤーナ・楽しそうなの~・元気いっぱいね~』


「ウフフ。そうね!これからたくさんこの世界に貢献したいの。とてもとても楽しみよ。」


ちょうど鑑定結果を確認しに席を外していたギルド職員の女性が戻ってきた。


「ねぇ、あなた…ラヤーナさんだったわね。この薬、すごいわね!見て、これが鑑定結果よ。」


鑑定結果【塗り薬】

効能:軽い裂傷、擦り傷、火傷等

 効果度:軽度傷への即効性

 効果数値:7/10

 副作用:なし

 使用法:患部への直接塗布

 適正価格:1キュプ 100エルク~10000


「あら、適正価格が…」


「これだけ適正価格が広いものも珍しいわね。」


「そうなんですか?」


「えぇ。適正価格が非常に広い場合は、今後大きな需要が出る可能性があるということなの。この鑑定は特殊魔法を使っていて、今後の素材不足なども含めて、未来のことについてを織り込んで結果が出るようになっているのよ。」


「未来のこと…ですか?」


「えぇ。この結果を見ると、効能もすごいけれど、効果度もすごいわね。塗ったらすぐに傷がふさがるということよ。薬の鑑定結果を見る限り、今王国で扱っている聖水から作られている薬よりもずっと効果が高いわ。それにこの薬、下手すると治癒魔法よりも効果があるんじゃないかしら…」


「治癒魔法より…ですか?」


「えぇ、そうよ。治癒魔法についての詳しいことはあなたが申し込んだ初心者講習の病気とケガへの対処法で扱っているから、そこで詳しく知るといいわ。魔法訓練でも適性があれば使えるようになるわよ。適性はまだ眠っていて発顕していないだけかもしれないわよ。」


「そうですか…。魔法訓練や体術訓練は、少し落ち着いたら受講したいなと思っているんです。」


「初心者講習はいつでも受付可能だから、まず先ほど申し込んだ5つの講習を受けて、いろいろと理解したところで考えるといいわ。」


「そうですね。」


「この薬、どれくらいあるの?」


「今回持ってきたのはこの入れ物に入れたもの3つほどです。あの、1キュプって、どれくらいの量になりますか?」


「あぁ、重さや大きさについても知らないのね。ちょっと待ってね。」


女性職員は何か品物を取りに席を立つ。

ラヤーナの持ってきた薬はラヤーナの土魔法で作った入れ物に入っている。普通のカップの高さが半分くらい大きさだ。

女性が何かをもって戻ってきた。


「これよ。この中にちょうど1杯分が1キュプよ。」


女性が持ってきたものは、ラヤーナが考えていたものよりずっと小さなものだった。

大きさは…そう、日本でよくお世話になったペットボトル、その蓋、キャップ程度の大きさしかない。


「…これで1キュプですか…」


「そう。だから、今あなたが持ってきたものだと…、そうね、この入れ物1つで5~6つ分くらい…もう少しあるかしら、7~8つ分にはなりそうね。効能が高いから、小さく見えるけれど、1キュプ単位で販売してもいいと思うわよ。」


「…そうですね…入れ物も…考えてみます。」


「あら、量り売りにはしないの?」


「いえ…入れ物も作って、はじめからそこに薬を入れておいてそれで売ろうと思います。」


「まぁ、それも売り方の一つだけれど、入れ物の分、少し割高になるわよ?」


「それは…多分大丈夫です。」


「そう。まぁ、工房によっては、小さくても数を多く注文すると大量に割引をしてくれるところもあるし、薬はきちんと保管できる方がよいから、入れ物込みの方がよいかもしれないわね。」


「はい。あの、この1キュプの入れ物は工房に行けば売っていただけるんですか?」


「あぁ、今あなたが見ているそれはギルドが販売しているものよ。大きさを確認するための道具なの。それならギルド直営のショップで、1つ50エルクで売っているわ。欲しければ50エルクでそれをお譲りできるわよ。ショップから持ってきた新しいものだから。」


「あ、それでお願いします。他にもショップにはありますか?」


「いろいろあるからこの後一緒に行ってみましょう。その時に、1キュプ器の代金もギルドカードで支払うといいわ。」


「はい。わかりました。」



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