2-4 ラヤーナ ギルドで登録する
「あの、すみません…ここが受付ですか?」
ラヤーナは受付の窓口らしきところにいる女性に声をかけた。
「はい、そうですよ。何かお困りですか?」
「はい。えーと、ギルドのシステムや、素材の売買、物の売買について教えていただけませんか?」
「あら、何も知らないの?この町は初めてですか?」
「はい…その…ちょっと辺境というか…田舎の方というか…あまり人がいなかったところにいたので…」
「あら、ご家族の方に教えてもらっていないのかしら?あるいは町や村の人なんかにも?」
「はい。その…人がいるところで育たなかったので…すみません、いろいろと教えてほしいんです。」
「…あら…もしかしたら人がいないところで育てられたのかしら…ごくごくたまに、鬼獣などに家族など村ごと襲われて、小さな子供だけ生き残るケースがあるんです。生き残った子どもを魔獣やドワーフなどが、町以外の森や洞窟の中で育てるケースがあります。最近でも、特に鬼獣が強くなってきて騎士などがいない地域ではそこで生活していた人が全部殺されることがあったんです。あなたもそうだったのかしら?」
「…ええと、はい、そんな感じです。今は…森で…作ったものを町で売りたいなと思います。」
「そう、それならギルドに登録してください。町で売買も含めて生活に関わることをするのなら、身分証明が必要になります。戦士や騎士、商人、農民、加工師、細工師など、職種も多様ですが、皆さん必ず登録をしていただいています。もちろん私も登録していますよ。」
「はい。よろしくお願いします。それからできれば、町のことや職のこと、品物を売るお店を作りたいので、そのことも教えてください。ギルドからの依頼というものもあると聞いたので、そのことも知りたいです。」
「分かりました。本当に何も知らないようね。もしかしたら…魔獣に育てられたのかしら?ドワーフやエルフなら、そういうことは多少なりとも教えると思うのだけれど…」
「…ええと…魔獣は…知り合いというか大事な仲間です…」
「やはりそうなのね。それなら知らないのも当然ね。ではまず先に登録をしてしまいましょう。その後奥の部屋に行って、ギルドでのルールや人の世界のルールをお話します。」
「すみません…お手数をおかけして…」
「いいえ、いいのよ。あなたのような町や村で育たなかった人達用のマニュアルもギルドにはちゃんとあるの。心配しなくても大丈夫よ。まだ若いのでしょう?」
「…ええ…と…16才?…のはずです。」
「まぁ、私の姪と同じ年だわ。これまではいろいろと大変だったでしょう?魔獣に育てられたとなると、いろいろと知らないこともあるでしょう。ギルドには初心者講習もあって、世界のことをわかりやすく解説する講座もあるの。家の事情で学ぶ機会がない子どももいるのよ。そういう子たちがギルドで仕事を探すときに基本的な知識をここで教えているの。あなたも受けるといいわ。」
「はい。それは受けてみたいです。」
「そう、それなら初心者講習も何種類かあるからあとでそれも見てみましょう。」
「はい。よろしくお願いします。」
ギルドでは登録するだけではなく、この世界のことについても人の目線で知ることができそうだ。
早速登録の手続きをする。
「このプレートの上に手を載せてね。これは人の能力認識プレートなの。このプレートで分かった情報が、この個人カードに転送されます。もしあなたのレベルやステータス等が変化すると自動的にこのカードに最新情報が載るようになっているのよ。」
「そうなんですね。」
『…ラヤーナ・指輪・大丈夫?』
能力が認識されると聞いて、ラティがラヤーナの手を確認する。
ローラ様たちが作った指輪はちゃんと指に収まっている。
『あとでね・ローラ様に見せるの~・カード・特別にできるの~』
特別にできる?どういう意味だろう…ラヤーナがラティの言葉を聞いて思案している。
手を載せてしばらくすると、プレートが光り始める。
「光が消えるまでは手を動かさないでね。個人カードに転送しているのよ。」
5分ほどプレートに手を載せると光が消えていった。
「さあ、あなたのカードができたわ。ラヤーナさんというのね。はい、どうぞ。」
名前:ラヤーナ・カーシム
レベル:3
スキルレベル:2
魔力レベル:2
年齢:16
種:人
職:***
職スキル:***
魔法:水(3)、火(2)、風(2)、土(3)