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れっつ世界を救おう  作者: Luna
第1章 ヴェルネールの森を再生しよう
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29 ラヤーナ レーリナにお願いされる(50日目)


小屋の隣に精霊たちの憩いの場ができた。

ルルが来てから3日でこの場所を作り、目を覚ました動物の精霊たちがラヤーナの作った憩いの場でくつろいでいる。

いろいろな薬水や薬も用意し、干し草の寝床も作った。

薬や薬水、干し草はいろいろな種類の薬草たちが自らアイデアを出し、乾燥具合を調整しながら動物の精霊の好みに合わせて何種類か作ってある。


もとは薬草であっても、薬や、寝床になる時にそれぞれの精霊は別の草に入り込むため、効能だけが残っている。もとは自分たちの草だったこともあって、ラヤーナが作るとき、薬草本人たちが細かく指示を出してくれたため、その具合を調整しながら薬を作った。そのおかげでラヤーナの魔法は非常に繊細なところまで調整する力がついている。同時に薬師としてのスキルも上がっており、中でも調剤についてはそのスキルがかなり上がっている。


裏の小川の水の一部を土の魔法で作った囲いの中に流れるようにし、大量の神水をそこに作成する。

ラヤーナの朝起きて一番の作業は囲いの中の水を神水に変えることだ。この囲いから精霊たちの憩いの場まで小さな水路を作り、水が流れるようにして水飲み場を作ったため、動物の精霊たちはこの場に来ればいつでも神水が飲めるようになった。また、今までラヤーナが撒いていた神水だが、動物の精霊たちがそれぞれの魔法で自分の本来の住処に水を運ぶようになったため、ラヤーナが直接まく必要はなくなり、神水は森中にしっかりといきわたるようになっている。

木や草花、野菜などの精霊たちはラティと同じような姿のため、自ら飛んで来ることができる。種類も増えたため、動物の精霊たちが休憩するところに新たに薬水を置く場所を作った。種類も増やし、毎日10種類程度の薬水を作っている。そのうちの1つはラーゴが入ったギーの薬水だ。それ以外は日替わりでいろいろと用意する。

精霊の憩いの場は、草木などの精霊たちと動物の精霊たちのおしゃべりの場にもなり、森の様子をラヤーナにも伝えてくれる。

どうやら森の回復力が戻ってきて、森本来の力を持つ状態にだいぶ近づいているようだ。


精霊の本にはレーリナからの感謝の言葉や、森の状況について説明が書かれている。図鑑に載っている果実・薬草・野菜・木・花・動物・魔法の種類・スキルについて等、思い出せないときは精霊の書を見て確認することができる。


午前中に薬水や薬を作り、薬草畑の手入れをして、精霊たちの憩いの場に用意して戻ってくると、その精霊の本が光っている。また何かレーリナからの連絡かと思い、本を手に取り開いてみた。

ラティとルルも一緒に本をのぞき込む。


ラヤーナ、たくさんありがとう!

精霊の森が復活しました。

木も草も花も動物も、精霊たちがみんな元気を取り戻すことができました。

ラヤーナのおかげです。本当にありがとう。

そしてもう一つとても大事な、とても重要なお願いがあります。

これから泉に向かってください。

ようやくラヤーナに会うことができます。

レーリナもラヤーナと一緒過ごすことができるようになりました。

大事なお願いはそこで会ってお話します。

ラティもルルも一緒についてきてください。

泉で待っています。


『レーリナ一緒~~~!』


『れーりなさま・もどる!』


『ラヤーナ・泉に行くの~~・早く行くの~~~!』


「分かったわ。レーリナと、やっとちゃんと会えるのね。何年ぶりかしら…。きっと80年はたっているわよね…うふふふ」



ラヤーナ、ラティ、ルルは泉に向かった。レーリナにようやく会える。でもいったいどんなお願いがあるのだろう…、そう考えながら歩いているうちに、泉に到着した。

その泉のそばに精霊が立っていた。見たことがある精霊だが…大きさが…


「あやね、そして今は完全にラヤーナになったわね!ラヤーナ、ありがとう!」


「レーリナ…レーリナは…ラティくらいかと思っていたけれど、普通に大きいのね。」


レーリナはラヤーナと同じくらいの背格好だ。以前の記憶では…ラティと同じような感じだったと思うのだが、まだラヤーナが絢音として過ごしていたころのしかも2,3歳のころだ。記憶が怪しいのかもしれない…


「あぁ、今は代行だからなの。本来はラティと同じなのよ。ラヤーナのこと、ずっと見ていたの。レーリナは2度も助けてもらったのね。最初に会ったときはラヤーナが森神人だって気づかなかったけど、考えてみればレーリナの声が聞こえている時点でそうだと気づかなきゃいけなかったのよね…」


「あの時私はまだ小さかったし、それにレーリナ、力を失いかけていたでしょう?ぐったりしていたわよね。だからきっとそのせいだったのよ。」


「そうなんだけどね…。まぁいいわ。今はラヤーナがいてくれる。ラティ、ラヤーナを助けてくれてありがとう。ルルも動物の精霊たちをまとめてくれているのでしょう?二人ともありがとう。」


『ラティ頑張ってるの~・ラヤーナと一緒にいてとっても楽しいの~・もっといっぱいこれからも助けるの~!』


『‥ルルも‥がんばるの‥みんな‥ラヤーナ‥すきなの‥』


「二人ともこれからもお願いね。」


「レーリナ、お願いしたいことがあるって書いてあったわよね。とても大事なことなのでしょう?」


「そう、そうなの!やっと精霊の森に力が戻ったでしょう。だからようやくなの。あのね、ラヤーナの住んでいる小屋にお部屋を2つ作ってほしいの。」


「レーリナの部屋?」


「1つはそうよ。」


「もう1つは?仕事部屋か何か?」


「もう1つはね、女神様のお部屋よ。」


「女神様のお部屋?ラティが言っていた、この泉に眠っている女神様?」


「そうなの。女神様、ローラ様…本来はエルローラとなるはずなのだけれど、ローラ様が女神となる直前に神界で争いが起きてしまって、女神の力“エル”が今はないの。それを奪われてしまって、森も消えかけていたの。ラヤーナがエルクトラドムに来てくれて、森を再生してくれたから、森の方はもう大丈夫。ラヤーナは森神人で、森神人は本来女神様と一緒のこの世界と、森を守る人なのよ。争いが起こった時に森神人の魂が飛ばされて、レーリナはずっとその魂を探していたの。ラヤーナがこっちに来てくれて本当に良かった。ローラ様は今赤ん坊の状態よ。レーリナはこれまでずっとローラ様を守りながら、レーリナの力でできる女神としての代行をしてきたの。森が元に戻ったからもう目を覚まされるわ。でもまだ女神としての力はない。ラヤーナにお願いしたいの、ローラ様を育ててほしい。レーリナもローラ様のそばにいて、これまで通り、代行としてできることをするわ。ローラ様が“エル”の力を取り戻し、女神としてエルクトラドムを守れるようになるには、ラヤーナの力が必要なの。」


「私ができることは、もちろん協力するわ。この世界に来るときあなたに約束したもの。“助ける”って。ねぇレーリナ、ローラ様はまだ赤ん坊なのよね。女神様のお部屋は何か使う目的があるんじゃない?」


「えぇ。この泉の底にはローラ様の本来住むべき小さな神殿があるの。神殿といっても大きなものではないのよ。そこには女神としての力や知識を留めている場所があるの。そこと森神人の小屋の女神様のお部屋をつなげて、ローラ様に力と知識を取り戻してほしいの。」


「分かったわ。でもレーリナ、女神様の“エル”の力は奪われたって言ったわよね、それはどうするの?」


「それは別の方法を考えているわ。“エル”の力は今ここにはないけれど、“エル”の力を使えるのは、今はローラ様だけだから、どちらにしても持つべきではない人が“エル”の力を持っても意味がないの。“エル”の力を取り戻すのはもっと先になると思うわ。ラヤーナに頑張ってもらわないといけないし、まずは精霊の森の外にも行けるようにならないとだめなの。このヴェルネールの森があるヴェルネリア王国も含めて、エルクトラドムには薬がないの。正確に言うと、薬草から作る薬を扱える人がいなくなってしまったの。だから、ローラ様が成長したら、ラヤーナにはヴェルネリア王国の薬事情を変えてもらわないといけないのよ。この森があるヴェルネリア王国の中は、ラヤーナが十分に力を持つまではちゃんと加護があるから大丈夫。まずはローラ様を育てましょう。ラヤーナには赤ん坊を育てた経験もあるでしょう?だからお願いします。」


「わかったわ。みんなでローラ様を育てましょう。赤ん坊ということは…私くらいまで育てるとしたら…16歳くらいまで、育てるのかしら?」


「ローラ様は本来女神様だから、16歳までといっても16年、時間がかかるわけではないわ。おそらく2か月ほどで成長すると思うの。」


「16歳を2か月なの?」


「そう、ラヤーナも2か月で魔法をレベル5まで上げてもらうわ。」


「…それは…子育てより大変そうよ…」


「それはわかっている。レーリナも手伝うわ。エルクトラドムを本来の状態にしなければならないの。ラヤーナ頑張って。」


『ラヤーナ・がんばるの~・ラティも・いっぱい助けるから・大丈夫なの~』


『‥ルルも‥てつだう‥ラヤーナ‥たすける‥』


「…とりあえず…子育てしましょう」




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