2 ラヤーナ 自分の年齢を知る (1日目)
ラヤーナはしばらく歩き回ってみた。そこで一つ気が付いたことがある。自分の体の状態だ。確か自分は80歳を超えていたのではないのか?しかし歩き方はシャキシャキしているし、体調も良く、身体も疲れなくきびきびと動く。今着ている服はいつも自分が庭の手入れをしていた時の洋服のままだ。腕の袖を少しめくってみると、どう考えても80歳ではない腕がある。ズボンの裾もついでにめくってみた。
「…私何才になったのかしらねぇ…」
何となくではあるが、以前とは違う気がする。この状態を自然と受け入れている自分自身が一番不思議だと感じるが、自分がここに必要とされ、ここで生きなければいけないのだということはわかる。助けると応えた自分はラヤーナとして生き、これから過ごす場所はここなのだ。
時計はないが感覚で1時間ほど探索をした。草が混在して生い茂り手入れをした方がよい状態ではあるが、木々や草などが特に枯れていたり病気をしていたり、ということではないようだ。細かく見たわけではないが、見たことがあるような草が多く生えているし、木も自分がよく知っているようなものに似ている。すぐ近くに湧き水もあり小さな泉のようになっていた。ラヤーナは、泉の近くの最初にこの世界に降り立った場所であり、本を置いてあったところに戻る。
「森の中ってことは、動物とかいるのかしら?食料とか寝るところとか、どうしようかしらねぇ…」
そうつぶやくと本がうっすらと光る。
「あら…」
先ほどのページを開けてみると続きが書いてあった。
このほんは せいれいのほん とくべつ。せいれいのちからがあります。
このほんのちかく きじゅうこないです。
らやーながさっきあるいたところは まもりあるのでだいじょぶ。
「あれくらいの距離は大丈夫ってこと?きじゅうって?なにか怖いものかしら…」
おうちまだできないでごめんなさい。
せいれいのほんのちかくでねる。
「家はまだないのね…」
らやーな きにおはなしすると きがげんきになる。
やくそうそだてると もりげんきになる。
やくそうでくすりつくると せいれいげんきになる。
「きにって、木?薬草?せいれいって…精霊?」
きにおはなしするとみをくれる。
たべものになる。
「みって果物?木の実かな?とりあえず飢え死にはしないで済むのかな…」
ほんのうしろ、いまのらやーなのことわかる。
せいれいのほんにいろいろふえる。
げんきになるとたくさんわかる。
れーりなはらやーなたすける。
「…ん~、とりあえず助けてくれるみたいだし、できることやってみるか。あ、本の後ろって…」
ラヤーナは本の最後のページを開いてみた。そこには
なまえ:らやーな・かーしむ
れべる:1
すきるれべる:1
ねんれい:16
しゅ:ひと
しょく:やくし
しょうごう:もりがみびと
とくしゅすきる:せいれいのほんのきろく
「…名前が…これって元の名前に似ているのね…やくしって薬師?それにもりがみびとって何かしら…せいれいのほんのきろく?…この本は精霊の本なのかしら…それから後は…え!16って、16才ってこと!中身は80過ぎたおばあちゃんなのに?」
これはもはや詐欺ではないのだろうか。見た目16才で中身が80歳過ぎとは。
「いいのかしらね~。お役目引き受けてしまったし…夢のような気もするけれど、そうでもないみたいだから…。ま、とりあえず頑張ってみましょう。」