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れっつ世界を救おう  作者: Luna
第1章 ヴェルネールの森を再生しよう
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18 ラヤーナ 風魔法が使えるようになる(6日目)


使えるようになった水魔法を使い、神水を森の木に撒いていく。神水を作るスキルは完全にラヤーナのものとなり、自然に使えるようになった。ラヤーナの水魔法は使うほどに安定してきている。魔法を使って神水を撒くということは、ラヤーナの魔法の練習にもなっているようだ。一昨日よりも昨日、昨日よりも今日の方がたくさんの草木に神水を撒くことができる。

森がどんどん元気になっているのがラヤーナにもわかり、とてもとてもうれしい。木々や草たちも

『おいしい』『うれしい』『げんき』と言っている。

ラヤーナも自分が森に馴染んでいっているのがわかる。自分がはっきりとこの新しい世界で生きるものだということを今は疑ってはいない。木や草の声もはっきりと聞こえるし、声に出さなくとも彼らの意思も明確にわかるようになった。


昨日バーナの実をもらった木に話しかける。


「昨日はバーナの実をありがとう。風の魔法が使えるようになりそうなの!あなたの実のおかげね。」


『・・・ら・や・な・・・た・す・け・る・・・う・れ・し・・・』


「ありがとう。今日もたっぷり神水を撒くわね。」


『・・・し・ん・す・い・・・お・い・し・い・・・も・り・・・げ・ん・き・・・』


ラヤーナは神水を撒き終わると、ギーの草の生えているところへ行き、まずはこれまで刈ったギーの乾燥状態を確認する。だいぶ乾燥が進んでいて、明日か明後日には乾燥を終えてもよいだろう。でも魔法を使えるようにならないといけない。乾燥も、自然乾燥ではなく、魔法で乾燥させる方が早く薬草にできるようだし、魔法の練習をギーにお願いをしてみることにした。


「風魔法であなたたちを乾かせるようになれたらいいと思うの。一緒に練習してくれるかしら?」


『・・・い・しょ・・・す・る・・・ま・ほ・・・や・く・そ・う・・・・・』


いろいろなところから、ラヤーナと一緒に練習すると言ってくれているのが分かる。

その中でもうっすらと光っているところがあり、そこへ行ってみる。


『・・・ら・や・な・・か・ぜ・・ま・ほ・う・・・た・す・け・る・・で・き・る・・・』


「私、まだ風魔法を上手に使えないの。風魔法を出せるようにはなったけれど、使うのはまだまだなのよ。風魔法でギーのみんなを乾燥させることができると薬にできるみたいだからお手伝いしてほしいの。お願いできる?」


『・・・て・つ・だ・う・・・だ・い・じょ・ぶ・・・』


他のギーの葉も、『そこのギーならたすけられる』というようなことを言い始めた。

ラヤーナは、手伝うと言ってくれたギーの葉を刈る。ちょうど両手で持てる程度の量になり、ギーの葉と一緒にラティのところで風魔法を練習してみることにした。もう少し風魔法のコツが分かれば、薬草の乾燥を魔法でできるようになると思ったのだ。


「ラティ、今日は薬草をできれば風魔法で乾燥させてみたいの。風魔法の練習につきあってくれるかしら?」


『・・・いっしょ・・・まほう・・・れんしゅう・・・らやーなと・・・たのしい・・・』


「ありがとう、ラティ。ギーの葉もよろしくね。」


『・・・ま・か・せ・る・・・だ・い・じょ・ぶ・・・』


「さて…どうしようかしら。」


『・・・ら・や・な・・・・は・・・い・ち・ま・い・・』


「ギーの葉1枚ね。うん。まずは1枚から乾燥させてみるわ。」


『・・・ら・や・な・・・・は・・・ち・か・い・・は・な・・・か・お・り・・・』


「はな?かおり?はな…鼻ね!ちかい…鼻の近くにもっていって、葉の香りをかいでみればいいのかしら?」


『・・・そ・う・・・ら・や・な・・・・は・な・・・ち・か・く・・・』


ラヤーナはギーの葉の匂いを嗅いでみた。形ももちろんだが、匂いも日本のヨモギと同じだ。


「そう、そうなのよね。ヨモギもこんな匂いだったわ。ヨモギは生の葉でも乾燥させても、精油にしても良いのよね。本当に万能なのよ。乾燥させてお茶にしたいわよね。お茶は貧血にも効くし、お腹の調子もよくしてくれるから。できれば、フワッと乾燥させたいのよ…」


『・・・ふ・わ・・・か・ん・そ・・・・ま・ほ・・・つ・か・う・・・』


「フワッと乾燥させる?イメージすればいいのかしら?」


『・・・らやな・・・くすり・・・おもいうかべる・・・かんそう・・・つかう・・・』


「薬にするための乾燥…。そうね…お茶の葉をまずは思い浮かべてみようかしら…風をそっと葉の周りにおくって…あら…ヨモギの葉の良いにおいがするわ…」


やわらかい風を魔法で葉の周りに送ると、ふわりと葉の匂いがする。

そうそう、これがいいのよね…と思いながらゆっくりと魔力を流す。上手く乾燥ができてよいお薬になってくれると嬉しい…そう思いながら風魔法を使っていく。


『・・・ふ・わ・・・か・ん・そ・・・・ま・ほ・・・つ・か・う・・・』


ヨモギを乾燥させる、ヨモギの成分が十分に活用できるように乾燥をさせる。ふわりふわりと柔らかい風を送り、美味しいお薬になるように思いながら風を送り込む。

まだ風の調整が上手くできずに、葉がカリカリになってしまったところとよい具合に乾燥できているところと混ざってしまう。


「なかなか難しいわね…葉のこちら側はうまく乾燥させることができたけれど、こちらは…そうねー…もう少し風の調整が必要だわ。」


別のギーの葉を1枚とり、同じように風魔法で風を起こすが、どうしても乾燥の仕方にむらができてしまう。


「…難しいわね…乾燥を均一にさせたいのだけれど…風の調整がなかなか思うようにいかないわ…」


『・・・ら・や・な・・・か・ん・そ・う・・・は・・た・べ・る・・・・・』


「…この乾燥した葉を…食べてみればいいの?」


『・・・た・べ・る・・・こ・の・・は・・・と・く・べ・つ・・・』


「特別なの?分かったわ。食べてみるわね。」


ラヤーナは先ほど魔法で乾燥を試みた葉を食べてみた。

苦いかもしれないと思ったのだが、苦くなく少し甘みもある。乾燥の状態が均一でないため、カリカリの部分とちょうどよく乾燥できている部分、まだ少し生の葉の部分が混ざっているが、味の方は特に食べれないというほどではない。ギーの葉が『とくべつ』と言っていたが味のことなのだろうか?

葉を1枚食べ終わる頃に、ラヤーナの魔力がうねり始めた。うねりながら、身体の中を一巡すると、ラヤーナの身体にしっとりと馴染むような魔力になったように感じる。


「…これは…不思議な感覚だわ。魔力が自分の魔力になったみたいな、今までだって自分の魔力だったのだろうけれど、もっと自分のものになったような、そんな感覚だわ。」


スポーツならその道具が、料理なら包丁が、自転車に乗るなら自転車が、自分の身体の延長のようにして使うことができる、そんな感覚だ。


「もう一度乾燥してみるわね。」


ギーの葉を1枚とり、風魔法を使ってみる。ゆっくりと、柔らかく、全体が均一になるように魔力を込める。ふわり、ふわりと風が葉を包むと葉はきれいに乾燥していた。


「できたわ!今度は葉の数を多くしてやってみるわね。」


ラヤーナは葉の数を多くし同じように魔法を使う。こちらもきれいに乾燥させることができた。残っていたギーの葉を全部まとめて乾燥もさせてみた。しっかりと乾燥させることができ、薬草として使用するのにはとても良い状態だ。


乾燥されたギーの葉が嬉しそうにカサカサと揺れている。


『・・・らやーな・・・まほう・・・せいこう・・・くすり・・・つくれる・・・ちかい・・』

『・・・ら・や・な・・か・ぜ・・ま・ほ・う・・・も・う・・で・き・る』


「ラティも、ギーの葉もありがとう!」


これでギーの葉を、魔法を使えばすぐに乾燥させることができる。

まだ薬にするにはどうしたらよいのかラヤーナにはわからなかったが、自分のレベルが上がれば薬にする方法も理解できる、という感覚がある。

ラヤーナはもう一度ギーの葉を、今度は多く刈ってくると風魔法の練習もかねて、繰り返して乾燥をさせていった。




※実際の調剤は全くの素人で専門家ではないのでこのお話の世界では、ということでお許しください。(^^ゞ

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