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れっつ世界を救おう  作者: Luna
第1章 ヴェルネールの森を再生しよう
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1 私の名前はラヤーナ (1日目)

「…うーん…あら?ここ…どこ?」


絢音は自分が今いる場所を見渡した。


「…本当に…森だわ…」


さっきは何となく切羽詰まった感に押されてしまい、つい助けると叫んでしまったが、自分はもう80を過ぎ体も昔のように動かなくなっていたはずだ。自分の中の記憶では、孫もいて、仕事をリタイヤした後は、庭に様々な草木や花を生い茂らせそれらの手入れをすることを趣味としていたのだが、ここ数日体調が悪かった覚えがある。フラッと倒れた後の記憶が先ほどのやり取りだ。


「…レーリナって…でもあれは小さい頃の小人さんの夢だったはずだけど…ま、それを覚えていてレーリナって言っちゃう私も私だわね~」


それにしても、本当に周りは森だ。

ただ…何となくだが、森に元気がない気がする。

絢音は小さい頃から植物が好きで育てるのもうまかった。成人後は医師として働き、主に漢方医学の専門家だった。それがどうして今、自分はここにいるのだろう。


「…ここにいるのは夢だとしても…でもこのままずっとここに立っているのもねぇ…」


ふと足元を見ると1冊の本らしきものが落ちていた。


「本?」


手に取って初めのページを開けてみる。


あやね

こたえてくれてありがとう。もりをたすけてください。

あやねがまえにれーりなをたすけてくれたようにもりをたすけてください。

れーりなはかわりなのでちからがすくないです。

できることぜんぶたすけます。

もりがげんきになるとみんなげんきになります。

たくさんたすけるできます。

くさもきもあやねのところとたくさんおなじです。

いまはここにかくしかできないです。

みんなたすけてっていってます。

もりをたすけるとみんなあやねをたすけます。

きにもくさにもいっぱいおはなししてください。

よろしくおねがいします。


あやねのおなまえかわります

あやねは らやーなです。


「……なにこれ?」


森を助けるっていうのはあのふわふわした中で聞いた声がそう言っていたからわかるけど、

「あやねは らやーな」っていうのはなぜなのか。絢音のままではだめなのか?というか私は樫村絢音なんだけど、本の文字、全部ひらがなだしなぁ。

絢音じゃなくらやーな?うーん、ラヤーナかな?


絢音が「ラヤーナ」と声に出して呼んでみると、周りの木々がさわさわと騒ぐ。


「え?なに今の?」


もう一度「ラヤーナ」と声に出すと同じように木々が騒ぐ。


「私の名前はラヤーナ」


今度は先ほどよりはっきりと声に出す。今度も木々が騒ぐ。何となくではあるが、『そうだよ』と相槌を打たれている気がする。


「私の名前は絢音だったんだけど…」


そうつぶやくと、今度は木々が『ごめんね』と伝えている気がした。


「なんだかな~事情でもあるのかな…」


相槌の意思が伝わるような揺れ方をする。


「ま、しょうがないわね。助けるって言っちゃったし。夢かなって気もするけど、夢ならそれなりに楽しみましょうか。私の名前はラヤーナっと。それから話すって…とりあえず、こうやって声に出していればいいのかしらね。」


周りの木々が『そうだ』と返事をするようにさわさわと揺れる。


「…そうみたいね。じゃ、草も木も同じってあったし、まずはこのあたりの探索かな?」


少し回りの様子を伺いながら絢音ことラヤーナは森の探索を始めた。


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