14 ラヤーナ ラーゴの精霊の名前を知る(5日目)
今朝も柔らかい日差しがラヤーナの顔にそそぐ。目を覚ましたラヤーナは泉に行き、顔を洗い、朝の水撒きの準備をする。今日も良い天気だ。まだようやく5日目だが、不思議なことに汗をかいたり土で汚れたりしても、一晩寝ると体全体がすっきりとしている。昨日あたりから、時々爽やかな風がラヤーナの身体をまわるとその後とても体がさっぱりとして、日中でも作業の後などすぐに風がラヤーナの周りを巡る。朝、昼、夕方、一休みするときはその場にラーゴかオーランの実が必ず1つそばに置いてある。ラヤーナが森を大切に想うように、森もラヤーナを守ろうとしている、昨日ラヤーナが神水を作れるようになったのも、森がラヤーナを守っていてラヤーナも森を守ろうとしている、そのような感覚や気持ちがラヤーナの中に育ってきたからかもしれない。
「さぁ、今日も頑張りましょう。あ、そういえば…雨は降ったりしないのかしら…」
ラヤーナがつぶやくと、ラーゴの木が答える。
『・・・あ・め・・ま・だ・・・も・り・・・あ・ん・て・い・・ひ・つ・よ・・・』
「森が安定しないと雨が降らないの?」
『・・・も・り・・・よ・わ・い・・・い・き・る・・・が・ん・ば・る・・・』
『・・・よ・わ・い・・・て・ん・き・・・は・れ・・・い・き・る・・・』
「森が弱っているから…生きやすいように天気は晴れなの?」
『・・・あ・め・・・い・き・る・・・ち・か・ら・・・ひ・つ・よ・う・・・』
『・・・ち・か・ら・・・な・い・・・せ・い・れ・い・・・き・え・る・・・』
「ああ、雨が降ったら生きるためにはもっと力が必要になるということね。恵みの雨ということもあると思うのだけれど、ここでは少し違うのかしら?森の力が失われると、精霊が消えてしまうのね…」
『・・・ら・や・な・・・ま・に・あ・う・・・も・り・・・い・き・る・・』
「私は間に合ったのね。来てすぐのときは森に元気がないと感じていたけれど、少しずつ元気になっているのが私にもわかるわ。でもまだ神水はもっと必要よね。もっともっと頑張らないといけないわ。」
『・・・ち・か・ら・・も・ど・る・・・い・ろ・い・ろ・・・て・ん・き・・・・・』
『・・・も・り・・・あ・ん・て・い・・・て・ん・き・・・め・ぐ・み・・・』
「森に力が戻ると、天気もいろいろ変わるということなのね。それに、森が安定すると、いろいろに変化する天気もまた恵となるのね。」
『・・・も・り・・・ま・え・・・・ち・か・ら・・・き・え・そ・う・・・』
『・・・も・り・・・い・ま・・す・こ・し・・・ち・か・ら・・・で・き・る・・・』
「森の力が消えそうだったのね…間に合ってよかった。少しずつ、森に力が戻っているのね。森が元気になると私もとてもうれしいわ。」
『・・・ら・や・な・・・も・り・・・た・す・け・る・・』
『・・・ら・てぃ・・・ら・や・な・・・て・つ・だ・う・・・』
「らてぃ…あなたのお名前はラティというの?ラーゴの木よね?」
『・・・ら・てぃ・・・ら・ご・・・せ・い・れ・い・・・』
『・・・ら・や・な・・・と・く・べ・つ・・・』
『・・・ら・てぃ・・・な・ま・え・・・ら・てぃ・てぃ・あ・・・』
「あなたはラティティアというのね。」
『・・・ら・てぃ・てぃ・あ・・・い・み・な・・・ひ・み・つ・・・な・ま・え・・・』
『・・・ら・や・な・・・と・く・べ・つ・・・し・る・・・な・ま・え・・・』
『・・・ら・てぃ・・・な・ま・え・・・い・つ・も・・・よ・ぶ・・・』
「ラティティアは、いみな…諱、真名なのね。ラティと呼べばいいのね、わかったわ。あなたはラーゴの精霊ね。ラティ、いつも助けてくれてありがとう。これからもよろしくね。」
『・・・ら・てぃ・・・う・れ・し・い・・・ら・や・な・・・た・す・け・る・・・』
『・・・ら・てぃ・・・ら・や・な・・・す・き・・・』
『・・・ら・てぃ・・・は・な・す・・・す・き・・・』
「うふふ。私もあなたが好きよ。いつもたくさんお話をしてくれてありがとう。森やこの世界のいろいろなことを教えてくれてありがとう。ラティのおしゃべりは少しずつじょうずになっているわ。」
『・・・ら・や・な・・・も・り・・・ま・も・る・・・げ・ん・き・・・す・る・・・』
『・・・ら・てぃ・・・ほ・か・・せ・い・れ・い・・・ち・か・ら・・・で・き・る・・・』
「ラティも、他の精霊も、少しずつ力がもどってきているということね。」
『・・・も・り・・・げ・ん・き・・・も・と・・・た・く・さ・ん・・・で・き・る・・・』
『・・・も・り・・・げ・ん・き・・・も・と・・・は・な・す・・・で・き・る・・・』
『・・・も・り・・・げ・ん・き・・・も・と・・・た・の・し・い・・・・・』
「森が元気になると、いろいろとできることが増えるのね。お話も上手になるし、それにもっと楽しくみんなで過ごせるようになるのね。とても楽しみだわ。」