3-58 蘇る
「さぁ、とどめを刺してしまいましょうね。こんなシールド…役にも立たないのにあの小娘は最後までうざいわね…っく…ほんと、フェルの身体はもうだめね…せっかくのお気に入りだったのに…」
今度こそ邪魔なものは綺麗さっぱり消してしまい、自分が女神として治める世界の準備をしないといけないわ。わたくしの世界!ウフフ、楽しみだわ。この世界のイケメンを集めないと。そうねぇ~逆ハーレムもいいわよねぇ~。今まではコリファーレしか行けなかったけれど、女神にさえなれば他の国にも行けるはず…そこでいい男はすべて自分のものにしてしまおう。あ~楽しみだわ!わたくしに尽くすように、わたくしだけの僕になるように、ウフフ~あ~本当に楽しみ!
「さぁ。この森ごと、消してしまいましょうね。」
邪力の威力を再び強くし、森全体を覆うようにしてここにいるものたちを全て消し去るべく大きな邪力を造り出した。
「ウフフ。さぁ、これでおしまいね。」
メロウが最後の一撃としてラヤーナが倒れているところを中心に森全体に邪力を放ったその時、メロウの手から放たれた邪力が一瞬にして消え去った。
「え…何が…」
メロウが辺りを見渡した。
「あ、あ、あなたは…」
倒れたラヤーナの前に一人の男性が立っていた。
「………」
「ヴァルテリ!ヴァルテリでしょ。わたくしがあなたを見間違うはずがないわ!」
「…そのようだな…」
「ああ、ヴァルテリ!わたくしのために戻ったのでしょう?わたくしのヴァルテリ…あぁ…美しい…やはり美しいわたくしにはあなたが側に立つべきなのです。さぁ、わたくしのもとへ!」
「クソ女!俺がお前のところに行くわけがないだろうが…。本当にあほな女だな。」
「どうして…わたくしのヴァルテリ…どうしてそのようなひどいことを…ヴァルテリはそのような乱暴な言葉は使わなかった…どうしたの、ヴァルテリ?…でもあなたはヴァルテリなのでしょう?わたくしのヴァルテリ…」
「あ~~~俺の名前を呼ぶな、胸糞悪いっ!」
「なぜ、なぜ、なぜ!!!」
「俺の名を呼んでいいのは、俺の番だけだ!」
「番…まだそんなことを…」
「お前は俺の番を害した…許さん…」
「番…害した?」
「あぁ…お前は絶対に許さん。俺の番を…」
ヴァルテリと呼ばれた男がチラリとラヤーナに視線を送る。
本当に愛しそうな視線をおくり…そして憎々し気な視線をメロウに向けた。
「…その女…その女のせいね!わたくしのヴァルテリを…よくもよくもよくもーーーーー!」
「あー、俺がお前のだ?ホンっと、お前はクソだな!あぁ、もういい加減にむかつくわ。以前はきれいに取り繕いすぎた。俺の番のためには粗野な俺ではない方がいいと思ったんだよ…。とにかくお前は無い。とりあえず、お前は消す。」
「なぜなの、ヴァルテリ!あなたはずっとわたくしを想っていたのでしょう?だからこの世界に、わたくしを迎えに戻ったのでしょう?」
「俺が、お前なんかを想うわけないだろう、このクソが!あーーーもう限界。お前、消えろ!」
「え…ぎゃぁーーーーーーーーーーーーぁぁぁ……………」
ヴァルテリの放った、たったの一撃で王の身体は完全に消え去り、同時にメロウもこの森から消されていった。
※メロウ…どうしてラヤーナが名前を知っているか…などは考えない。何処でも自分は称えられる存在だと思っているため、名は知られて当然と思っているらしい…
※ヴァルテリの本性:ラヤーナ以外はどうでもよいため、自分に懸想し、ラヤーナとの仲を裂こうとする女性はゴミだとしか思っていない。対応は辛辣を通り越してもはや人として礼を欠く非常識なレベル…(´;ω;`)