12 ラヤーナ 神水を作る1(4日目)
「水の魔法は、何とか少しだったら水を集められるようになってきたわ。使えるようになるにはもう少し練習が必要そうね。火の魔法は完全に使えるようになるまであと少しかしらね。」
『・・・ま・ほ・う・・か・ん・が・え・る・・ま・ろ・く・・・お・ぼ・え・る・・・』
『・・・か・ん・が・え・る・・・ま・ほ・う・・ま・ろ・く・・な・れ・る・・・』
「魔法のイメージが…慣れればいいってことかしら?それなら少し慣れるまで練習が必要って言うことね。」
『・・・な・れ・る・・だ・い・じ・・ま・ほ・う・・・あ・ん・て・い・・・』
『・・・ま・ほ・う・・あ・ん・て・い・・・た・く・さ・ん・・れ・ん・しゅ・・・・』
「たくさん練習して安定した魔法が使えるようになりたいわね。それに慣れれば安定するっていうことね。」
『・・・み・ず・・ま・ほ・う・・で・き・る・・・し・ん・す・い・・・つ・く・れ・る・』
「え、水魔法が使えると、神水が作れるっていうこと?」
『・・・ま・ほ・う・・・あ・つ・め・る・・・み・ず・・・し・ん・す・い・・・つ・く・る』
「魔法で集めた水?それを使って神水を作れるっていうことなのかしら。」
ラーゴの木がわさわさと揺れる。“そうだ”と返事をしている。
「あら、でも今まで私が撒いていた水は神水ではなくてただのお水だったのかしら?」
『・・・ら・や・な・・・ふ・れ・る・・・し・ん・す・い・・・・な・る・・・』
『・・す・き・る・・・ら・や・な・・・ね・が・う・・・し・ん・す・い・・・・な・る・・・』
「私が触れていたから神水になっていたのね。スキルの場合は、願う…触れなくても願えばいいのかしら」
『・・・み・ず・・あ・つ・め・る・・れ・べ・る・・あ・が・る・・・み・ず・・ま・く』
「水魔法のレベルが上がると、水を撒けるの?」
『・・・あ・つ・め・る・・ね・が・う・・・し・ん・す・い・・・・ま・く・・・』
「ああ、なるほど。水魔法で水を集めて、そこに願いをかけて神水にして、その神水を水魔法で撒くのね」
『・・・み・ず・ま・ほ・う・・・・す・き・る・・・・み・ず・ま・ほ・う・・・』
「魔法とスキルを順番に使って組み合わせていけばいいのね。そうすると…水魔法で水を撒けるようにならないといけないわね…。それは少し時間がかかりそうだわ。まずは神水を作れるようになる必要がありそうね。森全体に手酌で水を撒くには無理があるものね。」
『・・・・ら・や・な・・・し・ん・す・い・・・れ・ん・しゅ・・・・』
『・・・・な・れ・る・・・ま・ほ・う・・す・き・る・・・あ・ん・て・い・・・』
「そうね…少し練習しておきたいわ。神水を作ってみましょうか。私が触れなくても神水になればいいのよね。そもそも普通の水と神水と、気にしていなかったけれど、ちゃんとそこも確認したいわね。泉で水を汲んでくるわ。」
ラヤーナはすぐ近くの泉に行き、バケツに水を汲んでくる。
そこから最初に使っていた器もどきで水をすくう。
「まだ普通の水よね…私が触れると神水になるって言うことだから、ちょっと触るだけでいいのかしら…」
器に指を少し入れてみるが、何か変わった様子は感じられない。
「特に変わっている感じはないわ。手ですくったときの水は…」
ラヤーナは器から手のひらに少し水を落とす。
手のひらに乗っている水が一瞬キラキラと光る。
「あら!水が光ったわ。」
手のひらの水は器の水と色などは変わっていないが、その性質が変わったことがラヤーナにはっきりと感じ取れた。どう変化したのか、言葉では表すことができないが、見た目は同じでも、その本質が全く異なるということを感じる。
「今までは撒くのに精いっぱいで、ちっとも気づかなかったわ…こんなに変化していたのね。どの程度触れると神水になるのかしら…」
ラヤーナは先ほどの器に今度は指ではなく、手のひらをそのまま入れてみる。
器はラヤーナの手がギリギリ入る大きさだ。
しばらく手を入れてみたが、やはり水には何も変化はない。
少し時間をかければ変化するかもしれないと思い、しばらく手を入れてもやはり変化しない。
「…手を入れるだけではだめなのかしらね。感覚だけれど…触れて神水に変えることのできる量が手ですくえる程度のような気がするわ。ほんの少し、すくえる程度の水ならば、触れれば一瞬で神水にできるのね。」
『・・・・ら・や・な・・・も・り・が・み・び・と・・・し・ん・す・い・・す・き・る・』
「そう、これはもりがみびと…森神人、そのスキルということなのね。」
『・・・・ら・や・な・・・と・く・べ・つ・・・し・ん・す・い・・つ・く・る・』
「そうね。この森のためにも、神水を作れるようにならないとね。」