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れっつ世界を救おう  作者: Luna
第3章 ラヤーナ争奪戦?
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3-33 治癒魔法の活用


大きなけがを負っているはずのセヴェリだが顔色は全く変わっていない。

だがラヤーナはセヴェリが大きなけがを負っているのを自身の目で見ている。絶対に怪我をしているはずだ。


「…わかった…」


アルバスに言われ、セヴェリは自分の背中をラヤーナの方に向けた。


「…ひどい…こんな状態なのに…セヴェリさん、何でもない顔をしないでください。…これ、絶対激痛のはずです…」


「…騎士団に居ればこれくらいは普通だ…」


「普通って…慣れないでください…セヴェリさん、自分を犠牲にしないでください…お願いだから…」


「…ラヤーナ…」


「もう、怪我しないで…」


「…すまない…だがお前を守るためであればこれくらいは何ともない。それはこれからも変わらない…」


「セヴェリさん…もう………まず治療しちゃいますね。」


ラヤーナは治癒魔法を使いセヴェリのけがを治していく。だが、ところどころ深い傷があり、傷をふさぐことはできたが、骨まで届いているような傷には自分の治癒魔法では治す力が足りない。


「…悔しい…です…全部治せないなんて…治癒魔法のレベルを上げなきゃ…でも…」


「ラヤーナ、そんなに思い詰めるな。これだけ傷が治っただけでも身体はずいぶん楽になった。ありがとう。」


「セヴェリさん…だめです。これだけじゃ…あ!薬を少し持ってきているんです。それを使えば…」


ラヤーナは何かのためにと持ち歩いていた3本の薬をカバンから取り出した。そのうちの1本をセヴェリの背中の傷にそっと塗っていく。骨まで届いていた傷がだいぶ修復されているのが分かる。だがまだ完全に治ったわけでは無いようだ。


「…薬の効果は聞いていたが…凄いな…」


「…これでもまだ不十分だわ…」


「いや、十分だ、ラヤーナ。お前の薬の効果は別の騎士団や部下たちから聞いていた。実際に自分が使ったことはこれが初めてだが、すごい薬だな。」


「そんな…まだ…まだです。もっと、もっと薬の効果を…」


「ラヤーナも知っているだろう?これまでの薬は聖水に魔術師が無理やり治癒の魔力を押し込んでいる。聖水の力自体が弱っていることもあるが、魔術師の治癒魔法の魔力も弱っていて、薬を大量に振りかけてもこのレベルの傷の完治はもうできない。それがここまで治ったんだ。ラヤーナの薬は人々を救っているんだ。だから…」


「あ!!!!!」


「…なんだ…」


「これまでの薬って…聖水に治癒の魔法を魔術師が掛けて作っていたんですよね。」


「あぁ。そうだ。」


「…私の治癒魔法も同じように使ったら?…治癒魔法を薬を作るとにき使ったら…魔法を使うことができる…治癒魔法をたくさん使えば、レベルも上げられる…」


『ア~~~~それいいアイデアなの~~~~!・ラヤーナ凄いのね~~~!』


『なるほど…それであれば…』


「ねぇ、アルバス。今、いろいろと思いついたことがあるの。森の家に行って何種類か薬の材料を取ってくるわ。それでセヴェリさんの家で薬を作ろうと思うの。」


「俺の家?なぜだ?」


「セヴェリさんの傷、まだところどころ残っているでしょ?」


「…あぁ…」


「水を変えたり、今の私の作った薬に治癒魔法を掛けたものがどうなるのかも試してみたいの!セヴェリさん、さっき見たけれど、背中以外にもたくさん傷跡がありますよね。アルバスの傷は全部治してしまったから、セヴェリさんの身体の傷を使わせてもらって、薬を試したいの。セヴェリさん、協力してください!」


「…俺は実験体か…」


「…あの…すみません…でも…」


「いや、いい。お前の役に立てるのなら、好きなようにしろ。」


「ありがとうございます!」


『…ラヤーナ…お主…』


「なに、アルバス?」


『いや…』


「さぁ、薬を作るわよ!アルバスが鬼獣を退治してくれたから、素材は山の様にあるわ。全部持っていくわよ~。」


『ラヤーナ~~~・ラティもお手伝いするのね~~~』


「…ラヤーナらしいな…」


「え、何、セヴェリさん、何か言いましたか?」


「いや…。俺も解体に協力しよう。」


みんなで鬼獣を解体し、肉と素材に分け、すぐにカバンに入れた。

薬草は精霊の森の外や森の家の外にも生えてきている。それも摘んでいき、少しだけ寄り道をするような形で果実なども摘んでカバンにどんどん入れ、森の家に戻った。


ラヤーナはすぐに集めた素材を仕分けして保管庫に入れると、神水と普通の水、何種類かの出来上がっている薬、薬草や薬の素材、調合の道具や入れ物など必要なものをカバンに詰め込み、アルバスとラティについてきてもらってセヴェリの家に向かった。


「セヴェリさん、治療です!」


「…早いな…もう薬ができたのか?」


「いえ、薬はここで作ります。セヴェリさんはそちらで休んでいてください。あ、下履き1枚になっていてくださいね。上は脱いでください。」


「………」


「えーと…まずは普通水に治癒魔法を掛けたら…何もならないわね…というか…そうか…普通の水だと魔力を留めておくことができないのね…なるほど…」


『ラヤーナのお薬づくりが始まったのね~~~~』


『始まったな…』 


「…そのようだな…」


『お主…驚かないのか?』


「いや…何かを研究する者はみんなこんな感じだろう?」


『そうか…人とはそういうものなのか…』


「あぁ。」


「あ~~~~~やっぱり!!!神水には魔力をしっかりと囲い込む力があるのね!だから薬ができるんだわ。セヴェリさん、まずこれを使ってみます。これは私の治癒魔法しか掛かっていない薬なので、おそらく効果は私の治癒魔力程度のものです。さっきの背中の傷を見せてくださいね。はい、後ろを向いて…」


セヴェリは言われるがまま、おとなしく背中をラヤーナに向ける。

そこに作ったばかりの薬を塗っていくが、傷が治る様子はない。


「やっぱり…治癒魔法だけでは、同程度がそれ以下の効果しかないのね…セヴェリさん、そのままで。」


ラヤーナは次に別の薬を取り出した。


「これは私の薬、今日持っていた塗り薬の現在一番効果のある物です。これに治癒魔法を掛けてみました。鑑定では効果が上がっています。これを塗っていきますね。」


セヴェリの背中に別の薬を塗っていく。

すると、骨まで損傷していたところがゆっくりと治っていくのが分かった。


「!…これは…」


「やった!やっぱり、薬の効果が上がっているわ。」


ラヤーナはセヴェリの背中の様子を触診しながらじっくりと見ていく。


「体の中をスキャンできる魔法があればいいのに…レントゲンはこの世界にはないし…」


その時、ラヤーナの身体がぽぉーっと暖かくなった。


「え…今…身体が何となく暖かく?…あ!もしかしたら…」


ラヤーナは自分のステータスカードを取り出してみた。指輪を外し、「ウェーリタス」と唱えた。


名前:ラヤーナ・カーシム

レベル:8

スキルレベル:8

魔力レベル:8

年齢:16

種:人

職:薬師

職スキル:薬草の育成(全)

     薬の作成(10)

 薬の開発(10)

 薬の鑑定(10)

 薬の完成(9)

     薬の鑑定(6)

魔法:水(8)、火(8)、風(8)、土(7)、空間(7)、時間(7)、治癒(5)、

手芸(5)、重力(3)、防音(1)、隠匿(1)、魔法防御(0)、身体強化(0)、眠り(0)、建築(3)、能力探索(0)、光(0)、闇(0)

称号:森神人

特殊スキル:精霊の本の記録

      神水の作成

  精霊の指輪の所有

  守護獣との守りの絆

  薬の恵み歌

  女神の守り

  番の首輪


「魔法が増えたわ!能力探索…?何かしらこれ…」


「能力探索の魔法か?」


「はい。セヴェリさん…これ何の魔法ですか?」


「…ラヤーナが欲しがっていたものだな…」


「え、レントゲン?」


「…探索対象の能力を知ることができる。身体能力、魔法能力、スキルなどだ。レベルが上がれば、より精密に、そして秘めている特殊スキルなども探索できるようになる。」


「あ、じゃあ、セヴェリさんの骨の状態とかも見れるようになるのね。」


「…そうだろうな…」


「あ、でもまだ0だから…発顕してからでないとだめだわ…残念ね…すぐに見たかったのに…」


「………」


「あ、セヴェリさん、まだ動かないでくださいね。いろいろと試したい薬がたくさんあるんです。」


「…たくさん…なのか…」


「はい。セヴェリさん、背中以外にも、腕や首、肩にもありますよね。…足も見せてくださいね…あ…この傷…結構深かったんじゃないですか?」


他にもラヤーナはセヴェリの体の隅々まで確認を始めた。


「…ここ…欠損ですね…あ、ここにも…セヴェリさん、小さいものですが、身体の部位がところどころ欠損していて不自由はないんですか?…あ…足の指も1本無いじゃないですか!!!」


「まぁ、慣れればな…」


「でもかなり古い傷ですね…」


「あぁ、数年前あるいは十数年前の傷だな…」


「そんなに前…」


「どうした?」


「最近、まだ試作段階ですが、欠損部を補修できるような薬がやっと作れるようになったんです。」


「それはすごいな。騎士団でも腕や足など、身体の一部を鬼獣にやられている者がいる。戦えなくなったものは事務方にまわらざるを得ないが、そいつらにとっては朗報だな。」


「…でも…まだあまり大きな欠損の補修はできません。今はそうですね…手の大きさ位までです。耳の欠損くらいまでなら修復できそうですが、それでも欠損してから2~3週間ほどまでなんです。」


「そうか…古い傷には効かないんだな。」


「今はまだそうなんですが…古い傷の欠損も修復できるような薬を作りたいんです。それに、欠損の大きさも、です。」


「それは頼もしいな。」


「それで…今いろいろ薬の配合を考えているんです。何種類か作ったんですが、それに治癒魔法を大量に掛けてみたものを作ってみます。」


「…あぁ…」


「それを、ここに使ってみますね!何ヶ所も欠損箇所があるので、いろいろと試してみます。」


「………わかった…」


「できれば、塗った時の感覚も教えてください。痛いとか、痺れるとかあれば教えていただきたいんです。あとは、その他に気づいたことがあればそれも一緒にお願いします。」


結局、セヴェリの怪我は古傷も含め、この日のうちにほとんどが完治してしまった。あわせてラヤーナの治癒魔法も6にレベル上げができた。古い傷でも大きくない物なら欠損も含めて治せるようになり、また薬の効能もラヤーナの薬に治癒魔法を掛けることでさらに効能が高い物もできた。まだ欠損の大きいものを修復できる薬はできていないが、それもいずれ作れるよう、いろいろと試行錯誤するつもりだ。


「さぁ、薬に治癒魔力を流し込むわよ!」


この後も大量に薬を作ったラヤーナは早速ギルドに効能についての説明を付け、送っておいた。これで少しでも元気になってくれる人が増えてくれればいい…そう思いながら薬の製作を続けていた。


※セヴェリのことを若干不憫だと思ったアルバスでした。

※防音と隠匿の魔法は、使ったことがないため1のままです。(^^;



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