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れっつ世界を救おう  作者: Luna
第3章 ラヤーナ争奪戦?
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3-32 セヴェリの守り


『ギルド長~~~~~・見てなの~~~~・カバン付けてるのね~~~』


「フォッ、フォッ、フォッ」


「ギルド長…ありがとうございます。その…」


「わかっておるよ。嬉しそうじゃからの。」


「はい。」


「セヴェリ殿も嬢の護衛にしっかりと付いておって安心じゃよ。」


「ギルド長、お店の方は?」


「心配はない。サフェリアの騎士団がしっかりと守っておる。売り上げも上々じゃ。なんせ見目が良いのが揃っておるからのぉ~。」


「………」


「レスリーやユリアたちはどうですか?」


「騎士団とうまくやっておるよ。セレスタン殿が上手く立ち回っておってのー。固定ファンがついたようじゃよ。」


「…あぁ…そうだろうな…」


「…何となく…わかる気がします…」


「心配はいらんよ。ユリアがセレスタンを上手く使っておるからの。」


「ユリアが…ですか?」


「そうじゃ。あの子は人のことをよく見ておるよ。セレスタンが女性に優しくしすぎてお客が勘違いしないように、適当にくぎを刺すなり、こき使うなりしとるわい。」


「………」


「そうですか…。」


「この後店に行くのじゃろ?まぁ、見れば安心するじゃろうて。レスリーやユリアも嬢が行けば喜ぶじゃろ。」


「はい。この後行ってみます。」


「薬の方もだいぶ作ったの。」


「はい。今日はお店の様子を見たら、町で材料を買い集めてすぐに森に戻るつもりです。遅くとも来週の終わりには先日まで納品した量を作ってまたギルドの方へお送りしたいと思っています。」


「そうか。それは助かるのぉ。薬は嬢にしか作れんからの。無理はせんようにな。」


「はい。ありがとうございます。」


「セヴェリ殿も、嬢のことをよろしく頼む。」


「もちろんだ。」


「…あの…ギルド長とセヴェリさんはお知り合いなんですか?セヴェリさん…いろいろと何か知っていらっしゃるのかなと…だから…」


「嬢、……まぁそういうことじゃよ。嬢はこの先いろいろなことを知っていくじゃろ。じゃが今はその時期ではない。時が来れば必ずわかることがある。嬢の役目は大きなものじゃ。今は森の者を信じ、嬢のできることをすればよいよ。」


「…そうですか…わかりました。」


「儂らは嬢の味方じゃよ。何があってもじゃ。」


「はい。よろしくお願いします。」


ラヤーナはギルドを後にし、店に向かった。ギルド長はセヴェリと知り合いではあるが、詳しいことは話せない…そういうことなのだろう。同じ知り合いのアウロレリア王国のアルナウトのことは普通に話してくれていた…。ラヤーナにわかることは、ギルド長もセヴェリも自分が信じてもよい人だ、ということだ。


ラヤーナはその後店にいたレスリーとユリア、フランカと会い、新しい従業員(騎士団員と、ギルドからの派遣職員)ととてもうまく協力できており、開店時間が長くなってはいるが負担が増えたということもなく、お店も順調に繁盛していると聞いて安心した。

ただ、薬の購入者がかなり増えてきており、今後は更に在庫は多めに用意した方が良いかもしれないという話にもなった。薬に関しては、また作って転送箱で送ることを伝え、店を後にした。


町に戻るとビーロップは前回の3倍購入し、その他の材料も先週大量に買い込んだだけでは足りなかったため、そちらもたくさん買い込み、ラティのお菓子(人がいないときにこっそりラティのカバンに入れた)と、アルバスのお土産の焼肉を買い、その他の自分たちの食材や欲しいものを購入して森に戻ることにした。


『今日はいっぱい買ったのね~~~~~』


「買い物…たくさんになってしまいましたね。」


「そうだな…まぁそれでも…3週間は持たないだろう…」


「え、材料は全て前回の3倍以上買ったんですよ!」


「薬を作るスキルも上がっているだろう?今までよりも早く作れるということは同じ時間でより多くの薬が作れることだ。」


「あ、そうですね…そっか…また買い物に来ないと…」


「それでいいんじゃないか?ラヤーナも町に来ることは気分転換にもなるだろう。」


「はい…実はそうなんです。やっぱり色々見てまわるって楽しいです。特に香辛料はもう少し試してみたいものがいろいろあります。」


「そうか…サフェリアにも香辛料がある。この国で使われているものとは違うものもあるな。」


「え、どんなものがあるんですか?味見してみたいです。」


「そうだな…。いろいろと落ち着いたら見てみるのもいいだろう。」


「…そうですね…今は…ここでできることを頑張ります。」


『ラヤーナ~・頑張るのね~~~』


ラティも応援してくれている。

森の入り口に戻るとアルバスが待っていた。


「アルバスお待たせ!」


『お待たせなの~~~。お肉もあるのね~~~』


『うむ。肉か…』 


「今日もたくさん買い物をしてきたわよ。薬の材料もたくさん買ったけれど、家で食べる食材や香辛料もいろいろと買い足したの。作ってみたいものがあったんだけど、香辛料が足りなかったのよね。」


『そうか。』


「あとは、家に戻るまでに鬼獣の素材を集められればいいわ。アルバス、セヴェリさん、よろしくお願いします。」


『わかった。』


「あぁ。」


4人で森の中を歩き、鬼獣を倒して素材を集めながらゆっくりと森の家に向かっているところで、突然アルバスとセヴェリが警戒の色を強くした。


「ラヤーナ、俺の後ろにまわれ!」


「え…」


『我は左方からの鬼獣を片付ける。ラヤーナ、お主はセヴェリの後ろに居ろ。』


『ラヤーナ~・シールド張るのね~!・ラティも張るのね~~~!!』


「わ、わかったわ。」


ザワリ、と空気が動き、ラヤーナにも敵に囲まれているのが分かった。

アルバスやセヴェリが、敵に囲まれるまで気づかなかったのだ。敵の力がこれまでとは違うということが二人の緊張から伝わってくる。


「ラヤーナ、基本的に偽のステータスカードに表示されている以上の魔法は使うな。魔法を使う場合も俺の身体越しにするんだ。」


「え、どうして…セヴェリさん、私だってみんなを助けたいです。」


「こいつらはラヤーナの力を推し量るために来ている。お前の能力を敵に伝えることは今はダメだ。」


「え…私の能力…?」


「そうだ。それに…お前に人を殺せるような魔法が使えるか?」


「あ…私…」


「無理はするな。」


「で、でも…私だって…自分を守ることができるようになりたい…セヴェリさんに助けてもらってばかりじゃなくて…自分でも…」


「…ラヤーナ…シールドを張ることに集中しろ。それ以上はお前には精神的負担が大きすぎる。」


「…で…でも…」


「とりあえず今は俺の言うとおりにしてくれ。」


「わ、分かりました。セヴェリさんの言うとおりにします。あの…でも…必要だったら、セヴェリさん越しなら魔法は使ってもいいんですよね。」


「あぁ。だがお前が使ったのではなく、俺が使っているように見せるんだ。ラヤーナの能力が敵に知られてしまうと、これからいろいろな意味で戦いが不利に動く。それに、人を殺すような威力のある魔法を放てば、お前があとから苦しむ。」


「セヴェリさん…分かりました。敵の注意をそらすような…攻撃が直接当たらないような…そういう魔法なら…このシールドはこのままでもいいですか?」


「あぁ、これはできるだけ維持してくれ。」


「はい、わかりました。」


『ラティもシールド助けるのね~』


アルバスは左側から攻撃してくる鬼獣を相手にしている。アルバスには人相手の戦いより鬼獣を相手にするほうが圧倒的に有利だ。その鬼獣であるが、アルバスにとっては大したことない相手であってもその数がすごい。倒しても、倒しても、鬼獣がアルバスに迫ってきて、ラヤーナ達の攻撃補助が全くできない。


セヴェリの方は人相手の戦いとなっている。

魔法や弓などの飛び道具を使って距離を取って攻撃を仕掛けてくる。シールドに響いてくるような魔法や、威力の高い弓での攻撃が続き、セヴェリが威力の高い魔法で相手に攻撃をしているが、攻撃が次々と繰り返されることからどうやらかなりの数を相手にしているようだ。


それにしても…これだけの魔法を使い続けているセヴェリの魔力はどうなっているのだろうか…。相手の数は…もしかすると数百…千近いかもしれない…。

この森に潜んでいたらアルバスが気づくはずだ。転移魔法で突然隙を狙ってきたのかもしれない。セヴェリは魔法を使いながら、シールドとすり抜けた弓矢やその他の飛んできたナイフは素手で叩き落しているし、一人でこの数を相手にしていることから、思っていた以上にとても強い騎士だということが分かった。


もうすでに1ルラル近く闘い続けているようだ。アルバスの近くには鬼獣の残骸の山がいくつもできており、セヴェリが相手をしているこちらも少しずつだが敵の数が減っているのが分かる。


「ラヤーナ…広範囲で威力の高い攻撃魔法を掛け、残っている奴らを片付ける。反動があるから俺の背中に張り付いておけ。少しでも距離があると吹っ飛ぶぞ。」


「分かりました!」


『ラティもわかりましたなの~~~』


ラティは急いでラヤーナの上着のポケットに入り込んだ。

セヴェリは詠唱なしで攻撃魔法を仕掛けた。辺り一帯が強い火力をベースとした強力な魔法に包まれ、残っていた敵が一瞬で消えていった。


「…すごい…」


「まだ油断はするな。残りがいる。」


「…は、はい…」


セヴェリが言った通り、敵が消えたと思った直後、強い魔法が掛かった強力な弓矢が飛んできた。ラヤーナでさえ気づいたこの弓矢は、非常に強い魔法が掛かっているのが分かる。


「セヴェリさん!!!」


セヴェリはすかさず剣を出し、弓矢を叩き落すが、叩き落した弓矢から攻撃魔法が放たれる。ラヤーナはとっさにシールドを掛けたが、ラヤーナのシールドでは防ぎきれないほどの魔法攻撃がこちらに襲い掛かってきた。


「…あ…」


その瞬間、セヴェリがラヤーナに覆いかぶさり、大きな爆発音がした。


「…セヴェリさん…あ…」


「まだ敵はいる。」


その時アルバスが鬼獣を片付け、ラヤーナの側に戻ってきた。


「残っている敵を片付ける。アルバスはラヤーナの側にいてくれ。」


「セヴェリさん、待って…」


だが、アルバスにラヤーナを守るように言ったセヴェリはすぐに敵に向かっていったようだ。どうやらラヤーナを守りながら、この弓矢を放った敵に足止めの魔法を掛け、直接倒しに向かったようだった。


「セヴェリさん…怪我が…私をかばって…背中に大きな怪我が…あんな大きな怪我…命に関わるわ…立っていられるはずがないほどなのに…」


『ラヤーナ。セヴェリのことは心配するな。まだコバエが残っている。油断はするな。』


「コバエ?…え、まだ敵が…」


ラヤーナは慌ててシールドを張り、敵の攻撃を防ぐ。

後からやってきた鬼獣がこちらに攻撃を仕掛けてきたが、アルバスが難なく倒していく。しばらく鬼獣をアルバスが倒していたが、その鬼獣も居なくなり、ようやくシールドを解くことができた。


「アルバス!あなたも怪我をしている!!!」


ラヤーナは急いで治癒魔法を掛けた。アルバスのけがは大きなものではなく、アルバス曰くかすり傷の様なもので放っておけば治るそうだ。だがそれでは傷が残ってしまう。ラヤーナは丁寧に治癒魔法を掛け、傷がなかったような状態に治療した。


「これで大丈夫よ。」


だが…セヴェリはどうなのだろうか…セヴェリの傷は大きく深いはずだ。医師であった時に見たことがあるあのような状態は、生死にかかわるもののはずだ。


「セヴェリさん…」


ラヤーナが不安そうにセヴェリが向かっていった方に目を向けている。

しばらく待っていると、そちらからゆっくりとセヴェリが戻ってきた。


「セヴェリさん!!!」


「ラヤーナ。」


「怪我は?怪我は大丈夫なんですか?」


「あぁ。敵も仕留めた…厄介な敵だな…国ごとつぶさないと…」


「セヴェリさん!!!」


「あ、何だ…?」


「怪我、怪我を見せてください。さっき私をかばったときの怪我です。」


「………」


「治癒させてください。早く!」


「………」


「そんな顔をしてもダメです。怪我が大きいことはわかっています。」


「…だが…見て気持ちのいいものでは…」


「セヴェリさん!!!」


それでも渋るセヴェリにアルバスが言った。


『…治癒魔法のレベルを上げる必要がある。それには魔法を使うしかない。セヴェリ、お主の治療もラヤーナの役に立つ。観念しろ。』


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