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れっつ世界を救おう  作者: Luna
第3章 ラヤーナ争奪戦?
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3-29 魔方陣


「おはようございます。ローラ様。」


「おはようございます。ラヤーナ。」


「ラヤーナ、おはよう!」


『おはようなのね~~~』


昨日森の家に戻った後はセヴェリの家を作り、簡単な夕食を作った後、アルバスにお土産の肉をごちそうし、その後精霊の森までアルバスとセヴェリに送ってもらった。祭りの間に起ったこと、これからのことをどうしてもローラ様とレーリナに話しておきたかったからだ。セヴェリやアルバスの様子を見ると、自分が感じている以上に大変なのかもしれないと思った。今後のことを考え、アドバイスもほしかったので、先に精霊の森で二人に合うことを優先したのだ。


「ラヤーナ、お祭りの間いろいろとあったのでしょう?はっきりとではありませんが、指輪から不穏な様子が伝わってきました。」


「はい。実はお祭りの最後の日に拉致されてしまいました。」


「え~、ラヤーナ!拉致られたの?」



ラヤーナは祭りで起こった拉致の事件について詳細に伝えた。ときどきラティが補足をし、ローラ様とレーリナにも状況が伝わったようだ。これから薬の作成を大量に行うことや騎士団が国王命令の元で従業員として店に入り、ラヤーナ達の護衛につくことも伝えた。


「幸いけがなどはなく、すぐに騎士団の皆さんに助けていただいて、そのまま騎士団長のセヴェリさんが私の護衛をお願いすることになりました。」


「そうですか。アルバスが守護獣として強いといっても、今は普通の状況ではありません。アルバス一人では今後ラヤーナを守り切るのは難しいかもしれないと感じていました。ラヤーナを守る護衛がついてくれるのは大変心強いことです。」


「はい。ギルド長は国王や、サフェリア王国とも協力をしているようです。アウロレリア王国のアルナウトさんも協力をしていただけると今朝ギルド長から連絡が来ました。」


「味方が増えましたね、ラヤーナ。」


「はい。とても心強いです…でも…」


「…あなたの心配は、コリファーレの国ですか?」


「はい。ローラ様にお伝えしたように、今回の拉致事件はコリファーレが絡んでいるだろうということです。そしてコリファーレは魔方陣を使って、より魔法を強くしたり複雑な魔法を使えるようにしているということでした。…ローラ様、なぜ魔方陣はコリファーレで生を受けた者にしか使えないのでしょうか?」


「魔方陣ですか…そうですね…先代の女神の時代から生きている者であれば魔方陣は使えるでしょう…ですが…コリファーレは寿命の恩恵もないでしょうし、先代女神の頃から生きているものはいません。それにコリファーレで生を受けた者に限り…と言っていましたね…それは今の…女神が不在のこの時代のことでしょう…すると…」


ラヤーナの問いに、ローラ様は少し考えこみ始めた。


「……ラヤーナ…それはもしかしたら…」


そしてゆっくりとラヤーナに向き直り、もしかしたら…と言って話し始めた。


「ラヤーナ…これは…私の憶測でしかないのですが…エルランと関係があるかもしれません。」


「…エルラン…ですか?」


「えぇ。魔方陣は『エル』の力が奪われている今、本来は使うことのできないものです。先ほどもお伝えしたように、先代女神の頃から生きているのであれば、その魔方陣は先代女神の『エル』の力の恩恵があるため使用できるはずです。ですが今代で生を受けた者たちに関しては、『エル』の力の中にエルクトラドムで使用する魔方陣の力があり、女神が『エル』の力を開放しないと使えないものです。」


「え、それではエルランが『エル』の力を使えるようになったということなんでしょうか?」


「いいえ、それはないでしょう。『エル』の力『エル・クリスタル』は神界にあって、力として開放されていない、というのははっきりとわかります。ですから今のエルクトラドムで使われている魔方陣は本来この世界にある魔方陣ではないかもしれない、ということになります。」


「…それは…どういうことなのでしょう…」


「…ローラ様、それって、もしかしたら別の…エルクトラドムのものではない魔方陣?」


「えぇ。その可能性を先ほど考えました。」


「…ローラ様、エルクトラドムの魔方陣と他の魔方陣は違うのでしょうか?」


「普通に見ただけでは区別をつけるのは難しいでしょう。ですが女神であれば、その魔方陣の模様や、その魔方陣が持つそこから出される力の流れから、エルクトラドムのものか、そうでないのかはわかります。魔方陣は実際に描くだけではただの模様です。そこに魔力を流し入れて初めて魔方陣として機能します。」


「もし、魔方陣がエルクトラドムのものでない場合はどうなるんですか?」


「その魔方陣を通して魔力を受け取る者はエルクトラドムの者ではない、ということになります。」


「…え…エルクトラドムの者ではないって言うことは…宇宙人???」


「宇宙人という言葉はわかりませんが…」


「あ、すみません。別の世界の人ということです。」


「あぁ、そう言うことですね。そうですね、ラヤーナの言う別の界の者、ということになります。あるいは傀儡となっている場合もあります。」


「傀儡というと…たとえこの世界の人であっても、別の界の者に操られている…ということですか?」


「そうですね。そうなると思います。」


「…………ローラ様…私、魔方陣を書き写したものを持っています。見ていただけますか?」


「分かりました…見てみましょう。」


ラヤーナは魔法帳に書き写しておいた魔方陣をローラ様やレーリナに見せようと魔法帳を取り出した。するとページがパラパラと勝手に開き、いつものように白いページに文字が浮き上がる。


せいか~~~い。女神様、描き写すときは私もお手伝いしました♡

次のページにあるものがラヤーナが書き写した魔方陣です。

これってエルクトラドムの魔方陣ではないですよね~~~(‘◇’)ゞ


「………ラヤーナの魔法帳って…凄いわね…」


「…私も、このような魔法帳は初めてです。」


「ハートや、顔までついてくるのね…」


「すみません…でも、この魔法帳、とっても優秀なんです…」


「それはわかります。良いではないですか、楽しい魔法帳ですね。」


「…はい…」


「それでは魔方陣を見てみましょう。」


ローラ様はページをめくり、そこにあった魔方陣を見てみた。


「…!…これは…」


「ローラ様?」


「これは…エルクトラドムの魔方陣ではありません。そしてこれはおそらく探索系のものでしょう。」


「はい。これは『目』でした。ローラ様は魔方陣の種類もお分かりなんですね。」


「私も、詳細な判断はできないのですが…ラヤーナ、他の魔方陣もありますか?」


「はい。もう1つ描き写しました。」


そう言って、もう1枚めくった。


「…あぁ…やはり…」


「ローラ様?」


「こちらはおそらく魔力吸収の魔方陣ですね。」


「はい。」


「…そうですか…」


「ローラ様…この魔方陣に何かあるんですか?」


「この魔方陣ですが…魔力吸収はもちろんですが、どの魔方陣からも術者の魔力が魔方陣を使うための世界…この場合はこれらの魔方陣を創ったもともとの所有者と言った方がいいでしょう…そこに流れるようになっています。」


「…何が…流れるのですか?」


「魔力です…」


「魔力?使うための魔力ではなくてですか?」


「使うための魔力ですが、実はこの魔方陣が一部吸収して取り込んでいます。残りの魔力で魔法が動いていたのでしょう。魔力を効果的に使うため、魔方陣はより精密に描くことで、一部流れていってしまった魔力の補助をしているのです。魔方陣に関しては緻密なものほど威力が上がるというのは知っていましたか?」


「はい。それについてはヘリットさんのお店にあったいろいろな本の中に書かれていたものを読みました。」


「緻密さを上げ、流した魔力のおよそ2割を奪い取り、残りの8割の魔力の力を魔方陣でおよそ2倍にしています。ですから威力として1.5倍ほどの魔法となります。」


「…2割を吸収って…一体どこに…」


「ラヤーナ、レーリナ…この魔方陣を私は見たことがあります。」


「ローラ様は見たことがあるんですね。」


「私が…以前エルランメロウと闘ったときに、エルランの身体には魔方陣が描かれていました。その時は…どんな意味の魔方陣なのかを考える余裕は全くなく、エルランが自分の力を維持するために掛けているエルクトラドムの魔方陣だと思ったのです。その後、私も自分の力を大きく失いこのことについて今まで記憶から取り出すこともありませんでした。そして…今この魔方陣を見せていただき、はっきりと思いだしたのです。その時に見た魔方陣と、この手帳に書かれている魔方陣は同じものです。そして今ゆっくりと丁寧にこの魔方陣を見て、魔力の流れを追っていくと…。ラヤーナ、これは他者から魔力を吸い上げる魔方陣です。」


「自分の身体に魔力吸収の魔法を?」


「…この魔力吸収の魔方陣は術者の1~2割程度の魔力を吸い上げます。…おそらく複数の者へ、この魔方陣を施し、その者たちから少しずつ魔力を吸い上げ、それを集めることで自分の魔力を大きくしていたのではないかと思います。」


「人の魔力を奪っていた?」


「えぇ、そうですね。魔力吸収だけではなく、先ほどの探索系の魔方陣も同様に魔力が吸い上げられています。これらの魔方陣ですが、吸い上げた魔力はこの魔方陣を創ったものに流れていくようになっています。術者ではなく、魔方陣を創ったものに、です。」


「それは…もしかして…」


「そうです。この魔力の流れ先は、間違いなくエルランメロウでしょう。彼女は自分の身体に魔力が集まるような元となる魔方陣を描き、そこから派生した魔方陣をコリファーレの魔術師たちに使わせているのでしょう。おそらく…コリファーレの王国は彼女の傀儡になっている可能性が高いです。そのため、コリファーレ生まれの魔術師は彼女の傀儡として魔方陣を使用できるのでしょう。」


「じゃあコリファーレ以外の王国の人たちが魔方陣を使えないのは傀儡じゃないから?」


「えぇ、レーリナ、そうなります。エルランは1000年前の戦いでかなり力をなくしました。ですがそれから1000年が経ち、私も回復したように、エルランも回復しているはずです。私はレーリナに助けてもらい、ラヤーナに森を回復してもらって力を少しずつ取り戻しました。エルランは女神ではないため、森から力を与えてもらうことはできません。ではどこから力を奪うのか…。エルランには世界全体へ干渉する力はありませんが…何かがきっかけでコリファーレに干渉できるようになった可能性があります。そこをきっかけに魔方陣を魔術師に与えそこから魔力を吸い上げ始めたのだと思います。」


「…その…吸い上げられている人たちは…大丈夫なのでしょうか?」


「…わかりません…いくら魔方陣を使って魔法の威力が2倍になるとは言っても…ずっと魔力を搾取され続けているのですから…」


「…そういえばサフェリアの騎士団の方から、コリファーレ生まれの者はどの種であっても魔力が高くならずに威力が弱いとお聞きしました。そのために幼少のころから繊細な魔法を訓練すると言っておられましたが…」


「…搾取され続け、魔力自体が弱くなってしまっているんですね…」


「…ローラ様…でもそれってまずいんじゃ…コリファーレの人たち全員分をエルランが奪っているってことですよね?」


「レーリナ…そういう可能性があります…もう…エルランは動き出しているのかもしれません…」


「ローラ様…」


「国王たちは薬を手にしたいコリファーレの動きが怪しいと思っているのでしょうが…」


「ローラ様、今回ラヤーナが狙われたってことは…薬云々ではなく、エルランに知られているってことじゃ…」


「その可能性は否定できません。薬を作れる、ということ自体が稀有ですから…」


「エルランは森神人と薬のことについて知っているのですか?」


「本当のエルクトラドムの女神候補であれば知っているはずです。」


「…ローラ様は…エルランは本当の女神候補ではなかったと…そうお思いですか?」


「…私自身は…メロウは女神候補になるべきものではないと思っています。なぜメロウがエルクトラドムの神界にいたのかはわかりません。ですがそこに居てはいけないものであったことは間違いありません。」


「ローラ様…」


「ラヤーナ、今あなたにできることは、とにかくたくさん薬を作ることです。」


「はい。あ、ギルド長から、防御と身体強化の魔法は使えたほうがいいと言われました。」


「そうですね。その2つの魔法が使えるようになれば、自分でも少し身を守れるようになります。」


「それから…あの…光と闇の魔法って何でしょうか?」


「え、ラヤーナ、その2つが使えるの?」


「まだ0なのでこれからだと思うんだけれど…。そもそもどういう魔法かわからないんです。」


「ラヤーナ、光と闇の魔法は、風火水土の4種と空間、時間、そして治癒の7種の魔法レベルがスキル8に到達しないと使えるようにならないのです。ですが、光と闇、両方使えるようになれば、エルランメロウへ対抗しやすくなります。まずはその7種の魔法レベルを上げるようにしてください。その後で私から2つの魔法について説明しましょう。」


「分かりました。私は薬を作って、自分の魔法レベルを上げるように頑張ります。」


「ラヤーナ、よろしく頼みます。」


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