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れっつ世界を救おう  作者: Luna
第3章 ラヤーナ争奪戦?
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3-26 新しい従業員


「嬢の家は森の中、ヴェルネールの森にあるんじゃよ。ただし結界が張ってあるため、嬢と精霊、そして守護獣のみがその森に入ることができる。嬢は薬をそこで作っておる。じゃが薬を作るための材料は嬢の森の家にある物だけでは、これからの量は十分に賄えんじゃろう。ヴェルネールの森に頑張ってもらい、薬の様々な材料を育て採取させてもらわねばならん。それも嬢の役目じゃの。」


「はい。森は…随分元気になりました。材料については…調達はできると思います。この世界の王国で使ってもらえる分の薬は私が作ります。」


「そうか…負担が大きくてすまんの。」


「いえ。それが私の役目です。」


「森にいる時は嬢の側には必ず守護獣殿がおる。じゃが今後は更に嬢を狙おうとする輩が増えるのは間違いない。守護獣と協力をし、嬢が薬を作るのを助け、嬢を守る、それがセヴェリ殿の役目じゃよ。」


「分かった。家はどうしたらいい?結界の外に建てられるか?」


「はい。できるだけ近くの…結界のすぐ横に家を作ります。家は魔法ですぐに作れます。」


「そうか…今日はこの後森に行くのか?」


「そのつもりですが、レスリーたちが心配していると思うので、一度店舗によってから森に戻るつもりです。」


「そうか。…ギルド長、今日は今からラヤーナについていた方がいいか?」


「ここから店舗にはこの後セレスタン殿達に行ってもらうのでな、そこまでであれば嬢も一緒に行けばよかろう。メリルも同行し、ギルドからは建築魔法が使える者も一緒に行くことになっておるよ。敷地に建物を増築せねばならんからの。」


「そうか…それであれば俺は必要なものを町で調達する。今晩森に戻るのであればすぐに生活に必要な道具があったほうがいい。薬を作る間しばらくは町に戻らないんだろう。」


「はい。今回はかなりの量を作りたいので、しばらくは森の家にとどまって薬を作りたいと思います。できた薬はギルドへ転送します。」


「嬢、店舗の方にも転送できるようにした用が良いの。これまでは嬢の魔法については秘めておったがセヴェリ殿が居れば魔法の使い手について怪しまれることもなかろう。受け取りも騎士団が管理すればよい。儂もこの後嬢たちと店舗へ行き転送用の準備をしたらあとはメリルに任せることになっておる。」


「ギルド長、いろいろとありがとうございます。すみませんがよろしくお願いします。」


「よいよい。」


「ラヤーナはいつ頃森へ戻るつもりだ?」


「お店の在庫も確認しておきたいけれど…騎士団の皆さんにも働きやすいように店舗内のレイアウトの変更と少し道具の買い足しも必要になりそうだから…お昼前まではお店の準備をしたいと思っています。」


「嬢、建物はすぐにできるじゃろうから、それを見て必要な準備を騎士団と進めるとよいよ。昼については新しく作る建物内の食堂で皆でとるがいいじゃろ。昼食の手配はメリルにすでに伝えておる。午前中は騎士団と新しい店舗の準備じゃな。セヴェリ殿は昼に店に戻ればよいじゃろ。」


「分かった。午前中は俺も自分の準備を進める。昼前には店に戻る。早く戻れればそちらの準備も手伝おう。」


「セヴェリさん、ありがとうございます。」


「それでは嬢は儂と一緒にまずはレスリーたちのところへ行こうかの。」


セヴェリは自分の荷物をまとめ、そのまま町に出かけるようだ。

ラヤーナはギルド長やメリル、サフェリアの騎士団と共に店へと向かう。


店舗に到着すると、ユリアが飛ぶように出てきたラヤーナに飛びついた。


「ラヤーナ~~~。おかえりなさーい。昨日のパレード、すごかったよね~」


レスリーもやってきて、昨日のパレードのことを話し始めた。ラヤーナはパレードをほとんど見ることができずに拉致されてしまったため、正直に見ることができなかったことを伝えた。


「え~、ラヤーナ、見なかったの?」


「そうなの。魔道具を見ていたら…ね…」


「ラヤーナ、魔道具そんなに見たかったんだ。そうだよね…僕たちが3日間は好きなもの見てたからラヤーナは自分の見たいものをゆっくり見れなかったよね…ごめん…」


「レスリー、そんなことないわよ。あなたたちに見せてもらったものはとても楽しかったもの。それに、二人にいろいろ連れて行ってもらったから、面白い魔道具屋さんを見つけられたのよ。二人が悪いんじゃなくて、4日では全然時間が足りなかった、それだけよ。」


「…そっか…」


「そうよ。来年のお祭りだってきっと同じよ。私の見たいものと、二人の見たいもの全部見ていたら1週間あっても足りないわ。」


「うん。ユリアもね、もっとたくさん見たかったもん!」


「僕もだよ…。」


「そうでしょ?だからまた来年のお楽しみにしましょう。来年はパレードを一緒に見れるといいわね。」


「「うん!」」


「ねぇ、ラヤーナ…今日はおじちゃんたちがたくさんだね。」


「あぁ、そうね。ほら、お薬が大人気だったでしょ。いまはここしかお店がないから、お薬を購入したい人たちがもっと来れるように、お店を大きくすることになったの。さっきお父さんとお母さんにお話があるからって、ギルドの人たちが中に入っていったでしょ。お店を大きくして、開店時間も長くするために人が必要になるのよ。新しい従業員ね。」


「…そうしたら…ユリアたちはもうじゅうぎょういんじゃ、なくなるの?」


「あら、どうして?」


「だって…ユリア、まだ子供だし、お兄ちゃんだって…」


「え、二人ともお店でお仕事するのはもう嫌?」


「僕は…辞めたくない…お店の仕事ってすごく面白いし、町の人とか外国の人とか…みんなに喜んでもらえるのがすごくうれしくて…」


「ユリアも…お母さんとお兄ちゃんと一緒にお仕事ができるの楽しいの…でも…ユリアのできることってたくさんなくて…」


「それなら二人ともこれまで通りの従業員のままね。」


「え、いいの?」


「ユリアも?」


「もちろんよ。二人が「あたらしいじゅうぎょういん」の面倒を見るのよ。」


「え、ユリアたちが?」


「えぇ。お仕事を教えてあげてね。」


「うん!もちろんだよ。」


「あ、でも二人の仕事の時間は今まで通り、週3日の午後2ラルから4ラルまでよ。それ以外の時間はこれまで通りね。オータムナスのお祭りが終わったし、ちょうど再来週からイエムスになって学校の新学期よね。午前中、レスリーは学校でしょ。ユリアもこのイエムスから学校へ行くのよね。」


「うん!ここで仕事してて思ったんだ。算術もちゃんとやらないと、って…。それに読み書きもしっかりできるようにならないと、お客さんに飲み方の説明の紙を渡すことができないんだ。今はお母さんとラヤーナに書いてもらってるけど、僕も書けるようになりたいんだ。」


「そう、それは助かるわ。」


「ユリアも!ユリアもちゃんとかけるようになるよ。お兄ちゃんみたいに、くすりのこと、ちゃんとお話しできるようになりたい!」」


「えぇ。二人とも頑張ってね。でもね、他にもたくさんお仕事があるから、無理をしないで二人にあったペースで頑張ってくれればそれでいいのよ。」


「…僕…もっとお店で働いても…」


「あら、だめよレスリー。」


「え、どうして?」


「お友達と遊ぶ時間が無くなってしまうわ。」


「そうだけど…でも…」


「ねぇレスリー、お友達と遊んでいる時に、いろいろなお話をするでしょ?」


「…うん…」


「今、みんなが興味のあることや、好きな食べ物や出来事、その他にもいろいろ話すんじゃない?」


「うん、話すよ。リックのところは宿屋をやっていて、外国のお客さんが来ることがあるんだって。そのお客さんからその国で流行っている遊びとか物とかの話をしてもらうこともあって、宿屋の手伝いが楽しんだって。」


「そうよね。それで…リックは遊べないほど手伝っているの?」


「…ううん…僕と同じくらい…凄く忙しいときはもうちょっと手伝ってるみたいだけど…」


「そうね。だからレスリーも今まで通りでいいのよ。それに、リックもそうだけれどお友達から聞く話ってとても大事よ。」


「え、どうして?」


「レスリーにとってはこの町以外のことを知ることができて、見聞を広めることができる…いろいろなことを知ることができるということよ。それにね、そう言う情報はお店にとってもありがたいの。」


「お店に?どうして?」


「ユリア分かった!それね、しょうひんにいかす!だよね。」


「え、なんでユリアはわかったの?」


「このあいだ、ハントのおばちゃんが言ってたよ!『ひとのはなしからしょうひんにいかす』って言ってた。」


「ユリアは人のお話をよく聞いているのね。すごいわ。」


「…ユリア…その意味わかったの?」


「え、わかんないよ。」


「分かんないのに、わかったの?それ変だよ!」


「わかんなくても、わかるの!!!」


「あらあら二人とも」


「「だって、(ユリア)(お兄ちゃん)が~~~~~!」


「二人とも…あのね、人からの情報は大切って言うことをユリアはおばさんが話していたのを聞いていたし、レスリーは実際にお友達から話を聞いて、それを活かせればいいの。」


「ウー…そうだけど…お兄ちゃんが~」


「ユリアだって!」


「あら、二人が喧嘩をしてしまうとお客さんが来れなくなってしまうわよ。二人とも正規の従業員なんだから、それぞれ責任をもってできることをすればいいのよ。それに従業員同士は協力しないといけないわ。」


「…わかった…」


「ユリアも…」


「ね、でも二人ともわかったでしょ。『遊ぶ』ことも大事なの。遊びながら怪我をしたときに、こういうお薬があったらいいな~、と思ったらそれも良い薬を作るヒントになるし、ちょっと熱が出た時に、飲み薬がこういうものだったらいいな~とか思ったりしてそれを教えてくれることもヒントになるの。だから二人とも、お店もだけれど、これまで通りしっかりと遊んですごしてね。」


「わかった!遊ぶのも仕事だね!」


「ユリアもいっぱい遊ぶお仕事するね。」


「ウフフ…そうね。よろしくお願いします。」


二人の喧嘩が落ち着いたとき、店舗の増築が終わったようで騎士団員がラヤーナの方へやってきた。


「建物ができました。ラヤーナさん、中を見ていただけますか?」


「はい。わかりました。レスリーとユリアも来てくれる?一緒に中を確認して、『新しい従業員さん』たちのこれからの生活の場と、その後は店舗の方を一緒に見てみんなで働きやすいようなレイアウト変更をしたいから、一緒にアイデアを考えてくれるかしら?」


「うん。もちろんだよ。」


「これも、『あたらしいじゅうぎょういん』のめんどうをみる、っていうことだよね!」


「そうよ、ユリア。」


「…あなたがユリアで、…そちらがレスリーかな?」


「はい。そうです。僕がレスリーで、そちらは妹のユリアです。」


「僕はセレスタン。君たちの新しい『部下』だよ。これからいろいろと仕事のことについて教えてもらいたいからよろしく頼むね。」


「僕で分かることなら…」


「分からないことは、ユリアにきいてね。」


「フフフ、そうかい。二人とも頼もしいね!ここにいる『新しい従業員』と一緒に『面倒』をみてくれるかな?」


「もちろん!ユリアにまかせて!」


「ユリア…」


「レスリー、ユリアの面倒もよろしくね。」


「うん。わかってるよ…」


兄は大変だ。


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