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れっつ世界を救おう  作者: Luna
第3章 ラヤーナ争奪戦?
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3-24 メリルの心配


翌日ラヤーナとラティは目を覚ますと、朝食を取りにギルドの食堂へ向かうために部屋を出た。隣の部屋はセヴェリが泊まっており、ギルド内も含めてできるだけ一緒に行動するように言われていたため、隣の部屋をノックした。


「…団長さん、おはようございます。ラヤーナです。」


「ああ、今部屋を出る。」


既に支度はできていたようで、ラヤーナが声をかけるとすぐにセヴェリが出てきた。


「おはようございます、団長さん。昨日はお世話になりました。これからいろいろとご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします。」


「ラヤーナ嬢は気にするな。昨日もさんざん礼を言っていたが、迷惑などとは思っていない。ラヤーナ嬢のことは必ず守る。嬢は自分のすべきことを頑張ればいい。」


「はい。」


食堂には騎士団の他のメンバーも来てすでに食事を取り始めていた。


「皆さん、おはようございます。」


「ラヤーナさん、おはようございます。」


「ラヤーナさん、おはよう。」


「メリルさんもいらしていたんですね。おはようございます。」


「セヴェリ団長、今日はあなたの騎士団員には私からラヤーナさんのお店のことや従業員としての仕事、護衛やその他の任務についてお話します。副団長のセレスタンさんには昨日ギルド長がお伝えしたようにこの件のサフェリア騎士団のまとめ役として動いていただきたいのですがよろしいでしょうか?」


「セレスタン、頼めるか?」


「はい、もちろんです。団長。」


「それではそちらの対応はお任せする。」


「ありがとうございます。ギルド長は、薬を作っていくこととラヤーナさんを守ることでかなり細かい打ち合わせをしたいということでしたので、朝食の後はギルド長のお部屋にお二人ですぐに向かっていただけますか?」


「分かった。ラヤーナ嬢もそれで大丈夫か?」


「はい。大丈夫です。」


「そうか、それでは食事の後伺おう。」


「あ、ラヤーナさん、その前に…ちょっといいかしら?」


「はい、メリルさん…何か?」


「ちょっと確認しておきたいことがあるの。お食事中で申し訳ないけれど、急ぎの件で女性だけでの話だからこちらに来てもらえる?」


「えぇ。」


ラヤーナは食事のプレートをそのまま置き、メリルの後についていく。団長には先に食事を取っていてもらうようにお願いした。


食堂の奥には小さな部屋があり、そこに連れていかれる。どうやらこの部屋は食事をしながら密談などをするときの部屋の様だ。


「こちらよ。ラヤーナさんごめんなさいね、お食事中だったのに。でも…今聞いておかないとだめだと思って…。」


「はい、なんでしょう?」


「今回の件は国王の意向と、国同士の協力が必要になるくらい大きなことになっているでしょ?サフェリアの騎士団は信頼できるということは私でもわかるのよ。でも、ラヤーナさん、護衛にはあの団長でいいの?…なんだが怖そうだけれど…」


「メリルさん…?」


「そのね…何となく威圧感がすごくて…。ラヤーナさんの護衛につくのはサフェリアの第5騎士団でしょ。 どこの国でも騎士団は数字が小さいほうが強いというのは常識なのよ。第5ということは実力のある騎士団はもっと上で、騎士団を任される団長の力も数字が大きい方が劣るのよ。そう考えると、ほら…めんどくさいけれどヴェルネリア騎士団のエルウィン団長、彼はあれでもこの国の第1騎士団長よ。実力で言えばセヴェリ団長よりも上だし、国王からの命令であれば間違いなく喜んでラヤーナさんを全力で守るわ。彼は騎士としての誇りも持っているはずだからラヤーナさんを護衛している間は求婚などはしてこないはずよ。任務にそういう私情は挟まないと思うわ。」


「…騎士団の数字は強さと関係していたとは知りませんでした。」


「そうでしょ。今ならまだ間に合うと思うの。もしラヤーナさんが心配ならセヴェリ団長ではない人に護衛をお願いしてもいいと思うのよ。それに、セヴェリ団長は見た目も強面で、いつもそばに強面の人がいると心が休まらないかもしれないし、ラヤーナさんももっと優しい人が側にいるほうがいいかもしれないと思ったの。」


「メリルさん、心配していただいてありがとうございます。本当に大丈夫です。寧ろセヴェリ団長でホッとしました。他の団員の方たちは…ちょっと遠慮したいというか…、それにエルウィン団長はもっと嫌です。」


「え、そうなの?他の人たちの方が安心だと思うけど…。ほら、あのセレスタンさんなんか、人当たりも良いし、結構な美丈夫で優しそうだし、いろいろ気づく人だし、ラヤーナさんにはお似合いかなって思ったのよ。」


「うーん…お似合いかどうかはわかりませんが…セレスタンさんがダメ、というよりは、団長のセヴェリさんで良かった…と思います。なんというか…一番安心するというか…一番リラックスできるというか…こう…そばにいてほしいというか…何かあっても安心というか…」


「…そうねぇ…護衛としては確かにそうかもしれないわ。体が大きくて屈強で強面で…セヴェリさんが側にいれば変なのは寄って来れなさそうよね。そういう意味では、確かに一番安心だわ。」


「そうなんです。なんと言ったらいいのかわからないんですが、とにかく安心感がすごくて…。セヴェリ団長なら…この人なら大丈夫…そう思うんです…不思議ですよね…」


「めんどくさい3人組が弱いというわけではないけれど、そうねぇ…何となく…ラヤーナさんの直感を信じるとしたら…私も何となく感じたのだけれど…もしかしたらセヴェリ団長にあの3人はかなわないのではないかしら?さっきも言ったけれど、こっちのめんどくさい団長の方が役職も魔力も上のはずなんだけれど…ラヤーナさんに言われると、確かにセヴェリ団長の方が安心感は圧倒的にありそうよね…それに実力も。…第5騎士団と言ってはいるけれど…本当はもっと上の騎士団の団長レベルなのかもしれない。…あぁ、もしかしたらセヴェリ団長が本気を出したら、うちの団長はかなわないんじゃないかしら?」


「どうなんでしょう?それは私にはわかりませんが、ギルド長が今回このように采配しているので、私にとってはそれが一番なんだと思います。」


「そうね。わかったわ。ごめんなさいね、余計なことを言ってしまって。」


「いえ、メリルさんはいつも私のことを心配してくださっているのが分かります。だから事前に相談ができた形になって、私としてはメリルさんに私の気持ちをお伝え出来て逆にホッとしました。」


「そう。でも、ラヤーナさんがそう言っているのだからきっとセヴェリ団長でよいということね。お店の方はセレスタン副団長といろいろ考えておくわ。フランカさんもレスリーたちもきっと協力してくれるわよ。」


「はい。私は団長に協力してもらって、とにかくたくさん薬を用意したいと思います。」


「えぇ、そちらはお願いね。さぁ、朝食がまだでしょう。急いでいただきましょう。」


二人は急いで食堂に戻った。


セヴェリはラヤーナが戻ってくるのを待っていてくれたようで、食事に手を付けた様子がない。


「団長さん、申し訳ありません。先に召しあがっていてくださってよかったのに…」


「いい、気にするな。」


メリルもラヤーナの横に座り一緒に食べ始める。


「セヴェリ団長、ラヤーナさんのことよろしくお願いします。食事の後ギルド長からいろいろお願いをされると思いますけれど…ちょっと人使いが荒いギルド長ですが、結局ギルド長のやることは結果的に一番良い方法だった、ということになるんです。ああいうのは年の功なんでしょうかね?」


「…どうだろう…ギルド長はこれまでにいろいろな経験をされているんだろうからな。そのせいだろう。」


「経験ですね…」


「ああ。」


「ギルド長から話もあると思いますが、ラヤーナさんの店舗につなげる形で住居施設を増設します。建物は本日中に完成させ、住居内の準備も2,3日で整うと思います。その時点でセヴェリ団長の団員はそちらでの生活をしていただくことになります。」


「セレスタンがいるのであれば問題は無い。あいつが全て問題なくまわすだろう。」


「もしお店のサポートと護衛に関してセレスタン副団長から団長の方に御要望等が行きましたら私までお伝えください。」


「あぁ、セレスタンにはできるだけメリル嬢に直接伝えるように言おう。」


「そうしていただけると助かります。」


「ラヤーナさんの護衛についてはギルド長にはいろいろとお考えがあるようですので、この後ギルド長とご相談ください。」


「分かった。」


「それじゃラヤーナさん、店舗の方は安心してください。薬の方をよろしくお願いします。」


「はい。わかりました。」


メリルはそう言って騎士団にこれからの任務を伝えるため、食堂を出ていった。



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