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れっつ世界を救おう  作者: Luna
第3章 ラヤーナ争奪戦?
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3-23 サフェリア騎士団の守り


捕らえたサフェリアの拉致犯をラザールが率いている第4騎士団に引き渡し、セヴェリ率いる第5騎士団は、ギルド長とラヤーナ、 (そしてラティ) と共にギルド長の転移魔法でリエスのギルドに戻ってきた。


「今メリルを呼ぶからの。少々こちらで待たれよ。」


ギルド長がメリルを呼びに行った。

ラヤーナはサフェリアの騎士団と待つようにギルド長に言われたため、ここで一緒に待っているところだ。自分が関わる話のため、今ここで帰るわけにはいかないだろう。それに…今帰ってはいけない気がする。これからもこうして狙われるかもしれないことを考えると、今後どうしていくのか、もう少しギルド長とも相談をしたいし、この騎士団の人たちはとても信頼できる人たちだと感じる。ヴェルネリアの騎士団の人たちも決して信頼できないというわけではないのだが…。


「…こっちにはめんどくさい人たちがいるのよね…」


「…めんどくさい?」


『ラヤーナ~~~~・声に出ちゃってるのなの~~~~!』


「え…あっ!すみません。ちょっと考え事をしていて…すみません…」


「ラヤーナさん、めんどくさい…とはどういうことなんでしょうか?」


副団長のセレスタンがラヤーナに問いただす。


「いえ、あの…こうして皆様に守っていただけるのはとても嬉しいのですが…この町でお店に立っていると時々…対応に注意が必要なお客様もいらっしゃって…」


「そういう人たちが…めんどくさい人たちなんですね。」


「…えぇ…まぁそういうことになります…」


「…何となく予想は付きますよ…ラヤーナさん…人気がありそうですからね。」


「え…そうですか?そういうのはめんどくさいので…できれば遠慮したいです。」


「………」


『ラヤーナ~・いつもめんどくさいなのね~』


「…ラヤーナさんは、今どきのお嬢さんらしくないですね。ラヤーナさんくらいの人たちは、皆さんお祭りの時にはいろいろと楽しみにしていらっしゃるようですから。」


「…あぁ…お祭り…そうですね…ある意味大変でした…」


「大変?たくさんお誘いがあったんじゃないですか?」


「…そうかもしれません…」


「…そうですか…その中に意中の人は…」


「いません…まだそういう気持ちはないんですよね…」


「あぁ…それは…わかります…そういう時の誘いは正直…対応に困りますよね…」


「…副団長さんも…お誘いが多そうですよね…」


「…副団長さんではなく、セレスタンでいいですよ…えぇ…まぁそうですね…ですが私の方もこの人…という女性はいないので、お断りするのも大変なんですよ…」


「…そうですよね…」


「…そうなんですよ…」


ラヤーナとセレスタンは二人で大きなため息をついた。ラヤーナの横にいるラティは、しょうがないよね~~~~というポーズをとっている。団長のセヴェリは特に何か言うわけではなく、表情も変わらないままだ。


「皆さんお待たせしました。騎士団の方たちはお部屋を用意しましたので、そちらで少し休憩を取ってください。少し遅い時間ですが夕食も用意しましたので、お食事の方もどうぞ。第5騎士団長のセヴェリさんと副団長のセレスタンさんはこちらにどうぞ。ラヤーナさんも一緒にお越しください。お疲れでしょうけれど、急ぎの案件の様ですから。お食事の方は一緒にお持ちしますか?」


「あ、いえ…まだちょっと食べれそうにありません…」


「そうですか…騎士団の方たちはお腹が空かれたでしょう。」


「そうだな…お前たち、今日はこのまま食事をもらったら部屋で休ませてもらえ。明日ここでの任務を説明する。夜、急に何かある可能性もある。酒は飲まずに食事を取ったら早めに休んでおけ。明日は6ラルに集合だ。場所は……ギルド長、どこか使わせてもらえる場所があったらお借りしたい。」


「この部屋に来る前にいた部屋を使ってかまわんよ。あそこは訓練もできるようになっておるしの。」


「…ではそこを集合場所とする。各自食事をとって休んでおくように。ジェラール、あいつらをまとめておくように。」


「はい、団長。ではお前ら行くぞ。我々は先に行っております。」


「あぁ、頼む。行け。」


「「「「「はい!」」」」


「お二人はお食事は…どうされますか?」


「あとで構わない。まずは急ぎ必要なことだけ今晩中にまとめておきたい。」


「その方がよいの。お二方とも、事は急を要するのでな。よろしく頼むよ。」


「はい、ギルド長。」


「それではみなさんはこちらのお部屋にどうぞ。」


セヴェリ、セレスタン、ギルド長とメリル、ラヤーナとラティはギルド長の部屋に向かった。5人 (と精霊1人) が部屋に入ると、ギルド長は念のため情報隠匿の魔法を掛けると、今後の連携について話し始めた。


「セヴェリ殿、先ほどの書簡もそうじゃが…、おそらくこちらに来る前に『騎士団に納品されている薬』についての状況はある程度はすでに把握されておるじゃろう。今回の拉致犯についても、ある程度予測して動いておったんじゃろう?」


「…あぁ…こちらの…ラヤーナ嬢の薬はサフェリアでも貴重だ。あの薬は、数は限られているが定期的に王国に届き、特に鬼獣討伐を多く受け持っている第2と第3騎士団の団員達が、薬のおかげで命を落とさずに済んでいる。だからこそ、薬を自国のために使い、他国を出し抜こうと考えている国と、自分たちの懐を潤すために囲ってしまおうと考えている商人たちがいる。今回はこちらがたまたま追っていた者たちだったが、今後はもっと増えることは間違いない。」


「儂もそう考えておっての…。実は嬢にはギルドの方でも町中に数名、人を置いて嬢に何かあった時に対応できるようにしておいたのじゃよ。しかし今回の祭りでは他国からの訪問者も多く、後手に回ってしもうての…すまんな、嬢。」


「いえいえ…私も…何かに触る時には気を付けるようにします…」


「まぁのぉ…そうしてもらえると助かるんじゃが、もはやその程度では済まなかろう。セヴェリ殿はどう考える?」


「…こちらが持っている情報としては、サフェリアの中でも商人グループのいくつかがラヤーナ嬢を拉致し、薬を作らせることだけをするように監禁しようと計画を立てているという情報がある。今回捕らえた者たちはもともとそのうちの1つだったが、途中で下が仲間割れをし、別の組織と組んで行動したようだ。」


「すでにサフェリアの方ではそんな状態になっておるか…」


「それにコリファーレは国自体でラヤーナ嬢を拉致しようとしている節がある。今回のグループは使い捨ての下っ端を、報酬を高額にサフェリアから雇い、ラヤーナ嬢を連れ去ろうとしていたようだ。あの部屋にかけてあった魔法はかなり出力も難易度も高い物だ。魔道具で解除したが、一番効果の高い物が必要だったからな。コリファーレの中でもあの魔方陣を使ってくるのは高位の魔術師だろう。」


「…やはりそうじゃったか…コリファーレの動きが怪しいということは国王からも聞いておったんじゃよ…だがどう動いてくるのかまではつかめておらなんだよ…」


「…それで…どうするつもりだ?我々は国王の書簡がすでに有効であり、こちらの手元にも国王直々の指令がすでに届いている。内容は先ほどの書簡と同じものだ。」


「…おお、その件じゃがの…お主たち、嬢のお店の従業員になってはくれんかの?」


「…え…」


「…従業員…ですか?」


「………」


「そうじゃ。護衛もかねておるがの。」


「え、ギルド長、サフェリアの騎士団の方たちにお店の手伝いをさせるおつもりなんですか?ラヤーナさんのお店の従業員はすでにこちらでもある程度絞り込み済みで、準備も進んでいるんですよ。」


「おお、メリルの方も準備が進んでおる様じゃの。」


「ギルド長!」


「いやいや、メリルの方の従業員はもちろん、予定通りに嬢の店で働いてもらうつもりじゃよ。」


「ではギルド長、騎士団の方たちは何をするんですか?」


「同じじゃよ。従業員じゃ。まぁ護衛でもあるがの。」


「…ギルド長…それはさすがに多すぎるような気がします…騎士団の方たちは全部で8名です。私の方で手配予定の従業員は3名です。11名は多すぎます。」


「メリル、それは店の開店時間がこれまでの午後の2ラルから4ラルであれば多いであろう。しかし、薬の需要が高いからの。店を開店する時間を長くするんじゃよ。」


「…え…」


「嬢、薬を作るスキルは上がっておるの。」


「はい。」


「他の町や国からの買い付けはこれからかなり多くなるじゃろう。外から来る者たちへの対応を考えると、今の店の開店時間では不十分じゃよ。開店時間を長くし、町の中だけでなく、外から来る者たちも購入しやすくする、ギルドへ置いておく薬の量を増やす、まずは薬の扱いを増やさんとな。嬢、薬の量はだいじょうぶかの?」


「はい。そちらに関しては大丈夫です。」


「そうか…。サフェリアの騎士団員には嬢の店の敷地内にもう1つ、店とつながる建物を建てる予定じゃ。ヘリットのところへは今後の交渉予定になっておるが、以前からヘリットはもっと店を大きくする必要があれば敷地に建物を増設してよいと言っておったからの、問題は無いじゃろ。明日にでも返事がもらえれば建物はすぐに用意できるからの。家の中の準備もすぐに整うじゃろうて、団員には泊まりで嬢についていてもらう。店には交代で必ず誰かが出て、嬢が移動するときには必ずついてもらうことにする。」


「…それは…ラヤーナさん…窮屈じゃないんですか?」


「…そうですね…でも…今は仕方がない気がします…今回のこともあるので…」


「そう、ラヤーナさんがそれでいいというのなら、私の方は特に異論はありません。」


「セヴェリ殿、店には厳つい者ではなく見目の良いものを出すようにしてほしいの。客へも愛想よく対応してもらいたいしのぉ。他の者は店の奥で嬢のサポートじゃよ。」


「…ギルド長…それは…団長以外はうちの団員、比較的見目はいいと思うんですが…」


「そうじゃのぉ~」


「…団長以外は店に出て、団長は店の中に居る…ということ…ですかね?」


「セレスタン殿と言ったかの…その通りじゃよ。セヴェリ殿が店番として出ているとお客が逃げてしまいそうじゃからのぉ~」


「…まぁ…そうですよね…」


「フォッ、フォッ、フォッ。」


「ギルド長…」


「それでの、セヴェリ殿には嬢の護衛を頼みたいんじゃよ。」


「……」


「嬢が薬のために拉致されないようにするには、ある程度の薬の量を早く国内外に回す必要があるんじゃ。今の嬢のスキルならそれも可能じゃろう。しかし当然薬を作るための材料の採取も必要じゃ。薬の材料を採取し薬を作る間、常に嬢を守らなければならん。しばらく店をまわすのはフランカ達とメリルが連れていく従業員、そしてサフェリアの騎士団員に任せ、嬢は薬の大量生産に専念する必要があるじゃろ。その間の護衛が必要じゃて。」


「え…でも…それはセヴェリさんに大変なご迷惑をおかけするのでは…」


「…いや…」


「嬢、騎士は国王の命令に従うものなんじゃよ。よほど理不尽なものではない限りの。しかも国王直々の勅令じゃからの~。」


「…でも…」


「嬢、この任務は一番難しく大変なんじゃよ。並みの騎士では務まらんよ。嬢は…セヴェリ殿では嫌か?他の団員の方が良いんじゃったらそのようにするがのぉ…」


「いえ、そう言うことではないんです…団長までされている騎士の方を私の護衛や、ましてや材料採取に来ていただくなんて…申し訳なくて…」


「嬢、嬢の薬は特別な物じゃて。それが無ければこれからどうなるのか、嬢にはわかるじゃろ。薬も薬を作る嬢も、失ってはならない大事な物なんじゃよ。それゆえ一番の適任者を嬢に付けるのは当然のことなんじゃよ。」


「…そうですよね…薬は…確かにとても重要なものですよね…わかりました…。セヴェリさん、よろしくお願いいたします。」


「…わかった…必ずラヤーナ嬢を守ると約束しよう。」


「材料採取も含めてじゃぞ。」


「分かっている。」


「セレスタン殿、お主は嬢の店舗とその家族の護衛を中心に従業員として店に常駐してほしいんじゃ。もちろん町の中を動くのは自由じゃができれば町の中で怪しいものがいないかの確認も頼みたい。従業員の買い物についても、当番制で構わんから必ず騎士団の誰かが必ずついていくようにお願いしたい。店を守り薬の販売が滞らぬようにすること、店に従業員と家族の護衛をすることをお願いしたいのぉ。」


「はい。必ずやお守りいたします。」


「して、セヴェリ殿、嬢を頼むぞ。」


「分かった。」


「フォッ、フォッ、フォッ。これでひとまずは安心じゃな。」


とりあえずの話はまとまり、今晩の話はひとまずここまでとして、食事を取ってから休むことになった。だがすでにかなり疲れていたラヤーナは、食事を取らずにそのまま休むことにした。今晩はギルド内の宿泊施設に泊まる。明日は更に話を詰めるようだ。メリルは心配しているだろうからと、すでにヘリット一家には急な用事ができてラヤーナはギルドで今晩は泊っていくと連絡しておいてくれたようだ。

部屋に入り、ラティと二人になるとどっと疲れが押し寄せてきた。

かんたんに自分に洗浄魔法(水魔法と風魔法を組み合わせた)をかけ、その日はそのまま眠りについた。


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