異世界帰り
ピピ、、ピピ、、
「アリサ、クゥ なんだこの音は?」
顔を上げるとかつての自分の部屋がひろがっていた。
「夢から?」
ほっぺをつねった。しかし神経細胞がしっかり反応する。どうやら夢ではないらしい。
「今日何曜だとおもってるのー!!早く降りてきてご飯食べないとー!!!」
聞き覚えのある声する。
ダンッダンッ
っと階段を上る足音が聞こえる。まだ何が起きているのかわからない。
ガチャ
ドアが開く
「起きてんじゃん。早く準備して学校いくよ!!」
俺は目を丸くした。妹の未来が立っていた。
キーンコーンカーンコーン
「おっ!?やっと来たか。お前が俺より来るのおせぇなんてな。妹ちゃんとなんかあったのか?」
「お前は確か、、、元?」
そうだ、こいつは元だ! はじめ とも げん とも読まないから記憶に残っている。確か親友だったはず、、。微かな記憶を呼び起こす。
「確かって、なんだ、記憶喪失でもしたのか?w」
元は元気よく笑う。
「なあ、元。信じられないかもしれないけど俺本当に記憶喪失してるかも。」
ここで「異世界に行って.....」と言っても笑われるだけなので敢えて記憶喪失といった。そっちの方が色々聞きやすいということもある。
「今日はそういうキャラでもやんのか?まぁいいよ付き合ってやるよ。」
元は間に受けていないようだ。
いくつか質問をしてわかった。
○俺が経験した異世界のじかんはこっちのせかいでは加算されていないということ。つまり転生前に戻ったということ。
○むこうの世界での経験や知識はこっちでも失わないこと。
○そして何故かこっちでも俺だけ魔法が使えること。
何故魔力という概念がないこっちの世界で魔法が使えるかはなぞだが見せびらかすとろくなことにならなさそうなのでひとまず使わないようにした。
「久しぶりだ、こんな生活。」
俺は帰宅してベッドにたおれこんだ。
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「アリサ、クゥお前達のおかげで魔族を討伐できた。ギルドに帰ったらパーッとパーティーでもするか。」
「やったー!シュンのおごりだー!何食べよっかな〜。」
と少年っぽい見た目のクゥが叫ぶ。少年と言ってもエルフだ。実年齢は100をとうに越している。
「そうね。でも食べすぎないでよ私の分なくなっちゃうかもだから。」
対してアリサは姉のように対応する。
「とりあえず、まずはギルドに戻って報告しないとだな。
転移!!」
そう唱えると足下に転移陣があらわれ一気に3人を光に包む。
ガャガャガャ....ガャガャ.,
ギルド内には酒場が併設されておりいつもひとで溢れかえっている。そのためこの程度のうるささは冒険者には慣れっこだ。
「それで、今回の魔族討伐の報酬ですが金貨30枚になります。」
金貨30枚は1回のクエストの報酬としてはトップクラスに高い。普通なら満面の笑みでそれを受け取るところだが1人ケチをつけるものがいた。
「それじゃあ納得できません。今回はクエスト以外にも魔族の従えていた魔物も討伐したんですよ!?クエスト報酬どおりは納得しないわよ!!」
アリサはこえを張り上げた。
「そう言われましても........」
ギルド職員は困惑の表情でこっちをみる。
「まあまあ、アリサ今回は魔物からのアイテムもゲットできたんだしそれを売れば...ね...?」
俺は仕方なく割って入る。
「でも........」
アリサは不満そうな顔をする。
「では、この魔物のアイテムの買い取りをお願いします」
「わかりました。それではまた明日にこちらにお越しぐたさい。」
ギルド職員はアリサとはうってかわり丁寧な対応をする。
俺は少し苦笑いをしてアリサを連れてそそくさとその場を離れた。
「あ!やっと戻ってきた!お〜な〜か〜す〜い〜
た〜。」
クゥは相変わらずマイペースだ。しかしそれがこの乱れた雰囲気を変える。実はクゥには助けてられてるのかも?と俺は思ったがクゥが変えた雰囲気を逃すまいと必死だった。
「よし!クゥ、アリサ好きなもんどんどん頼めぇー」
俺がそう言うと2人は料理を頼み始めた。
料理を頼んでいる2人の姿に微笑ましさを感じた。
「異世界もやっぱり悪くないのかな.......,..」
異世界に来た時は何がなんだかわからずただ困惑していた。もとの世界に戻りたいと何度も願った。しかし今はそれと違う感情が自分のなかある事に気づき始めていた。
「何かいった?」
クゥがこちらをうかがう。
俺は首を横に振った。