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ペットな彼女と異世界へ  作者: らい
第一章 始まりの町
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1-5 薬草採集

 「あ、おはようございます」


 どうやらリコは先に起きていたようだ。


 「あぁ……おはようリコ、よく眠れた?」

 「はい!冬輝様の身体が温かくて快眠でした」


 それはよかった……

 良かったんだけども、身体がとか面と向かって言われるとすごく恥ずかしいですよ。


 「と、とりあえず朝ご飯食べようか」


 宿屋の一階に降りるとすでにほかの宿泊客で賑わっていた。

 フロアではアカネちゃんがせっせと料理を運び回っている最中のようだ。


 「あ、冬輝さん、リコさん、おはようございます、よく眠れましたか? こちらにどうぞ」

 「ああー、うん、よく眠れたよ」


 アカネちゃんに言われた席に座るとすぐに朝食を運んでくれた。

 フランスパンのようなものと目玉焼き、ベーコン、サラダにスープといったメニューだ。

 朝にこれだけ食べれば十分といえるだろう。


 「ありがとう、いただきます」

 「いただきます!」


 うん、どれもおいしいな

 目玉焼きはシンプルな塩コショウ、スープは卵が溶いてありふわふわ、サラダの野菜もみずみずしくて噛めばシャキシャキといった音がする。

 これの朝食がついて一日300マイルなんて安すぎないか?


 「どれもおいしいですね!」

 「うん、この宿を選んで正解だったな」


 朝ご飯は一日の活力につながる、これを作ってくれた宿屋の女将さんに感謝だな。


 朝食をとったあとは、薬草採集に向けた準備をする。

 アカネちゃんに教えてもらったおすすめの雑貨屋に行き、腰掛鞄やアウトドアナイフ等を買い、そのまま屋台へ。

 そんなに遠くないらしいが念のため食料も買っておきたかったのだ。

 買ったのはパンと飲み物、他にも食べたいものはたくさんあったが、臭いが気になりそうだったのでパンだけにしておく

 飲み物は雑貨屋で買った、竹のような木材で作られた水筒に入れてもらい、そのまま街の外に出た。

 門番に事情を伝えると、日没までに帰ってこなかったらギルドに捜索依頼を出すから早めに帰ってくるように言われたのだが、まあ俺も早く帰るつもりだし問題ないだろう。

 それでも緊急時の対処があるだけ安心できるのでありがたい限りだ。

 

 森までは徒歩で一時間ほど、リコと話しながらゆっくりと向かっていった。

 平坦な道ばかりで、周りを見回しても魔物がいる気配はない。

 それどころか冒険者とすれ違うことが多いので、危険視どころか安心して歩みを進める。

 全く警戒することもないので、リコと話しながら森に向かっていた。


 「そういえば、リコは女神様のところでほかの動物たちといたんだよな? 他の子たちはどうなったか知ってる?」

 「いえ、私が目覚めてからは見てはいません。どこに復活するかも伝えられていませんでしたし」

 「そうか、でもどうして俺たちは近くに復活したんだろうか」

 「んー、もしかしたら死んでしまう前の距離が関係しているかもしれませんね。私と冬輝様は一緒に寝ていましたし」


 確かに、でもそうすると三毛猫と柴犬、あとはあの引き取った黒猫も近くにいるかもしれない。


 「三毛猫と柴犬ほかにもうさぎちゃんやアライグマちゃん……ちょっと心配です」

 「うさぎ? アライグマ? もしかして山に住んでいた子たち?」

 「はい、山でよく一緒に遊んでいました。アライグマちゃんは活発な子でしたので大丈夫かと思いますが、うさぎちゃんは臆病な性格でしたので、一人で彷徨っていたら魔物にやられてしまうかもしれません……」

 「そ、そうなのか」


 山にいるのは知っていたが遊んでいるのは知らなかった……

 全然違う種の動物同士でも遊ぶことってあるんだな。

 意外な事実、人間のいないとこではいろんなことが起きてるのかもしれないな。


 「あ、森が見えてきました。もうすぐですね」


 お、もうそんなに進んでいたのか。

 話しながら歩いていたためか、そんなに遠く感じなかった。

 なら早速薬草探しと行きますか。

 森への入り口付近には多種多様な草花が生い茂っていて、見つけるのに苦労するかとも思ったが、案外あっさりと見つけることができた。


 「お、これか?」


 昨日見せてもらったサンプルに似た草が生えていたので解析してみる。


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 薬草


 傷の治癒に効果のある植物

 体力ポーションの材料、主に森林地帯に生えている

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 これであっているようだ、早くも目的達成だな。

 まあ、ゲームでいうところのチュートリアルみたいなもんだし、難しくなくて助かるけど。

 これだけで帰るのももったいないし、この辺の植物を片っ端から解析してみるか。


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 魔力草


 魔力の回復効果のある植物

 魔力ポーションの材料、主に森林地帯に生えている

=======================


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 解毒草


 毒を中和する効果のある植物

 解毒薬の材料、森林地帯に生えている

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 アデーツ草


 回復作用を高める成分がある植物

 薬の効果を高めることができる、主に森林地帯に生えている

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 ラーズ


 赤色、黄色、青色など様々な色のある花

 色によって香りは違うがすべての香りに神経の興奮を抑える効果がある。

 森林地帯や、平野に生えている

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 パラマ草


 身体の痙攣、痺れを抑える効果がある植物

 主に森林地帯に生えている

=======================


 おお、どれも薬の材料になりそうな植物だな。

 たぶん生産スキルを使えばこれらの植物を元にポーションとかを作れるんだろうし、持てるだけ採取しておくか。


 『解析スキルがLv4にアップしました

  解析結果に解析物の状態が表示されるようになります』


 お?頭に響く声。

 遂にスキルのレベルが上がったのか。

 スキルを使い続けることでレベルが上がるのかな?

 んー、レベルアップの条件はわからないけど、とりあえず今レベルの上がった解析を試してみるか。


=======================

 薬草


 傷の治癒に効果のある植物

 体力ポーションの材料、主に森林地帯に生えている

 新鮮

=======================


 あ、そういうことね。

 それにしても新鮮って……そのまますぎるだろ。

 これは解析するものによって変わりそうだ。

 ん? 植物で鮮度が表示されるのであれば人に使用したらどうなる。

 健康かどうか、もしかしたら病気とか体調不良の原因とかもわかったりするかもしれない。


 『対象:リコ

  解析結果:体温 36度

  健康』


 わお、ほんとに分かっちゃったよ、しかも体温まで。

 女神様に相性が良いスキルを選んでもらった訳だけど、ほんとにどのスキルも相性良すぎるな。

 解析で状態を調べて、治療で治して、生産で薬を作る。

 ある意味チートだよねこの組み合わせ。

 これが某RPGだったらパーティに一人くらいは欲しい人材だよね。

 まあ、俺は冒険なんて危険なことする気は無いんですけどね!


 「冬輝様ー、こんなに薬草が採れましたよ!」

 「やるなー。うん、鞄の空もあるからもう少しだけ採っていこうか」

 

 それからリコと手分けして、使えそうな植物を鞄に入りきるだけ採取していった。

 なんだかんだ話しながら調べながら採取をしていたらすでに二時間ほどが経過していた。

 といっても時計を持っている訳では無いから正確な時間はわからないのだが、俺の腹時計がそう告げている。


 「よし、持てるだけ採取できたしそろそろ帰るか」

 「はい、お腹も空きましたしね」


 そうだな、早く街に戻ってまだ食せていない屋台を巡るのも楽しそうだ。 

 帰ったら何を食べようかと考えながら、森を後にして町に帰ろうと歩き出したが、どうしてかな、神様はどうしてもイベントを起こしたいようだ。


 キャァァァァァーーー!!!


 森の奥から悲鳴が聞こえてきた。

 声からして若い女の子、しかも二人。


 「!? なんだ今の声」

 「今の声……もしかして!」

 「お、おい、ちょっと待てって、リコー!」


 なんだよ、いったいどうしたっていうんだよ。

 一目散に走っていったし、無鉄砲に走っていくなんてリコらしくもない。

 さっきの発言からして知っている声だったのだろうか、俺にはさっぱり分からなかったが。

 さてどうしたものか、森の奥には魔獣がいるって注意されていた訳だから普通だったら助けを呼びに行くべきなんだろうが、このままリコを置いていくわけにはいかないし……

 あーくそっ! 追いかけるしかないじゃないか!


 

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