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ペットな彼女と異世界へ  作者: らい
第一章 始まりの町
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1-2 始まりの町

「ちょっとー!待ってくださいよー!」


 リコの手を引っ張り街に入った。


 入ったら正面には屋台が立ち並ぶ通りが続いており、街の中央と思われる広間のところで十字に分岐しているようだ。

 このままリコ引っ張り続けて歩いていると目立ってしまう恐れがあるな。

 道の側面、石畳ではなく芝生になっているところにベンチがあるし、そこに座ることにしよう。


 「ふう、何とか街に入れたな」

 「まったくー、急に手を引っ張るので痛かったじゃないですかー」


 リコは俺が引っ張っていた手を痛そうに撫でている。


 「ははごめんごめん、ところでほんとにリコなんだよな?」

 「そうですよ! こちらでも冬輝様にあえて嬉しいです!」


 リコは俺の両手を握りしめて笑顔を見せてきた。

 なにこの生き物かわいい!

 この子が元は狐だったなんて今でも信じられない。


 「い、今は疑問を解消したいのだが、なんで人間みたいな姿になっているんだ?」

 「それはですねー、かくかくしかじか……」


 どうやらあの女神様が放った雷は、俺だけでなく山全域に及んだらしい。

 それでリコたち動物も死んでしまい、俺と同じように女神様から復活する流れの説明を受けたそうだ。

 リコたちにも謝罪として願いはあるか聞かれたそうだが、その際にリコは人型になりたいと言った。

 獣人がいる世界であるため、叶えてくれたってわけか。


 「女神様から、冬輝様もこの世界に生き返ると聞きました。私は同じ人として冬輝様に会いたいと思い女神様にお願いしたのです」

 「なるほどな、リコたちも生き返っているとは知らなかった。俺も知っている人にあえて嬉しいよ」


 そう話していると、俺はついつい狐の時のようにリコの頭をなでていた。

 狐の時もそうだったが、獣人になっても髪の毛がサラサラで撫でている感覚が気持ちいい。

 すると、涙が出そうな笑顔でリコが抱き着いてきた。


 「私も嬉しいですー!」


 リコさん!?結構人通りの多い通りでなんて大胆な。

 というかめっちゃ胸当たってるんですけど!

 髪もめっちゃいい匂いだし、こういう時どうすればいいんだ!? 

 くそ、前世で女性経験が全くないからどうすればいいかわからん!

 ってか待ちゆく人に見られて恥ずかしい!

 一旦、離れてもらおう。

 リコの両肩をつかんで離す。


 「ま、まあここにリコがいる謎は解けたし、これからどうするか考えよう」

 「はい、わかりました!」


 我に返ったのか、急に姿勢を正したなリコ。


 「まずは寝床の確保をしたいんだけど、お金っぽいのは金貨一枚しかないんだよなあ」

 「あ、それなら私も持っています」


 リコも女神様からもらっていたのか、ということは金貨二枚。

 価値が分からないから何とも言えないが、そこそこの金額になるんじゃないだろうか。

 となれば宿屋を探すのと物価を調べないと。

 さっきから賑わいを見せている屋台から流れてくる匂いに負けてお腹が空いてきていたのだ。


 「リコはおなかすいてる? 屋台で食べ物でも買おうか」

 「実は少しおなかすいてたんです。えへへ」


 立ち上がって歩き始めるとリコは俺の右腕を抱きしめて来た。

 恥ずかしいんですが……


 屋台を見て回ると結構いろいろあった。

 パンのようなものや串焼き、スープ、飲み物、野菜スティックなんかも売っていた。

 歩きながら食べれるだろうし、串焼きなんかが妥当だろうか。

 串焼きを売っているのは大柄なおっちゃんだった。


 「おっちゃん。それ二本くれないか」

 「おう!二本だな。それじゃ100マイルだよ」


 通貨単位はマイルっていうのか。覚えておこう。


 「持ち合わせはこれしかないんだが」


 金貨一枚を渡してみる。


 「金貨か、ちょっと待ってな」


 よかった、ちゃんと使えるようだな。

 事前に解析していたので共通通貨だということは知っていたが、まったく知らない物をお金として使うのは抵抗がある。

 初めて海外に行ったときとかも、ほんとにこんな小さなメダルがお金なのだろうかと思ったこともあったな。


 「ほい、お返しだよ」


 おつりは小さな布袋に入れてくれた。

 中には銀貨九枚と銅貨九枚が入ってる。

 ということは


 銅貨一枚、100マイル

 銀貨一枚、1,000マイル

 金貨一枚、10,000マイル


 ってことだな。

 日本の物価と比べると、屋台の串焼き一本500円だとして

 1マイル=10円ってところか。

 リコの所持金と合わせて19,900マイル

 日本円にして20万ってとこか。

 餞別としては多い気がするが、少しの間は生活できそうだ。

 女神様、もらったお金が少ないんじゃないかと疑ってすいませんでした!


 「ほれ串焼きだよ! となりのべっぴんな嬢ちゃんがおなかすかせたような目で見てるんで一本はおまけだ!」


 べっぴんか、確かにリコはめちゃくちゃ可愛いよなぁ。


 「ありがとう、ここに来てまだ何も食べてないから助かるよ。ところで今日の宿を探しているんだがどこにあるか教えてくれないか?」

 「宿かい? だったら広場のとこを左折した通りにあるぞ」 

 「助かった! 落ち着いたらまた買いに来るよ」

 「まいど! まってるぜ!」


 そう言うと俺とリコは軽く手を振って屋台を離れ、さっきのベンチに戻った。

 宿の情報も手に入ったので少しだけのんびりしようかな。


 「ほれ、リコの分」


 リコに串焼きを一本渡す。

 ほう、見た目的に牛肉に近そうだな。

 たれをつけて焼いてあるため香ばしい匂いを放っており、とても食欲がそそられる。

 あれ、こんなに旨そうなのになかなかリコが受け取ってくれない。

 もしかして肉って嫌いだったかな?


 「あの、前みたいに冬輝様に食べさせてもらえませんか!」


 なんかめっちゃ期待のまなざしを向けてくる。

 確かに前世では手のひらに餌を乗せてあげていたことも多かったが……

 今は狐の姿じゃないし、こんな美少女になられちゃ恥ずかしいよなぁ……

 

 「あー……恥ずかしいから一口目だけな」


 串を手にもってリコの口に近づける。


 「ありがとうございます! ハムッ」


 器用に串から肉を外して美味しそうに食べている。

 肉の残った串はリコに渡して俺ももう一本の串を取り出して頬張る。

 確かに、タレが香ばしくとてもうまい。

 せっかく買った初めての食べ物だ、ゆっくり味わって食べてから宿屋に行くとしよう。


1章が終わるあたりで登場キャラの詳細をまとめて掲載したいと思います。

とりあえず今言えるのは、リコはかわいいです!(確信)

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