表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ペットな彼女と異世界へ  作者: らい
第一章 始まりの町
2/39

1-1 新しい世界

 『ユニークスキル 親愛なる者 を獲得しました

  治療スキルを獲得しました

  治療スキルがLv3にアップしました

  生産スキルを獲得しました

  生産スキルがLv3にアップしました

  解析スキルを獲得しました

  解析スキルがLv3にアップしました』


 機械的な声が頭に響き意識を取り戻した。

 目が覚めると、視界には雲一つない青空が広がっていた。

 優しい風が肌をなでる。

 目が覚めて数秒間ぼーっとしていると自分の身に何が起きたかを思い出した。


 「そういえば俺、死んだんだったな」


 体を起こして周りを見渡す。

 周りには何もない草原にいるようだ。

 女神様、なんてところに復活させてくれたんだ……

 何もしらない俺にいったいどうしろっていうんだよ。


 とりあえず近くをうろついていると、遠くのほうに石の壁のようなものがある。

 あそこが町だろうか。

 近くにある草の生えていない土道があったので、そこを歩いて行けばたどり着けそうだ。

 町の反対側には森林地帯も見えるが、とりあえず町に行くのが優先だろう。

 魔獣なんてものがいる世界らしいし、森なんて入りたくもないしな。


 町へ向かって歩いている途中持ち物を確認したがポケットに入っていた金貨1枚だけだった。

 貨幣価値はわからないが女神様がくれた餞別だ、大事にしよう。

 それとスキルも確認した。

 確認したと言っても、事前に女神様から教えてもらっていた。

 今俺が使えるスキルはこんな感じだ。


=======================

 スキル

 治療 Lv3

  ・洗浄ウォッシャー:物体を洗浄する。除菌も可能

  ・治療キュアー:軽度の損傷を治療する。

  ・状態治療ピュアー:軽度の状態異常を治療する。


 生産 Lv3

  ・生産:魔力を用いて手作業よりも簡易的に生産が可能。熟練度によって出来栄えが変わる。

  ・分解:物体をその物体を構成する要素に分ける

  ・効果上昇(パッシブ):生産物がもたらす効果を上昇させる。


 解析 Lv3

  ・一般的な情報の表示

  ・相場理解 解析地での一般的相場

  ・生産地域、生産者の表示

=======================


 スキルとは、発動したいというイメージをするだけで、あとはMPを消費して勝手に発動するらしい。

 何かスキルを試そうと思ったのだが、怪我もしていなければ、材料を持っているわけでもない。

 解析するにしても何も持っていないし……

 あ、さっきの金貨に解析スキルを使ってみたらどうなるのだろうか。

 何事も物は試しだ。

 俺は金貨を手に取り、金貨の情報が知りたいと考えると、ウィンドウのようなものが目の前に表示された。

 そこには解析対象である金貨の情報が記載されていた


=======================

 マイル金貨


 世界共通の貨幣

 偽造防止のため特殊な加工がされている

=======================


 どうやら考えるだけで発動するようだ。

 やはりこの金貨が貨幣で間違いないようだ。

 それに金貨というくらいなのだから、銀貨や銅貨などもあるだろう。

 そう考えれば、そこそこの資金になるのではないだろうか?

 ……でもあの女神様少しだけ頼りないところあるんだよなあ。

 実は紙幣もあって硬貨は百円くらいの価値しかありませーん、なんてことにはならないよね……

 少しだけ不安に感じながらも歩き続けていると、外門と門番らしき人が見えてきた。

 起きた場所から一キロほどあったが、平坦な道だったため特に疲れることもなくたどり着くことができた。 


 門の前では門番と女性が話しているようだ。

 話している女性は赤色の瞳に茶色の髪、狐のような耳や尻尾をはやしている。

 少し幼さのある顔がとても可愛いく、女性らしい凹凸のある整った体型だ。

 これが獣人と言う奴なのだろうか? 

 見た目的に言えば女子高生に見えなくもないが、おそらく二十歳くらいだろうな。

 そんな女性がなぜ荷物も持たないで町の外にいるのだろうか。


 「あのー、中に入りたいんですけど。何かありました?」


 何を話しているのかわからないが早いとこ町に入りたかったため門番に声をかける。


 「あ、ちょっと待ってくださいね、こちらの方の事情を伺っていますので」

 「だから、ある方を探していてこの街にいるかもしれないから入りたいんですよ!」

 「そうはいっても、ギルドが発行するステータスプレートか、商業許可証が無いとすぐには入れられないんですよ、そうでない場合は審査が必要なので少し待っててください」


 女性にそう伝えると門番は一度、街の中に入っていった。

 あー、街に入るには証明が必要なのね。

 そりゃそうか、じゃなけりゃ門番の意味がない。

 さてどうしたものか、異世界からきました!なんて言えないし、適当に医者ってことをうまく使ってごまかすか。

 街の外壁に背中を預けて地面に座りながら言い訳を考える。

 考えながらちらっと先ほどの女性のほうに目を向けると目が合った。

 相手は俺をずっと見ていたようだ。

 目が合ったとたん、彼女は目を丸くしてゆっくりと近寄ってきた。


 「も、もしかして、ふ、冬輝様ですか!?」

 「へ? どうして俺の名前を?」


 なんと相手は俺の名前を知っていた、しかも様なんてつけている。

 俺にはこんな可愛い知り合いなんていないぞ。

 と言うかここは俺がいた世界ではないのだ、知っている人がいるほうがおかしい。


 「あ、この姿を見るのは初めてでしたね。私はリコです! 山で助けていただいたリコです!」

 「リ……リコって、狐の?」

 「はい!」


 は? いやいや、ちょっとまて、なんでリコがここにいる。

 というかなんで獣人に?確かに狐っぽい見た目はしているが……全然違いすぎるだろ!

 しかもなんでこんなに美少女になっているんだよ!

 

 「えっと、もしかして探している人っていうのは」

 「冬輝様ですよ! 女神様から同じ世界に転生すると聞きましたので!」


 何その情報、俺には話してくれていなかったのだが……

 というかリコも死んでしまったのか、もしかしたらあそこにいた生物はみんな死んだのかもしれないな。


 「ま、まあ何となくわかった。とりあえず俺は街に入りたいからリコも口裏を合わせてくれ。詳しい話は街に入ってからにしよう」

 「わかりました!」


 しばらくすると書類をもって門番が戻ってきた。


 「お待たせしました、あれ、お二人はお知り合いだったのですか?」

 「ああはい、この子と行動していたのですが途中ではぐれてしまって、それで私を探していたみたいです」

 

 二人で旅をしていた、それを装って言い訳を並べていこう。

 ばれたら……本当のことを言うしかないけど。


 「そうでしたか、それで貴方はどういったご用件でしょうか?」

 「私は医者をしている者でして、薬の材料が欲しくて街に入りたいんだ」

 「医者?というと治療師様でしたでしょうか? 申し訳ございません、あまり旅をされているような格好には見えないのですが」


 材料を求めて旅をしている人、これなら大丈夫だろうと思っていたが、確かに俺は手ぶら。

 こんな奴が旅をしているようには見えないよな。

 それにもし医者だとしたら証明書なんかも持っているだろうし、完全に俺の考えが甘かったな。

 今更この設定を変えれないし、それっぽい嘘を並べていくしかないか。

 その前に一旦医者っぽいことしてみれば信用度は上がるかもしれない。


 「ちょっと見ていてもらってもいいですか?」


 俺は足元の草を右手に取り、草で左手の人差し指に切り傷を付けた。


 「イッ!」


 血が少しだけ出てきている。

 まあまあ痛かったがここは我慢だ。


 「冬輝様!?」

 「ちょっと君! いきなり何をしているんだ!」

 「いいからいいから」


 突然の奇行にリコと門番が驚いたようだ。

 当たり前か、街に訪れた人間がいきなり自傷行動に及んだのだからな。

 ま、問題はここからなんだけど。

 さっき解析スキルを試したときは考えただけで発動したんだ、うまくいってくれよ。


 「治療キュアー!」


 右手で傷ついた指にそう言いながら念じてみた。

 すると傷がついている部分が淡く緑色に光りだした。

 なんだか温かい、凄く安心感を感じるのはスキルの能力かな?

 そんなこと思っていると光が消え、さっきまであったはずの切り傷はきれいになくなっている。


 「ほう、治療スキルですか。珍しいですね」


 どうやらうまく見せることができたらしい、門番も興味津々だ。

 リコなんて俺の腕を掴むと、不思議そうに傷があったところを見ている。

 一応旅のお供という設定でいるので、門番に怪しまれないように落ち着かせる。

 

 「はい、まあまだまだ使いこなせていないんですけどね。私の手荷物が少ないのは、旅をしている最中に魔物と遭遇してしまいまして、この子とはぐれただけでなく持っていた荷物を鞄ごと落としてしまったんですよ……」

 「なるほど、それは不幸でしたね。治療スキルを持った賊なんて聞いたことありませんし、入っていただいてもいいでしょう」


 リコは急に進んでいく話についていけていないのか口をパクパクさせているな、打ち合わせもしていないし無理もないか。

 ちょっとかわいいし放っておこうかな。


 「ありがとう、よし、入るぞリコ!」

 「ちょ、ちょっと、ま、え? えええー」


 そんなこんなで、俺とリコは街の中に入っていくのだった。


スキルに呼び方をつけるかどうか悩む。

いっそドラ○エの呪文をパクっちゃだめかな?(ダメですよね)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ