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8.設定

遅くなりました!


任務受付所にいた女性は既に睡眠モードに入ろうとしてたところだった。

そこにガルガンチュアが声をかける。


「んっ、ふうああぁあぁ。す、すみません。あまりに暇でして。」

「ああ、確かに暇そうだったな。」

「午前と午後で、任務受付所が忙しい時間帯と達成受付所の忙しい時間帯が違うんですよ。今は午後なので、あっちの方が忙しいんです。」

「なるほど、そういうのがあるのか。」

「ええ、でもさっきあなたがいた受付の人、いつも暇なんですよ。」

「…そうか、それであんなに。」

「……なんにせよ登録する人とかって1日に最高でも10人ぐらいかですからね。」

「あとで()()()()でも持ってくるか。」

「あれ、やけに優しいんですね。」

「…あとは彼女の名前を教えてほしいんだが。」

「……へえ、なるほど。……じゃあ耳貸して下さい。」

「……ふむふむ。なるほど、わかった。」

「…それで依頼ですね?初依頼は私が決めてもいいですか?」

「?なぜだ?」

「貴方みたいな人は初任務で何か絶対やらかしますからね。…というより初任務は私が決めるのが取り決めです。何しろ数字だけでランク付けしておいて思った以上に実力がなかった場合、最悪死にますし。相性とかも説明したほうがよろしいかと。」

「うっ...なるほど。」

「ではステータスを見せてみて下さい。」

「わかった。」

「…………え、っと…これは……。」

「?」

「ランクCか、ええとこれは…」


そういうと机の棚の中にある本を取り出し、何かを調べ出した。

おそらくランクCの敵には何が合うかわからないのだろう。


「ええと、ランクBじゃないんですか?」

「ああ、リアはステータス的には上とかなんとか言ってたが。」

「なるほど、()()()Cに…。では一回パーティーを組んでみる事を推奨します。現場で活躍している方を意見を聞いた方がいいと思うので。」

「…つまり、飲食店へ行けと?」

「ええ。」

「…駄目だ、今はお金がない。」

「なるほど、でもおそらく大丈夫です。その強さだと奢ってもらえるんじゃないですか?」

「なぜだ?」

「聞いた話、ランクCからは特定でランク上がるごとにお酒一杯がついてくるんです。」

「なるほど。」

「まあ、とりあえず店へ行ってみて下さい。」

「了解した。」


先程の受付の女の人はリアというのか。

覚えておこう。


そして、そのまま店へ…いや、まずトイレだ。


『トイレ行ってください。腕輪を虚空源史化させたいので。』

『わかった。』

『では、そこにいる冒険者にトイレの場所を聞いてください。』

『うむ。』


そいつは爆弾が爆発した時の煙のような型の黒髪、肌は黒い色をしていて、真っ白な歯が目立つ冒険者だった。

背中には長く、太い大剣のようなランスを装備している。

結構細身だが、技術はありそうだ。常にリズムを忘れていない。

自分のタイミングで、一定に保っている。


「ちょっといいか。」

「おぅ、どーしたんだよマイメン。」

「俺はラウト、あんたの名前は?」

「俺は()()()()()()()()()のローだ。しっかり名前覚えとけよ。」

「ほほう。君は面白いな、ロー。」

「やっぱりそういうノリ、わかって酒盛り。成立盛り上がり!っつって。」

「…………はは…、確かにな。」

「それよりラウト、要件はなんだよ。メーン!」

「ああ、どこかトイレないかと思ってな。」

「よお、階段を上がってすぐそこだよぉ。」

「ありがとう。助かる。」

「ノープロブレム、いいんだぜ。」

「ああ。」


いや、いい奴だ。

いい奴だがなんだあの口調は。

自分のリズムに合わせて言葉を言っていた。

もしかして、そうやって戦闘においてのリズム感を鍛える練習なのか。

確かに語尾の母音が揃ってたところもありまあ面白くはあったが、途中失敗していた気がする上に謎だった。

あるいは…。

いや、あれがそうだとしたら下手過ぎだな。


肌もあんなに黒い人物は見た事ない。

面白い、人間は。

こう考えてみると人間には色々な人種がある事がわかるな。


『面白いですね、彼。』

『ブワッはアッハあああっは!なんなんだあれは?』

『…もしかしたらあれ、ラップですかね。』

『ああ、んっっ!待て、何故汝はそれを?!』

『……父親がそういうのに詳しかったので。』

『う、うむ。なるほど。』


危なかった。

もう一つ隠し玉があるのに気付かれてしまいそうだった。

()()()()()、ファウンダータイプ。

血のつながりのある者や似た種族の者の記憶や情報が全てファミックレコードという空間がある。

そこにアクセス出来る様になるアビディティーの事だ。

全ては知れないが、少なくとも色々な事は学べた。

ある違う世界の種族は人間にペットにされていて、その人間がラッパーという職業を持っていたという情報はこのアビディティーで知った。

まあそのあとはそのラッパーのラップを調べてみたが、正直何も感じなかった。


…しかしながら、ラッキーだ。

これで、ガルガンチュアがかなりの高性能なファウンダータイプのアビディティーを持っている事が確定した。

これは味方にいても損はない。

色々な知識を知れそうだ。


ガルガンチュアは鈍感かつ間抜けだからおそらく気づいているのを気づいていないだろうが。


そして、2階へ続く階段へ上がる。

上がるとすぐあったのが、案内図。

隣にはトイレ。


トイレに入った刹那、虚空源史化。

この際かなりの真核を使うが最速かつ最高品質で行う。

一気に1割減った。

昔だと別にそこまで減ったとは思わないのだが、最近は滅多にここまで減らないので正直不安になる。

しかし改造もしたので結構いい仕上がりになっているとは思うが。


そして、私が生み出した新たなアビディティーが始動する。


視界の上のところに表示が出る。


[初期設定。センサーシステム及び解析システム、起動。本人の情報を読み込み開始。]

[真核接続設定、完了。その他、1万個の設定、完了。]


改造はいい感じである。

腕輪ではなく、()()()にしてより効率よくしてみた。

コードネームも考えよう。

あとは、ヴィジュアルだ。

シンプルで見やすいやつがいいな。


[コードネームをゲゼルシャフト(觧絶路卸譜頭)に決定。ヴィジュアル設定完了。通知設定変更、完了。]

[スキルの解析を行います。]


ヴィジュアルは、モード形式で使い分けられる様にした。

何も見えない普段用、探索用、戦闘用、思考用の4つだ。


腕輪を虚空源史化する最大の利点。

アビディティーだ。

アビディティーは感覚が目覚めれば使える様になる。

しかし目覚める過程がいまいちわからないのだ。

真核が作用しているのはわかるが、その先がわからないからだ。

そのため、アビディティーを完全に使いこなす事は、現実的に難しいのが現状。

しかし先程の腕輪、スキルやアビディティーを認識出来る素材で出来ている事がわかった。

そんな素材はないはずなのだが…と思いつつ見ていたが、私でも今まで知らなかったものだった。

今度取りに行こう。


ところで、私のステータスは…


[ステータス、解析完了。表示します。]


======================================


ステータス : ミダラ



属性:無

総魔力量:1,000,000

総真核量:140,670,023

魔力コントロール練度:100%

魔力変換率:64%

潜在性:450%


アビディティー

虚空源史化、潜識図書館、觧絶路卸譜頭、属性変化、彗則制現、穢扉開錠、絶度操作、震動操作、重力操作、物質創造、反質創造、第七感知、除可破理、⁇⁇⁇

状態:通常



=======================================


総魔力量はまあまあだ。

ガルガンチュア、ぐらいはあるはずだ。


しかし、こんなにアビディティーがあったのか。

あとでそれぞれ見てみるか。

だが最後のアビディティーはなんだろう。

それだけはかなり気になる。

見てみるか。


[アビディティー‘⁇⁇⁇’:エラー]


読み取れないのか。

これは………何かワクワクしてきた。


だが考えなくても今はいいか、機能はしてるし。

わかるものがわかるのだから、それでいい。

思った以上にあった上に個々も結構強力そうだ。


『もういいですよ。出て、って。ちょっと……。』

『っっっあぁっはあ、気持ちいい。』

『なんで私がいるのにおしっこするんですか。』

『あっ、えぇーええとな、これはな、なんか人間はトイレ行ったらおしっこするのがマナーなのでな。それにぃぃ?せっかくこの体なんだ、開放感っていうのか?それを味わってみたかったのだ。』

『……そうなんですか?第一そうだとしても一声かけてからしてくださいよ。』

『あぁぁあ。わかった。』

『はあ。』


それじゃあ女性に対するマナーは?とか言いたくなるが。

まあいいか。

動揺もしないし、特に何も思ったりしない。

性欲はとうの昔に無くなっている。

…。


さて、トイレから出て次すべき事は、店だ。

そして、パーティー決めと情報集めだ。

ヒューズくんも何かしらしてくれているからな。

早く行こう。


階段を下る途中、文字が目に入ってきた。

どうやら階段を上がる時には振り返らないと見えない仕組みになっているようだ。

そこには、


“冒険者は、如何なる時もルールは守るべし。王の目が貴方を見ている。”


とあった。

…ああ、あの呪印の事か。

あれは監視系の呪印だったが、そういう理由か。

こんなくだらない事に魔力を使うのか。

まあ、都合のいい様に書き換えさせてもらったが。


『入ったら先ずヒューズに話しかければ良いのか?』

『ええ、もちろんです。』


そう言って飲食店の中に入る。

リューズくんは未だに他のパーティーに交渉していた。


「おおぉいたいた!マイメン!イケメン!」


ローがこっちへ来て話しかけてきた。

酔っ払っている。

勢いのまま彼のカウンター席の隣に連れて行かれる。

彼は既に5本の酒瓶を飲み干していた。

彼は強引に自分の席の隣にガルガンチュアを座らせ、コップを用意して酒をついだ。


「お"お"ぇ"、あええ悪い悪い。」

「……う、うむ。」

「ほれ、あげるぜ。今日は俺の奢りだあ。」


『……まずいですね。』

『ああ。この男、何を知った?』


「ヒューズくんから聞いたぜえ。」

「あ、ああ。知り合いなのか?」

「おおよお。それよりよ。ステータス見せてくれよ。」

「ええ?!…ああわかった。」


相手を自分の勢いのまま引きづり込み、言う事を聞かせる。

念おしで酒を飲み、敢えて自身を制御不能にする。

そしてより確実に流れをそっち側にもってこうというわけか。

凄い…私にも予想が出来なかった。

逆に酒は娯楽だけではなく、そういう方法でも使える事ができるのか。

面白い…こいつは、デキる!!!

これはガルガンチュア絶対に見せる流れだ。

つまり、ローの勝ちだ。



そして案の定、ガルガンチュアはローに自分のステータスを見せた。


「…おお、初めてでこれか。凄えぜ!ってかテイマーか?珍しいな。」

「まあな、一応魔術も出来るがそこそこだ。」

「お、まじかよ。じゃあうちのパーティ、カモーンだよお。」

「?!本当か!?」

「なんで信じねえ?てやんでえ、まじやでえ!」

「…なるほど。しかし、どういうパーティーなんだ?」

「おおよお。紹介するぜ。ついてこい!」


いきなりだ、いきなりすぎる。

なんなんだこいつは。

本当にそうなのか。


それに、ヒューズくんがいないのも不可解だ。

…おかしい。


「待て。その前にローのステータスもだ!」

「んだよ、めんどくせえ。ヤダよ。」

「だめだ見せろ!こっちは見せたんだ。」

「そんな前提話してない。だから絶対見せない、よお!」

「見せろ!」

「だめだ!」

「見せろ!」

「だめだ!」


……はてさて、どうなることやら。


結局、ステータスは見せて貰えたが、ガルガンチュアことラウトはボコボコにされていた。



==========================================


冒険者ステータス


名前:ロー

種族:阿弗利加族

職業:戦士

属性:火、風

ランク:A

経験値:503,000


総魔力量:1139

魔力コントロール練度:29%

潜在性:150%


アビディティー:創造思考、思考加速、炎鋭化、風鈍化、拡焔散波、酔剣感覚、温度干渉、重力干渉


状態:泥酔、軽傷


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