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6.決断

ミダラの過去が明かされた....。



=================================




「こうして私は、虚空源史化を手に入れました。」

「んなるほど、それは…辛いな。」

「……まあ、それを知るのは後の話ですが。」


「それで?」

「…ああ、実はこれ、人間が裏で動いていたそうで…」

「ほう?」

「私達がダンケルクと魔術師に出会う一週間前、どうやら猫又族と人間が()()()()をしていたそうです。」

「…つまり、共謀という事か?」

「…厳密に言えば、人間側が半ば強制的に交渉させたんでしょう。例えばダンケルクなど、武力的制圧が可能な物を連れて。」

「なるほど。」


「その内容が、

1.妖狐族に一週間後、『そこそこ強い勇者がやってくる。結界をはって警戒する様

に』という(デマ)を流す。

2.妖狐族に生き残りがいて猫又族の集落に来た場合、直ちに報告する。

3.尚、この契約を断る場合には猫又族の集落全体を焼け野原にする。

といった物でした。

これが、最期にクインが一生に一度の思念波魔法で教えてくれた事件の真相でした。」


「…それで、作戦実行か。」


「ええ。

それなりの魔術師を呼び出し、広く中密度で作られた結界を発見。

しかしながら妖狐のものかは不確定なので様子見。

幸いにも一時的に解除された為、中にいる何かのの位置を探る。

その個体が行こうとしている先を見て、どう動くか決める。

幸いその個体は妖狐の子供数匹。

魔力感知を持っている魔術師が目視したため、魔力量は確認済み。

強くはないので罠にかけてみる。

勇者ダンケルクは発信機能付きの分身体の探知機を持ち、待機。

妖狐が魔術師分身体を倒し、探知機を使い、ゆっくりと追う。

そのまま別で猫又族が逃げていないかの確認をしていた魔術師と合流。

妖狐族と決闘。

思った以上にギリギリの勝利で魔術師の浪費が激しかったので、魔術師を休ませる。


その頃猫又族は事実を知られる為に誰かがクインに思念波魔法を送る。

クインの食事にも思念波魔法を出せる様になる特殊な薬を密かに盛る。


戻って勇者側、魔術師の遠距離魔力感知によるとやはり取りこぼしがあったらしく、そのまま猫又族の集落へ。

そして、契約通り仕事をこなした猫又族から報告を受けて、そのまま焼き払う。

そのまま旅立った妖狐族を追う。

そこで変装し、猫又族を殺した事を見せた上で抹殺。

……僕の予想は、こんな感じです。」


「……しかし汝は話が長い!もっと短くならんのか!」

「仕方ないでしょう、全部の説明求められたんですから。」

「むう…まあ、よいわ。」


はあ、疲れる。

しかしこれぐらい説明しなければならないのだ。

今の自分の為にも。


体感50億年になると、たまになんの為に生きてるかわからくなる。

一種の精神病である。

今の私は精神がある意味寿命を迎えた事により、精神が崩壊寸前。

心が動かない、というのが現状だ。

しかし私は毎週一回は、その事を思い出そうとしている。

そうでもしなければ、心が全く動かくなるからだ。

故に出来た事もあるが、正直辛い。


「……浮かない顔だな。やはり今でも辛いか。」

「ええ、しかしかなり長い間虚空空間にいた所為でもありますね。」

「……なるほど、その中でも体感時間は経つのか。」

「…そりゃあそうでしょう。元々、私の能力がおかしいのですから。」

「まあ、そうとも言えるが…」

「………」

「…何故そんなに心配してくれるのですか?」

「…フンッ」

「…」

「……正直に言うと、汝を気に入ったのだ。」

「なるほど。」


久しぶりだった。

少し嬉しいという感情を思い出した気がする。

しかしながら、まだ表情になるには程遠い様だ。



そうして、夜更かしした状態で朝を迎える。

人間は夜更かしするとくまというものができると聞いた事がある。

ガルガンチュアには目の周りを少し黒くしてくれと言っておいた。


そしてまた地道に歩き始める。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





我はガルガンチュア。

現在瞑想中である。


別世界で、ある友達ができた。

名前をミダラというらしい。

うーむ、しかしながら名前がひわ…

おっと、こういうのは考えては駄目だ。

神は考えては駄目。そう、駄目なのだ。

神は名前を馬鹿にしては駄目なのだ。


しかしそのミダラという輩は強さが桁違いだ。

まるで我と強さのレベルが変わりないではないか。

まだ我のこの本体の方が若干強いが、侮れないな。

こんなに強い奴は今までみたことがなかった。

そもそもヒアティックタイプのアビディティーは五源代神とその配下、原祖の神のみが持つアビディティーだ。

我も持っていた気がするが、忘れた!


アビディティーは本来、種族や血統、本人の能力によって決まる。

しかしヒアティックタイプのアビディティーは本人の成長と共に無限の成長を遂げる為、チートレベルのアビディティーになる可能性が高いのだ。


そして何よりも…


我に暇を潰せる機会がやってきたのだ!

しかも勇者を倒すという事ではないか!

面白い、実に面白い。

激しく戦う両者、そしてそのあとの嘘の様な静寂。

これがたまらんん!!!!!!

この際どちらが勝っても構わん気もするが、ミダラ側に着いてしまったので魔王側を応援するしかないがな。

長い間同じレベルの輩がいなかったのもある。

この次元の神の世界での強さランキングで我が7番目。

神の世界では争いはあまりおこらない。

トップ15位からは争いがほとんど起きない。


しかし、これではつまらんのだ!

だから必死になって我は探した。

我に見合う力量の存在を。

…いたのである。

そして、苦節100年。ようやくその願いが叶ったのだ。

しかも強く、頭もいい、おまけに感動ストーリーまでついてきておる。

もしや彼奴ならこの神世界に革命をおこすかもしれぬ。

それだったら直に会うのが楽しみだな。

その時は戦闘訓練でもしてみよう。


おっとっと…瞑想に集中をしなければ。

なになに、その口調を変えろと…

たしかにこんなに堅っ苦しいこんな口調でずっと喋っているのも飽きたな。

仕方ない。ファウンダーアビディティー発動。

アカシックレコードにアクセス。

おお、この口調格好いいではないか。

別世界のだが、まあいいか。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





共和国アグロス。

シンボルは漆黒の城。

豊かなで壮大な自然と澄んだ空気が生む食べ物や特産品、水などは高品質で絶大な人気があるらしい。

入国審査も特になし。

さらに周りの地帯には魔物も多種多様に存在し、サービス、宿泊施設なども充実。

冒険者には最高の街である。


今私達は、城下街へ続く街道を歩いている。

ここまでくると道も整理されていて、ガルガンチュアも少しばかり楽そうであった。

人が多いのも私も最初はビクついたが少しづつ慣れた。

黒檀の群生林が周りに生えている。

いくつかの屋台が並んでいる。


ちなみに会話とある程度の地理は虚空源史化した人間を吸収して予習をしたので大丈夫だ。

それにしても虚空源史化、素晴らしいアビディティーだ。


そういえば、ガルガンチュアの会話は癖があるから直してもらおう。

出来るかわからないが、出来たらいいに越した事はない。

出来るかきいてみたが、声を調節しているのを見ると出来そうになさそうだ。

余計変になってきている気がする。


『じゃあ、この口調は()()()()()。』

『?』

『別世界の口調を使っているのです。()()()()

『何ですかそれ、凄く変ですよ。』

()()()!?!()()()()()()!』

『ほら、語彙力もダメダメになってるじゃないですか。』

『…フンッ、たしかにそうかもしれないがそこにロマンを感じないか?

ちなみにこのかっこいい口調をしてたのはパラガs』

『いやいやとにかくダサいのでやめてください。』

『…んんぅ、ではこれはどうだ!()()()()()()()()()()()()()()()!』

『うわぁ癖が強い、しかも気持ち悪い。』

『これも駄目なのか!?』

『いや、もう少し見た目通りの声というかなんというか。』

『ぬぬぅ…ではこれはどうだ!()()()()()()()()()()()()()()()()()k()…』

『ええと絶対駄目ですね。』

『くううう、即答しおって…では何ならいいのだ!』

『もう少し上品でかっこよく、癖もなく、静かな印象を与えつつ皆がカッコいいと思う声ですよ!』

『……おお、これはどうかな、』

『…どうせまた駄目なんでしょう。』

『汝はいちいちうるさいのだ。』

『じゃあ、言ってみて下さいよ。』

『“では…”』

『おお、流石は神さま。今のは正解ですね。』

『…そのお言葉、光栄に存じます。』

『でも敬語は堅いかも知れないですね。』

『…じゃあこんな感じでどうだ?』

『そう、それ。』


なんなんだこの茶番。

いやこれ本人は本気なのか。

それはともかく、一応の為の振動会話で良かった。

こんな恥ずかしい会話を聞かれたら目立ってしまうからね。

それだけは絶対に駄目だ。

改めて肝に銘じておこう。


これでやっとまともになった。

唯一困りそうなのが会話が出来るかどうかだな。

ギルドに着いてからも振動会話にして会話のサポートをする必要がありそうだ。

というより、こんなことだったら仲間を作らなければと思ってしまう。

まあ、呼び出した以上帰ってもらおうとは思わないし戦力としては最高だからな。

そこは妥協点か。


そんな事を考えてると、ふと横に森に隙間があった。

見てみると、アグロスの中央部にある城が目に飛び込んできた。

アグロスは現在共和制国家だが、ほんの9年前までは王制が続いていたのである。

そのためシンボルでもある城をわざわざ壊さず活用しているというとの事だった。

現在は最高議会、アグロスの機密機関 (通称 ロストエンジェルズ(L.A.)) の本支部、VIPの応接間、ひいては孤児院としての役割を果たしているらしい。


黒を基調とした配色、塔の配置のバランス。そして何とも言えない圧力感。

その城の天辺には盾の上に剣と槍がクロスしているお洒落な国旗が見えた。

赤と黒と黄色の配色が非常に力強く、格好良かった。

擬似人格のせいか、何故か懐かしい感じもした。

自己中心的な生き物ではあるが、まさかこんなものを作っているとはな。

少しばかり人間の事を素晴らしく思ってしまった。


しかしそれだけはではなかった。

少しだが興味があったので、一瞬上空から城をみた。

すると…

城の少し下には賑やかな城下町があり、さらにその下には住宅街の様な街並み。

東西南北4つに色分けをされていて、綺麗だった。

これを作り出したものは、天才の様だ。


ちなみに空から見たのは誰にもバレていない。

アビディティー虚空源史化で簡易的な(カメラ)を作成。

それを転移させ、上空を見て撮影。

という感じで見た。


そして、そのまま道なりに歩いて行くと道も広くなり、門が見えた。

堀の柄もまた綺麗だった。

門の端には門番がいて、目を光らせている。

一応魔力感知を持っている様だ。


「おい!そこの魔物を連れてるあんた!」

「ん?何かご用でも?」

「ここに入るとき、一応だが魔物にはこれをつけてくれ。」

「?あぁわかった。」


呼び止めた門番の手には魔力制限装置。

…なるほど、暴れるのを防ぐ用だ。

解除も出来るし、問題はなさそうだ。

門番はガルガンチュアが私に装置をつけた後、絶対外さない様にと忠告して元の位置に戻った。


『大丈夫なのか?』

『心配ご無用です。』

『なるほど…頼りになるな、汝は。』

『あと、何かあったらこちらが振動会話でサポートします。』

『おお、それは助かるぞ!』


門を抜けると、全体が黄色で出来ている場所へ入った。

色々な人々がいる。

しかし、皆活気があふれている。


突如、後ろから声をかけられた。


「やあ、ここにくるのは初めてかい??」

「?ああそうだが。」

「よかったら、案内するよ!」

「…お金とかは」

「ああしないしない。生活は潤ってるし、かっこいいからいいよ。」

「お?な…君はセンスがあるねぇ。名前は?」

「僕は、ヒューズ。ここの住人さ!」

「ヒューズか、いい名前だな!」

「所であなたは?」

「ああ、私はテイマーのガッ…ではなく、ラウトだ!」

「ラウトさんテイマーなんですね!それで魔物を…」

「ああ、かわいいし強さもそこそこなのでな。」

「へー。」

「とりあえずよろしくな。」

「うん、よろしくです!」


『ふう…危なかったな。』

『本当ですよ、本名言ったらダメですよ。』

『呼び止めありがとうな、助かったぞ。』

『全く…』


危うくバレそうだったがなんとかなった。

本名は言ってない。

やはり油断出来ないな。


少年は街の説明をしてくれた。

どうやらこの街は住宅や生活商品を売っている住宅地区らしい。

その上の城下町はそれぞれ冒険者地区、行政地区、貿易地区、生産地区に分かれているらしい。

冒険者ギルドは、城近くにあるので歩いて2日かかるそう。

馬車を使えば数十分で着くそうだ。


個人的に人間に他の生物をこき扱われるのは抵抗があったが、今回は案内人もいる事だし仕方ない。

馬車を使おうと思ったが、ある事に気付いた。

お金がない。

そう、馬車にはお金が必要だったのだ。

擬似人格に埋め込んである冒険者の魂の記憶では徒歩で歩いていたうえ、お金が必要という記憶を生前に失っていたのだ。

どうすればいいか迷っていると、馬車の場合は後払いが出来ると、ヒューズが説明してくれた。

ガルガンチュアは私に後払いにしようといい、馬車を借りる。

ヒューズも一応ギルドについてからも案内はできるらしいのでついて行ってもらう事にした。


「ではお客様、何処へ行きます?」

「冒険者ギルドへ。」

「何処か経由は?」

「大丈夫だ。直行で頼む。」

「わかりやんした。多分40分後には着きまっせ!」

「わかった。」


会話の後、馬がムチで打たれて馬車が動き出す。

やはり少し見ていられない感じがしたが、我慢だ。

馬車の乗り心地は快適だった。

適切な速度で走っているからであろう。

馬車の運転手の馬の使い方が上手いのがわかる。

それを思うとプラマイ0なのかもしれないという感じがしたが、やはりそれはないな。

自分の家族や友達は人間に殺されたのだ。

やはりいいと思うには説得力に欠ける。


冒険者地区に入ると人の雰囲気が変わった。

今まで色々な音やにおいがしたが、より騒がしくなり汗くさくなった気もした。

人間の発する匂いは独特だ。

汗やオナラの匂いはあまり好きではないが、たまにいい匂いをしている人間もいた。

擬似人格の魂の記憶を少し深く調べたら、いい匂いは香水と呼ばれるものにより出されるものだとわかった。

私自身魔獣なので、匂いを消すのには丁度いいかもしれない。

そして冒険者達はやけにこちらを見て、


「あれテイマーか?」

「おお、珍しいな!パーティーに入れるか?」

「いやー俺達のパーティーではいいだろ、相性的に。」


などと言ってる。

テイマーはやはり珍しい様だった。

やはり少し目立つか。


『これは愉快だな。』

『何処がですか、汗くさいし騒がしくて嫌ですよ。』

『汝はこーいう感覚を知らんのか。全く。』

『何ですかそれ。』


ヒューズはというとどうやらギルドは初めてらしく楽しみだと言っていた。

知ってはいるが、知り合いの冒険者の話を聞いただけで実際に行った事はないそうだ。


しばらく会話が途切れると、


「もうすぐ目的地ですぜ!」

「お、おぉ?これは凄いな!」

「わーい、ギルドだ!」


目の前には大きなテントみたいな屋根のついた建物。

トレードマークの“G”が派手だった。

素材は布っぽいが、耐久性は金属よりも硬そうだった。

おそらく蜘蛛系の魔物の糸を使っているのだろう。


後ろには旗が立っている黒い一番高い塔がある。

また素晴らしいと思ってしまった。

ガルガンチュアもヒューズも、嬉しそうだ。

………今更ながら、人間は本当に殺していい存在なのか。

そう思ってしまった。


馬車を降り、見上げる。


「……凄いな。」

「うん!」

『そうですね。』

「見て!狐さんも尻尾振ってるよ!」

「おお、嬉しいか。」


久しぶりだな。

こうもいいものを見られるとは。

人間は凄い。

こんなことができるとは。

心の奥底で、私は素直に驚いていた。

あの世界一の弱肉生物が、ここまでできるとは。

いや、人間だからできるのか。


私は少しだけ人間に対する見方が変わった。

そして、決めた。

今度は出来るだけ、冷静に、私情を挟まず、じっくり観察してみると。



そして二人と私がギルドへ歩く。

二人の瞳が綺麗だった。

何処か、懐かしい瞳だった。



如何でしたでしょうか?

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次回は、4月1日に投稿したいと思っています。

楽しみにしていてくだサイ!

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