29.考察
テオティワカンにて........
それから私は、初めて本当の意味で時間をかけて考えた。
音楽を聞きながら、それを聞く周りの人間を見ながら。
理由としてはこういうのは直に聞き、感じる事が大事だとアンディークのリピートの後に思ったのだ。
論理的に正確な虚空間内では、こういった物は再現出来ない。
虚空間ではなぜか生命を作る事が出来ないのだ。
従って、本当の意味で聞く必要があるかもしれない。
そう言う思いつきもあっての事でもある。
すると不思議な事に、真核が自然にぼんやりと感じれる様になった。
厳密に言うなら、周波数を感じられる様になったと言うべきか。
まるで音を聞く様な感覚だ。
なんと、珍しくゲゼルシャフトが虚空間内以外で通知をした、のだ。
ゲゼルシャフトもいつの間にかグレードアップしたようだ。
さらに詳細を頭の中だけで再現できるようになり、虚空間内に移動せずとも結論がわかるようにもなっていた。
詳細を見ると、真核を周波数で現わせる説は正しかったようだった。
...感覚を集中させる。
すると生物がいる場所は、真核が周波数が高く感じれた。
敢えて表現するなら、ずっとポーという様な音を聞いてる感覚だ。
だが生物の種類によって若干違う所があったり、その感情を露わにしてる生物ほど真核が高くなる傾向があったりもした。
さらに慣れていくと、今度は感じ方が変わる。
より細かく、感じられる様になった。
段々と、一度に聞ける種類も増えてきた。
とりあえず、一日目はそうして終わった。
朝だ。
起きる。
近くの森の奥にあったミニオンギツネの古巣を使って寝ていたが、快適だった。
やはり種は違くとも同族だからか、寝床に対する感覚は同じのようだ。
ずっと穴にいるのは辛いので、虚空空間を移動し、別の場所へ移動する。
ちなみに、虚空空間を通しての移動には誤差が生じる。
謎の力の干渉によって、正確に行けることが出来なかったのだ。
だが、真核を感じる事ができる今は少し違う。
真核が生み出す誤差を考えて、移動。
何故か...10cmズレたが、上出来だ。
以前よりはマシになった。
場所は、昨日の近くにあった気になった酒場だ。
昨日聞いたグループがいた。
ピアノも加わり、より細かく音が入り組んでいて、それが気持ちいい。
...気づく。
いつもと感覚が違う。
よく周りが見えるというか、感じれる。
気配や雰囲気を感じ取れやすくなったのだ。
例えばもともと良かった耳がさらに良くなった。
音の存在、量、進む向き、伝わり方、響き。
生物が鳴らしている音なら周りのほぼ全てを完璧に把握出来る。
...不意に生命の実と智慧の実の話について思い出した。
智慧の実が創造思考なのは理解出来るが、あの魔物の因子とは何だろうか。
考えて見れば、魔物と人間は元々別の世界の生き物だ。
魔物はパンドラから生まれた生き物だ。
ゆえに何か彼女につながる物が魔物の因子となるのが筋だ。
彼女の空間を思い出す。
というか、彼女曰くあの空間はアビディティーによって生み出された物のはずだが、何故彼女の真核は無いのにあの空間は発現していたのだろうか。
...やはり、彼女には真核が無いのではなく、私が完全に感知出来ないだけではないのだろうか。
つまり、パンドラは生きているかもしれない。
その瞬間、世界の端っこ、世界と世界の境界線を感じた。
ここから先へは、踏み込めない。
つまり平行世界を直接感知出来たことになる。
ここからあと一歩踏み出せれば、神になれる。
そう確信した。
...ゲゼルシャフトからの通知。
[世界の境界線の発見により、“創造思考-仮”を獲得。]
[これにより、擬人化が可能になりました。]
...ついに本命が来た様だ。
お待たせいたしました!
今回はかなり短めです。
いつもアンチブレイバーを読んで頂きありがとうございます!!
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次回もお楽しみに...。




