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2.召喚

そしてミダラは、アイツを召喚する!?


………………………………………………………………………………………………



案外呆気無かったな。

表情は最高だったが持続時間がなかった。

死に様の面白さ、60点かな。

まあ、いいか。

いい男だったし。

とりあえずこいつは消すと。

スナップをして、相手を消した。

厳密に言えば、虚空空間に保存した。


虚空源史化(きょくうげんしか)である。

虚空源史化とは、この世界から特定の存在を虚空空間中に移動させ源史化、大まかにいえば、ものの状態を戻すのである。

時間を戻すのと違うのは、戻した分だけその物質や情報を全て奪う事ができる。

そして、それらはすべて自分のアビディティーやスキルとなる。


そしてその虚空空間中では自分の好きな事が出来る、なんでもだ。

しかも現実の時間を止めたままで、だ。

何故か?

愚問である。


そこは、()()()()がいる。

つまり自分だけがその空間の支配者という事。


よくその空間で、色々な考えや技を一人で身につけた。

たまには途方の無い時間をかけて、宇宙の真理を説いた事もある。

まあ、精神上時間がかかっただけなので理論的にはなんの問題もないが。

だが、これのお陰で自分が存在するといっても過言ではない。


まあ、自分が語りはこのあたりにしとこう。

それよりもアビディティーやスキルを自分のものにするのが先だ。

そして私は別空間の時間を操って、その空間を隔離化と転送、統合化を使って自分の中へ吸収する。


今までは憂さ晴らしに人を殺してきたが、この戦いでつまらないと感じた。


よし、また籠ろう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


私の唯一の居場所、住処と言える空間。

虚空空間である。

相変わらず最近の私は、虚空空間の中で人間の仕草や行動、考え方などを学習している。

最近はこれの繰り返しであった。

ここ最近の研究成果の擬似人格はもうすぐ完成しそうだ。

もっと荒く作業してれば簡単に終わったかもしれない。

しかし念には念を、迂闊には動けないのだ。

もしこれで失敗したら元も子もない。

人間の中に潜り込めるなら、これぐらいは我慢我慢。


私が今まで主に研究してきた事。

それは、この世の見えない力についてだ。


…この世には目に見えない力が3つ、存在する。


一つ目、磁力=>金属が2つの属性を持つ事によって起こる力で特定の属性の魔法を発生させたり、強くできる。


二つ目、重力=>質量がある物体が必ず持つ力。質量が大きければ大きいほど、重力は大きくなる。


三つ目、魔法=>別名は根気(チャクラ)、魂、奇跡、馬鹿力など、色々ある。

論理的に不可能であろう色々な事象を可能にする特別なもの。または我々の様な命があるものや、感情、意思、と言った目に見えないものやエネルギーの事をいう。


魔法は興味深い。

かつて真核(しんかく)と呼ばれるこの世の理を超えた次元の存在が偶然魔力としてこの世に介入し、それがこの世に魔法、いわゆる可能性をもたらした。

故に真核とは自分の中にあり、自分の根源を構成している。

真核という異次元の存在が今の我々を形作っている命の正体なのだ。


しかしこの世界では皆、真核の存在にすら気付いていない。

うやむやにして、魔力という事にしている。

まあ、仕方ない事なのだが。

真核と魔力の違いは真核は世界に干渉する力を持っていないが魔力はそれを持っている。それだけである。

そして、真核とは、魔力の元であるのだ。

魔力の強さは真核が強く、尚且つ真核を魔力へどれだけ効率的に変換できるかが鍵になる。


その唯一の例外がアビディティーやスキル。

アビディティーやスキルが発動する時のみ、真核が直接的にこの世界に干渉する。

ロジックはわからないが、おそらく自分自身の意志で発動しているのだと思う。

ちなみにスキルは単体の孤立した能力。

アビディティーとはスキルを一気に複数使う時の呼び名の事である。


しかし、こんな事普通なら分かるわけがない。

私自身も虚空源史化がなければ、一生わからなかったのだ。

つまり、勇者ダンケルクは24年という短い時間でこの法則を見つけた天才という事だ。


それに私にとっての真核とは、未だヴェールに包まれている謎の存在である。

30億年使ってもわからなかったのだ、むしろより一層わからなくなっていた。

何故なら真核と魔力は不可逆変化の性質を持つ上に、如何なる手段を使っても真核自体を感知できないからである。


かなりの脱線をしてしまった。

だが振り返ることは大事な事だ。

しかし、今回は余計だったな。

…反省はしよう、後悔はしてないが。

まあ虚空源史化の中なので、そんな事も気にする必要もない。


…どうやら擬似人格が無事私の魂に埋め込みされた様だ。

これでなんとかなりそうだ。

先程の男が勉学にも詳しかったのが幸運だったな。

彼の身分は貴族だった様だ。しっかり源史化しといてよかった。


時はきた。

今こそあの人間に、勇者ダンケルクに報いを!

一族を皆殺しをした報いを!


…私一人だけでというのは少し寂しいな。

仲間を作るか。

というより、仲間がいた方がいいだろう。

使える仲間は色々な物事を効率よく進めたりする事ができる。

いて損はない。

何かを召喚してみるか。


召喚は外で行なった方がいいか。

虚空空間内で召喚するときは、少し真核を使うしな。


よし、虚空空間から出よう。

出口は…

自由な場所に作れるし魔力が結構使うので人が居ない場所がいいな。

魔力が多いのがバレると面倒くさそうだからな。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



不毛の地、ゼロへ出た。

果て無く続く荒地、僅かにある枯れ木。


遥か昔、ある大戦が勃発。

世界の土地の半分が焦土と化した。

一万年経った今でも、世界の二割の土地はそのまま荒地となっている。

それがゼロという土地という名前になった。


ここなら多少強いやつを召喚しても大丈夫そうだ。

魔方陣を描く。

強化付与をした上で、正確に。

初めてだが、人間界の魔術師の平均よりはかなり上の正確さなのは確かだ。


よし、召喚してみよう。

真核量はこれくらいで、と。

まあまあこの量なら私の仲間として十分に強そうなのを呼べそうだ。

呼び出せるかどうかはわからないが、少し奮発するとしようか。


「召喚、源祖の神」


そう言って魔方陣に魔力を送り込むと、なんとも言えない光が目の前に現れた。綺麗な暗い光である。

そこから現れたのは、空間をも歪ませるほどの圧倒的質量、光をも歪ませる暗黒の何かが現れた。

近くの枯れ木が歪んで見える。


『我が名は源祖の神、()のガルガンチュアである。呼び出したのは汝であるな。』

「どうもはじめまして。ミダラと申します。」


その正体は、神の中でもトップ10位以内の強さに入るガルガンチュアだった。

神とだけあって存在感が伊達じゃない。


『強き者よ、汝は我になにを望む。』

「あなたに友達になっていただきたいのです。」

『ほう?…面白い輩だな汝は。」

「友達といっても今から一緒に旅をしてもらい、勇者を倒すまでです。」

『それを友達というのか?』

「?では、勇者を倒してもずっと一緒にいることも可能かという事ですか?」

『?無論だ。それが友と言う事だろう?』

「?私は友達がかなりの時間居なかったので、もうよくわかりませんが。いいでしょう」


『…汝は我を呼び出しても真核量に余裕があるようだな。』

「まあ、貴方には勝てませんけどね。」

『今の我は最高のコンディションだぞ。分身ではあるがな。』

「もちろん、見ればわかります。」

『謙遜するな、どう戦っても我が負けるであろう。未だに汝の力量が見えぬのだ。ほぼ負けと言っていいだろう。』

「まあ、実際は確かにそうかもしれませんが…本体を倒せないようではまだまだですよ。」


何故種族的に魔物よりも圧倒的に強いであろう神がこんな後ろめたい事をいうのか。

私の方が強いのは確からしいが神と言うのだからもっとプライド高いと思っていた。

召喚術は必ず自分より弱いか、どう頑張っても同レベルまでしか召喚出来ないのである。

神の分身体は、本体の10分の7の強さという話だ。

分身体は強化もしているので、もう少し強そうだが。

たった体感時間50億年自分を強化していっただけなのに、とうとう神の領域に達した様だ。

私の知る限りでは神を超えそうなものはそこまで多くないのだが、そこに私も加わるという事か。

少しあっけないな。


『…何故空間と調和できておる?我でも無理な事をどうやって?」

「私の能力です。」

『イレギュラーアビディティーか?』

「そうですね。」

『いや、違うな。』

「いいえ、そうなのです。」

『……いや、はぐらかしても無意味だぞ。例えどんなスキルを持とうと、我のファウンダータイプのアビディティーで大体は分かるのだぞ。』

「…やはりそこは神さまなのですね。」

『このくらいの芸当、いうまでもない!とはいえ、完璧に分からない所は凄いな。』

「これでも一応、色々とやってきたつもりです。」

『……ふむふむ、虚空源史化か。なんなんだそのアビディティーは。

普通の隔離系アビディティーではないな。』

「…その通りです。」

『我でもわからんという事はこのアビディティー…()()()()()()()()()か?!』

「ええ、確かにそう言えますね。」

『…ならば断る事もできぬな。』

「いいえ、私はあくまでもあなたが望まないのなら止めませんが…?」

『ちょうど暇だったしな。これも何かの縁だ。…良かろう、友達になってやる。』


ヒアティックタイプとはいえそんな反応をするとは、予想外だったな。

まあ、別名チートと呼ばれる程の強いアビディティーなのだからこれが普通か。

それにヒアティックタイプは強い神が保持していたという伝説のアビディティータイプだからな。

現に目の前の神もすごいアビディティーを持っているようだ。

というよりも、後ろ盾兼お友達が出来た訳だ。

今はそっちの方を喜ぶべきだ。


……さっき友達になって下さいといったが、仲間といった方が良かったかもしれない。

今更だ。仕方ない。


「…では、これから人間のところへ行きます。」

『ぬぬ、それはどういう事であろうか。それは勇者を倒すのに必要なのか?」

「もちろんです。勇者に近づく為にはこれぐらいでもしないと駄目でしょう。」

『一気に攻める方法だってあるぞ?』

「…勇者は魔王に相反する物。そして私はまだ魔王ではないのです。それに勇者の強さは予想できません。それにいくら私だろうが、敵わない敵だっているでしょうに。」

『確かに、その通りであるのお。しかし汝の力は魔王レベルを上回っているぞ?』

「私は慎重派です。無闇には突っ込みません。そして第一、ダンケルク自体勇者というレベルではないのです。」

『なるほど。…しかし、人になる必要があるのかが分からん。』

「人になれば情報も手に入るし、運良くダンケルクの力の事を知れるかもしれない。さらに人間側にも裏切りを作れる、つまりカオスを生み出せる事も可能です。」

『…つまり、汝は我と一緒に人間の振りをしようと。』

「その通りです。」

『なるほど、実に面白い提案だな!』


すると、暗黒の何かは形を変えヒトガタになった。

黒目黒髪、爪も黒い、黒いスーツを着こなしているクールな印象を持つ男になった。

対称的に肌は透き通るように白く、眩しい。まるで鏡の様だった。

自分も人化しようか迷ったが、見た目を調整するにはまだ早い。

もう少し人間を知ってからの方がいいだろう。

私は人間は嫌いだ。

しかしながら人間の持つアビディティー、創造思考には興味がある。

色々な事を思いつくことができるからだ。

ちなみに私は持っていない。

なぜなら、種族だけが持つアビディティーは解析が難しいからだ。

よって、より多くの人間が必要になる。

そして創造思考は魔物には持つ個体がいない珍しいアビディティーである。

...そう考えると人間は凄いとは思う。


「じつはお願いがあります。」

『……本当は駄目なのだが、まあいいか。聞いてやろう!』

「ありがとうございます。」

『いいのだぞ!汝は我の友達なのだからな。』

「私は人間をもっと観察したいのですが、その時にスキルを使いたいのです。」

『なるほど、人から真核が出ていて怪しまれるのも困るので我をテイマーの様に変装させる事によって怪しさを半減できるかもしれないということだな。』

「はい、念に念を押しての事ですが、このご時世では失敗できないので。」

『わかったぞ。…という事今は魔物たちにはかなり生きずらい世の中なのか。』

「ええ、私は裏で誰とも接触せずに過ごしていた要因の一つです。」

『汝も不幸じゃのう、こんな時代に生まれてきて。』

「しかしながら、そうする事によるメリットもあります。」

『ほう…それはなんだ?』

「今の条件で真核を使えるとなると私のアビディティースキルで情報を読み取り、分析し、相手のアビディティーを獲得する事ができます。」

『ほぉ、そういう意味でもか。…しかしこれまた便利なアビディティーだな。』

「ええ、しかしながら効果はオリジナルの2分の1になりますがね。」

『だが使えん事はないだろう。』

「…じゃあ、そうしましょう。」

『そうだな。』


こうして、私達は人間が住う国、アグロスへ向かった。





如何でしたか?

続編も楽しみにしていてください!


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