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19.始動

遂に動き出す.........








...ここは何処だろうか。

白い。

全て白い。

何処までも白い。

唯一俺の体だけはしっかり見えるのだが...


「遂に辿りついたみたいだね。」


三つ目だった。

しかしその姿は全てが正方形で出来ている様な形だった。

表現はしにくいが、少しかわいさを感じる。


「またか。」

「君の成長スピードは予想以上だったよ。」

「神様が何の用だ?」

「今君は半神半人(デミゴット)になったんだよ。」

「!...まあ、いい。今更驚きもしない。」

「いや、せっかくだし説明しよう。」

「?!」

「今までの事をね。」

「...。」


「どこから話そうか...。そうだな...。」


そう言うと、三つ目は語り出す。

今までの全てを。


奴は、()()()()から来たと言う。

俺たちの世界の様に色々な種族がいて、日々平和な楽園の様な生活をしているらしい。


神の世界では、物質は()()()()と言う物で構成されている。

そして、もう一つある概念が()()だ。


俺たちの世界で言うなら、真核は心や魂と言った生命に普遍的に必要な物でありピクセルとは物質や数字で理解できる物だという。


そして、神の世界と俺たちの世界の一番大きな違い。

それは神の世界の方が真核や精神世界が()()している、即ち文明が発展しているという事だ。


俺たちの世界ではその壁を越え真核を理解し、尚且つ魔物の因子を持った者...

つまり智慧(ちえ)の実と生命(せいめい)の実の両方を得た物が神と成る事が出来るらしい。


そこに生きる神とは、高次元になりうる存在であり、その強さ次第で真核の力で同じ次元の世界に入り込む事が出来るという事だった。


その法則に気づき、初めて俺たちの世界に来たのが、彼と同じ()を持っていた存在、パンドラだった。


そのパンドラは、ある世界を発見する。


その世界には、物質しかない淡々とした世界だった。

全てが輪廻の様に循環していくだけ。


そこに何を思ったのか、パンドラは禁断の箱を開けたという。

神の世界の真核を俺たちの世界に連れ込んできてしまったのだ。

結果的にパンドラは死に、神の世界の真核にも欠陥が生じてしまった。


それが俺たちの世界の成り立ちだった。


此奴の目的は、世界を元に戻す事。

再び終わり(いのち)の無い輪廻を創り出す事だった。

もちろん、ある程度の強さに至った者は神の世界へ行けるので問題はないらしい。


何故それをする必要があるか。

実は、神の世界の真核は恒久的に増えない状態になっている。

全ての真核がそれぞれの生命に()()している為だ。


しかし、俺らの世界にはその定着が無く、真核が増え続けているという。


すると、ある時点で世界の真核量の()()()を越え、そのまま同じ次元の神の世界もろとも崩壊させる要因になりかねないらしい。


しかし、それをしようにもエーテルは手を出せないそうだ。

何故なら、パンドラに自身が死ぬ直前に呪いをかけられてエーテルが直接世界に出向く事が出来ないからだ。

その状況をなんとか打開しようと、呪いの研究を始めた。


するとその呪いは魔物と呼ばれる存在の真核で構成されていたというのがわかったらしい。

これを踏まえ、どれだけ真核を減らせばいいかを計算した。

すると、人間と呼ばれる種族以外を滅ぼせば()()に呪いは解けるという結果が出た。


エーテルは細工を始めた。

まずはこの世界にいる誰かを生贄に捧げ、禁断の儀式を行なった。


それはファラリスと呼ばれる儀式で、牛の形をした中が空洞の像の中に羽を捥いだ天使族を入れ、炙り殺す。

尚、その魂は処刑を行った者の隷属になる。

さらにはその周囲の状況までも変えられる。


それを使いエーテルは俺をあの世界に人間として転生させ、人間以外の魔物を狩らせたという事らしい。


だが、その呪いも完璧な物ではなかった。

魂にもう一つの“何か”が紛れ込んだのだ。


それが、俺たちの世界で“役割”と呼ばれる魔王の魂だったのだという。

だが能力や思想などは発現しておらず、これからも影響は無いとエーテルは言う。


むしろ、魔物の()()も備わり俺が人間から神への昇華をする事が可能になったそうだ。


因みに調停者という称号(二つ名)は俺の魔物を倒すモチベーションを上げたくて勝手につけただけなものなのので、時に意味は無いらしい。


だがそのお陰もあってか、少しばかり計画の進みが早くなったそうだ。


...全ての話を聞いた俺は、何か胸が降りた様な感覚を味わった。

だが何故か周りが少し寒かった。


「...。」

「....それがこれまで。」

「...。」

「おーぃ、きいてるかい?」

「あ...すまない。」

「これからのことを話そう。聞いていてくれ。」

「ああ。」


これから俺がやるべき事は一つ、ある魔物を倒す事だ。

其奴は、其奴だけは殺さなければいかない。

其奴を倒せば上手くいく。


その名は....


「ミダラ。妖狐族だ。」


...あぁ、なんかいたなぁ。

あの時自爆した妖狐を守ろうとした...。


「まて、なんで生きてるんだ?」

「わからない。ただ生きているのは僕のファウンダーアビディティーでわかっている。奴には気をつけた方がいいね。相当強いよ。」

「なるほど...わかった。」

「確実に倒してもらう為に少なくとも君には神になってもらいたい。もちろんその為の環境は用意しておく。」

「あぁ。」


「これで...」

「一つ質問なんだが。」

「...いいよ?」

「何故ミダラという奴を倒せば上手くいく?そして、そのあとはどうするんだ。」

「ああ、まあ話してもいいっか。ええと....先ず、ミダラって奴はヒアティックタイプアビディティーを持ってる。」


「あの、神話に書かれているやつか?」

「うん、その通り。本人の経験などにより成長する限界の無い()()のスキルだ。」

「...なるほど。」

「ヒアティックタイプのアビディティーはパンドラしか持っていなかった。どう考えてもミダラは今後パンドラと同じ様な存在になるかも知れない。その可能性を潰したいだけだね。」

「そう言う事か。」


「それで...その後の事だけど、可能性を潰したら後は全てそのまま進める。

先ず神になっている者への“避難勧告”をする。

その後は僕があの儀式(ファラリス)で偶発的に得たアビディティー“隷団統轄”で次々と天使をあちらの世界へ転生させ、あちらの魔物を殺して真核を減らしてもらう。

そして、真核が減ってパンドラの呪いが解けたら、君の世界の全ての真核を無に帰す“ガフの扉”を開く。

無に帰すのにかかる時間は七日という所かな?

これで、元通りというわけ。」


「まあ難しいが、なんとなくは理解出来た。」

「うん、別にそれでいいよ。」

「...思ったより実際のお前は話しやすいんだな。」

「まあね。」

「ふっ..」


「それじゃあまた、定期的に夢に出るからね。わからない時はその時聞いてね。」

「...わかった。」

「あぁ、あともう一つ。僕の事は誰にも話さないでくれ。」

「...そのかわりの条件があるんだが。」

「内容によるな。」

「俺の“呪い”を解いてくれ。」

「ん?ああ!もしかして解くの忘れてた?!」

「っ...いいから解いてくれ。」

「わかった。ほいほいっと。」


あ、気持ちいい。

今までにない解放感があった。

素晴らしいい。


「ありがとう。」

「こっちこそ悪かったね。」


暗転。


目が醒める。

見えたのは昨日起きた時と同じ光景だったが、体が軽かった。

なんとなく鏡を見ると、俺の額に四角の何か()が付いてた。


「...あの場所を探そう。」


こうして、エーテルの計画“()()()()”が始まった...。









いつもアンチブレイバーを読んで頂いている皆様、ありがとうございます!

如何でしたでしょうか!?

ブクマ、評価、コメントなど、宜しくお願いします!


次回もお楽しみに...


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