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12.勇者

勇者ダンケルクの今まで。

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一歳半。



歩ける様になった瞬間から向かったのは自宅にある書斎だった。

魔物について何か本が無いか探す。

直ぐに見つかった。


本の数はあまり無いが、魔物という分野に対してはかなり網羅されている。

そのほかにも魔法に関する書物や、勇者の武勇伝、神話の書物などがあった。


すると、父が本に興味があるのか?といって入ってきた。

そしてそのまま読んでくれた。

その時の父の目は、輝いていた。


後から教えられた事だが、父の職業は聖粛者だったのだ。

聖粛者とは、勇者レベルではないが高い戦闘能力を持ち、勇者との()()もある。

のちにこれが自分を救うことになる。

正直、父に感謝している。


話を聴いていると、魔物は良くない存在だというのがわかった。

人間を虐殺し、蹂躙してきた。

そういう屑な生き物が魔物だった。


元々自分の性格が正義感という言葉にかられやすいのがわかっていた。

しかし何かに取り憑かれた様に、ひたすら憎いと思うようになった。


しばらくすると、頭の中で映像が流れてきた。

父の声が頭の中でこだまする。

正直苦しい。

俺の精神はどんどん蝕まれていく。

こんなに苦しいことは今までなかった。

苦しさを唯一和らげる方法は魔物を滅ぼすしかないと、バカみたいな考えがよぎるほどだ。


結局、何故か俺は魔物を滅ぼすと決めた。


魔物に対抗するために、とりあえず魔力という力をつける事を始めた。

はじめのうちこそできなかったものの、一回魔法ができる様になるとそのあとは色々な事が出来るようになった。



五歳。



俺は勇者の弟子になった。

他の弟子は大人ばっかりだったが、努力し、自分を鍛錬していく。

その中でアビディティーをゲットした。


しかし魔物を滅ぼす事を考えてしまうクセ(病気)は一向に治らなかった。

その所為で友達が出来なかった。

正直辛かった。



十歳。



初めて魔物を倒した。

サナトス、ランクはB。

大物だった。

この時点で、アビディティーは18もあった。


ここで初めて、魔物を倒せば魔物について考える事が苦では無くなる事に気付いた。


友達が出来た。

いいやつだった。

俺の事を変な奴だとだけ思ってくれた。

それだけでも嬉しかった。


が、現実とはこういう物か。

唯一の友は死んでしまった。

魔物に殺されたのだ。


この出来事で、俺は完全に魔物を憎むようになった。

今までは辛いだけでそこまで自分が憎いわけではなかったが、今回は話が違う。


急成破限というアビディティーを得たのはこの頃だった。



十二歳。



遂に魔王を倒した。

雑魚の方ではあったが、魔王を倒したのはかなり嬉しかった。

魔物の滅ぼすのを考える事さえ楽しくなってきた。


俺は勇者になった。

勇者になると、各地の宿や店が一部無料になるのでかなり便利だ。

それに実力も認められる様になり、王様や国の重要人物と会ったり、仕事もした。

逆に勝負に挑んでくる奴もいたがそいつも返り討ちにした。

自分よりも格上の人もいたが急成破限を使い、頑張って勝てた事もあった。


というわけで、生き甲斐を見つけた。

魔物を倒して、いろんな人に認めてもらう事だ。


十五歳。



勇者の覇権争いがもっとも激しかったのはこの頃だった。

俺が殺されかけたりなんなりで大変だった。


強さも結構強くなった。

アビディティーでは操作系をほぼコンプリート。

終いには久々に新しいアビディティー、吸覇堕退化もゲットしていた。

このアビディティーは近くにいる魔物の魔力を吸い取る力を持つ。

常時発動型であるので、如何なる時でも魔物のパワーを抑える事ができる。


世の中が俺に注目してきたのはこの頃くらいからだ。

子供から話しかけられたり、冒険者に酒を奢ってもらったり。


辛い時もあったけど、楽しかったしいっぱい笑った。

そんな青春な十五歳だった。



十七歳。



種族的にも強いので有名な妖狐族と猫又族の集落を発見し、壊滅させた。

凄く思い入れが深い記憶だ。

色々な事を思い出す。


妖狐族には、元魔王というわけのわからない魔物がいた。

凄いファウンダーアビディティー(真解態現)

が無ければ、俺が先にやられていた。


一緒に同行してた魔術師も重傷だった。

仕方ないので、背負って一旦避難する。

このあとのことは一人でやる事にした。


その後、取り逃がした妖狐族が猫又族の集落と一緒に発見したとの情報を魔術師からきいたので猫又族を襲う。

相性が良かったからか、倒すのが楽だった。

あっという間に蹂躙してやった。

しかし、肝心の妖狐の生き残りは居なくなっていた。


その後、別の人間に化けわざと襲わせる作戦を思いついた。

魔力コントロールが難しかったができた。


結局、妖狐族の生き残りは子供だけだったので討伐は簡単だと....


油断した。

まさかと思ったが自爆とは....

咄嗟に作り出した氷結魔法も溶けていた。

体には火傷。

皮膚が焦げている匂いがする。


周りに脅威はいない様だ。

肩の力が抜けた瞬間、ある事に気づく。

自分は何故、魔力量がゼロなのに立っていられるのか。


今までの定説では、人間は魔族ではないが、何か根本的な面で魔力に依存していて死ぬ時はその魔力が消える時だとされていた。

しかし、俺の魔力はゼロだ。

魔力がゼロなのは魔力コントロールができる自分だからわかる。

意識もギリギリだが、死んでいない。

真解態現で答えを導く。


俺はこの時、魔法というのが真核という魂の様なものの力からできているとわかった。


突如眠くなってきた。

どうしようもない眠りだ。

俺はそのまま睡魔に呑まれた。


如何でしたでしょうか?

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