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逃げるそれは最強の行動  作者: 勝唯
2/12

2走目 判断ミス 前編

主人公の見た目書いてなかった…まあ書く意味ないくらい普通なんですが。

黒髪 目の色グレー 背は170後半cmくらい 顔も悪くはない はい 普通。いや、目だけ普通じゃないか。

 そういえば、俺は言ってなかったがこの世界にも魔物(モンスター)なる存在は一応いる。でもそいつらは基本的にこっちが何か仕掛けない限り何もしてこない。ただの強い動物だ。まあ一部、近づいただけで襲ってくるヤバい奴もいるのだが、そんな奴はほぼいないに等しい。


 そしてまたまた俺は言ってなかったことがある。それは勇者とか、冒険者とか、魔王とか。そういうのも一応いるってことだ。まあそーゆー奴らがいるから必然的にに魔法もあるわけなのだが、


 この世界において魔法ってのは凄く珍しいものらしい。冒険者なら1つ覚えているだけで有名になれるレベルだ。


 まあ当然俺はそんな魔法の1つも覚えちゃいないわけだが。なぜ俺がこんな大事なことを言ってなかったかそれは“どうでもいいから”だ。


 だって俺魔法使えねーし?そもそも冒険者でもなんでもない、田舎から逃げてきたただの一般人だし?

魔物なんか小さい時に2回であった以来だし?


 ………無関係なんだよ。そういうのとはな。


 頭の中でそう言いながら彼はいつもの路地を抜けた先にある行きつけているのに顔を一向に覚えてくれない老店主(マスター)のいる店へ入っていく。


 木造二階建ての質素な空間にはテーブルと燭台、それ以外には数名の客と空の皿、そして酒の入った大きいボトルが何本かその客たちの元に置かれていただけだった。


(昼間っから飲みまくりやがって…)


「グアッハッハッハッハ!!今日は魔物が大量だ!酒も大量といこうではないか!」


「そうっすねお頭!今日は大量に狩れやしたからね!」


「全くだ!あいつらもバカだよなあ!あんな罠に全員引っかかって行きやがるんだからよお!」


 酒臭い男たちの笑い声は後数時間は止まないだろう勢いがあった。


(はあ、……なんで昼飯食いにきたらあんなのがいるんだ…)


 彼はそう思いつつも奥にいる老店主に注文をする。


「おーい!店主(マスター)!ゼルマ鶏の手羽先1つ!!」


 俺はめっちゃでかい声で言ったのだが、どうも隣の五月蝿い客たちのせいで聞こえていないらしい。ここからじゃ多分あと3時間は声が届かないので、俺は席を立って洗い終えた皿を丁寧に拭いている老店主の元へと歩いていく。


「ん…?なにか……あぁ、注文かい?」


 老店主は皿を拭く手を止め、俺が歩いてきた方を向いて、なぜこっちに歩いてきたかを察したらしかった。


 そして俺は素っ気なく頷き、答える。


「そうだ。ゼルマ手羽一つ」


「あいよ」


 老店主も素っ気なく答え、会話は終了し、老店主は皿に向き直り、俺は席に戻る。


(はあ……全くなんでこう俺はついてないんだ。さっき免罪かけられて追われて今日は疲れてんだから。

 おっさんども、マジで俺の休憩の邪魔すんなよ)


 俺の願いはあっさりねじ伏せられた。わかる通り横のおっさん共がくっそ五月蝿いので、もっとゆっくり味わいたかったと内心思いつつ、手羽先を5分くらいで平らげ店を出た。


 ついてねえ。今日はさっさとそこら辺で野宿しよう。もう日は暮れかけだ。


 俺は宿屋なんかに払えるほど金を持ち合わせていない。なので日が暮れるまでに寝れそうな良い草を見つけなきゃいけない。

数時間歩き回った後、ようやく野宿の3条件を満たした場所を発見。


 おっ、良さそうな草だな。よし。今日はぐっすり眠れそうだ。今日は散々だったなー。なんか良いことしたら免罪で追われるし、せっかく貯めた金で贅沢しようと思ったらおっさん共がいるし、

 でも、そんな今日ももうおしまいだ。よっしゃ。


 そう思った時、遠くから何かが聞こえる。


「うっひゃァー!こりゃついてますね兄貴!」


「ああ、こんな人目のつかねぇ所によくもまぁこんなガキ(・・)が……」


 はあ、まだおわんねえのか今日。久しぶりに1日が長いんだけど。“ガキ”というあの二文字さえ聞かなきゃあなー。


 俺がよく見るとそこには筋肉質で無駄に露出が多い服を着たスキンヘッド男二人と今にも泣きそうな顔で怯えている茶色の短髪の女の子がいた。寧ろあんなのに囲まれて泣いてないのが凄い。俺が同じ年であの状況下に遭遇したならずっと泣いていただろう。


(あ、あれ多分お昼のあの子だ。助けないと…)


 俺はそこに飛び出そうとした。その時。





【逃げろ。全てから。何が何でも。生きるために。】





 その瞬間、俺の足が後ろに向かって走り出した。


(なっ、……!)


 俺は自分を無理矢理自分の手で転かしてなんとか制御した。


 なんなんだ、…今の……。そう思った俺だったがそんなことを考えている暇がないことに気付き走ってきた道を戻る。するとそこには気絶した女の子を抱えた二人の男がいた。


「「あ」」


「あ」


 互いに緊張感のない声を漏らす。


 俺、判断をミスった。誰だか知らんがあの声が正解だった。


「おい!何をしている!俺がアジトに此奴を持っていくから、お前はさっさと口封じしてこい!」


 リーダー格と思われる方の男が言う。


「し、しかし兄貴、アジトへの道はアイツがいるあの道一本しかありませんぜ」


「な……なっ…なら!俺たちでアイツを口封じだ!!」


 は?まじで?この先行ったらアイツらのアジト?じゃあ俺詰んでない?さっき子分の方が一本道とか言ってなかった?と、取り敢えず、話し合って解決しようかな。


「俺は別」


「逃すなよ!いくぞ!!!」


「へい!!兄貴!!」


 あ、だめだこりゃ。マジで声に従っときゃよかったわこれ。声の正体とか色々気になるけど、今はそう、あれ!生きるために(・・・・・・)!逃げるんだぁ!


 てか俺また逃げてるよ!


 俺はさっき足が勝手に走っていったこの道をもう一度走り出した。


 ていうか自分の足が勝手に走るとか、スルーしてたけど普通に不気味なんだけど。


 ……考えないようにしよう…。



野宿の3条件

1. 人目につかないこと

2. 朝、日が当たること

3. 良い草があること

これが意外に無い。

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